とき 10
夢の話で気になったので私は聞いた。
「輝さんは夢でお告げを受けたことあります?」
「私は、、、ハッキリ分かるお告げを受けた事はないわね」
「? 輝さんじゃなく、誰か受けた人がいるんですか?」
「さっき新幹線の中で話した童子切安綱は夢のお告げに関係してるの」
「やすつなさんって誰ですか?」
「アナタねぇ、、、話の途中で寝ちゃったんでしょ?」
「えへへ、、、で、そのやすつなさんがどうしたんですか?」
「童子切安綱は刀の名前よ。酒吞童子の首を切った事から童子切。安綱は平安時代の刀工 大原安綱の事よ」
輝さんは目頭をほぐしながら説明してくれた。
途中で寝ちゃったのは悪い事をしたなと思うけど、そんなあからさまに『この子に話しても無駄なんだろうなぁ』という意思表示しなくたっていいのに。
私はめげずに輝さんの肩を突っつき話の続きを促した。
「ハァ、、、安綱は最高傑作の刀が出来たと、それを時の征夷大将軍 坂上田村麻呂に献上したそうよ。その刀を受け取った坂上田村麻呂に、アマテラスから伊勢神宮へ奉納するようにとお告げがあったらしいわ」
「すごい!これから行くところじゃないですか」
「そうよ。だから私もここ最近、夢には気を付けていたの」
「でも、待ってください。その刀って輝さんのご先祖様が使っていたモノなんですよね?マロって誰?」
「さかのうえのたむらまろ。平安時代初期の頃の武将よ。桓武天皇から征夷大将軍に任命され東北地方の平定に活躍した人物ね。私の祖先、源頼光が活躍したのは、それから約200年後の平安時代中期よ。頼光が伊勢神宮に参拝した際にアマテラスからその奉納されていた刀を授かったそうなの」
「すごい!すごい!」
輝さんが人差し指を唇に当てている。私は声を潜めた。
「また神様から貰ってるじゃないですか」
「神様には酒吞童子と戦う事が分かっていたのかもしれないわね。だから童子切と呼ばれるようになる安綱を授けてくれた」
「やっぱり神様って意地悪ですね。分かっていたのなら直接退治してくれればいいのに」
「そんな罰当たりな事、言っていいの?これから伊勢神宮にお参りに行こうっていうのに」
「えへへ、怒られちゃいますかね」
その伊勢へ着いたのはお昼をとうに過ぎた頃だった。
輝さんはまず外宮にお参りに行くと言い、サッサと歩き出した。本当におむすびだけでお昼を済ませたつもりだったらしい。私は当然引き留めた。
「伊勢うどん食べましょうよー!」
私がお店の前で腕を掴みそう言ったもんだから、恥ずかしがったのか輝さんは無言で付き合ってくれた。
(勝ったな!)
くったくたに煮込まれてコシなんてまったく感じさせない極太麵の伊勢うどん。
柔らかいのは参拝客を待たせないよう、あらかじめ茹でてあるから。という説明書きがお店の張り紙に書いてあった。ほへぇー。
「輝さん、帰りは名古屋で味噌煮込みうどんを食べて比べましょうね。名古屋のうどんは半生かってくらい固いのが出てくるそうですよ」
輝さんは無言で呆れていた。
ちゃんとご機嫌取りに半分わけてあげたよ?うどんは消化がいいから、輝さんも食べてくれたし(渋々だけど、、、)
お腹も膨れ、いざ!神宮へ!




