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モモ 10

「うちのグランマ紹介するね、ヨシエおばあちゃんとハナおばあちゃん」

しま子は席を立って挨拶しました。

「あ、はじめまして。私、浦嶋子うらのしまこといいます。突然お邪魔して申し訳ありません」

「気にしなくていいよ」

「賑やかな所だから、一人増えたってかまわないわ」

ディが小声で言いました。

「誰を連れてくるのかと思えば、婆さん達じゃねぇか、」

モモには聞こえていました。

「グランマ、昔ばなしとかチョー詳しいし」

ディは目線を外し、ばつが悪そうに頭をポリポリ掻きました。


「それで?何を聞きたいって?」

「私達で役に立てるかしらねぇ?」

「グランマ、天人さまって知ってる?」

おばあさん達の視線はゆきぽ、ディ、きじこに向きました。

「そこにおるで」

「そうね、まだ天には昇っていないけどね」

「やっぱり獣人って天人さまになれるんだー」

おばあさん達は笑って応えました。

「獣人じゃなく、ワシらは妖怪と呼んできたがの」

「ヨシエさん、最近はほれ、アニメやなんやでそういうのが流行ってるから、」

「そうだな。呼び方は変わっていくんだな」


ディが聞きました。

「天人にはどうやったらなれる?」

おばあさん達は顔を見合わせました。

「さぁー」

「知らないわねぇ」

「妖怪でも功徳を積んだ者は神様として崇めてきたんじゃ」

「そういう神様が天人さまじゃないかしらねぇ」

「功徳ってなんだよ、、、」

「やっぱりアナタではなれそうにないですね」

ゆきぽがディをからかいます。


モモがたずねました。

「グランマ、天人さまに会えたりしない?」

「天人さまどころか最近は妖怪の話も聞かなくなったの」

「昔は化けタヌキや化けキツネは身近な存在だったわ。いつの間にかいなくなってしまったわね」

「天人さまが住んでいる所に行く方法でもいいんだけど、」

「有名な話は竹取物語だな」

「そうね。かぐや姫は月の都からお迎えが来て天へ帰っていくわね」

「お迎えじゃなく、こちらから行く方法は?」

「だったら羽衣を身に着けるしかないかの」

「それを身に着けたかぐや姫は天に昇ったという話よね。でも羽衣はお迎えの使者が持ってきてくれたのよ」

「どっちにしても天人さまと会うしかないじゃん」


そうじゃ!と、ヨシエおばあさんが言いました。

「羽衣伝説。」

ハナおばあさんも頷きます。

「そうね。会えるとしたらあの神様しかいないわね」

「羽衣伝説?」

おばあさん達は簡単に語ってあげました。


「昔、丹後の国の比治山ひじやまに天女が8人舞い降りたんじゃ」

「天女は身に着けていた羽衣を脱ぎ、近くの泉で水浴びをしたの」

「その様子を見ていた老夫婦が羽衣の一つを隠してしまった」

「羽衣が無くて帰れなくなった天女の一人は老夫婦の養女となったのよ」

「天女は万病に効く酒の作り方を教えたんじゃ。老夫婦はそれを売って金持ちになったが、天女がうとましくなり追い出してしまった」

「老夫婦はお酒を独占しようとしたのね。それをいさめたものだから家を追い出されてしまった。天女は泣きながら放浪して丹後から丹波の奈具村へと行きついたの」

「その地で天女は神として奈具神社に祀られた。名を豊受姫という」


モモが聞きました。

「その神社に行けば豊受姫さんに会える?」

おばあさん達は首を振りました。

「話はまだ続くんじゃ。ある日、天皇様の枕元にアマテラスが現れた」

「夢のお告げね。アマテラスは奈具神社に祀られた豊受姫を伊勢へお連れするようにと命じたの」

「今は伊勢の外宮に祀られておる」

モモはもう一度聞きました。

「その外宮に行けば豊受姫さんに会える?」

「会えるかどうかは分からんの。なにせ神様じゃから」

「でも地上に天人さまがいるとすれば、この豊受姫以外には考えられないわね」


しま子が思い出したように言いました。

「豊受姫、、、私、一度だけ会った事あるかも」

「ホント⁉」

「はい、、、竜宮城へ招かれた時に亀姫のお姉さんだと紹介された気がします」

「だったら会ってくれるかもしれないじゃん!」

モモは力強く言いました。


「行こう!伊勢神宮へ!」

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