てる 4
「はぁ、、、はぁ、、、」
目の前で十時が長襦袢一枚の姿になって舞っている。肌をさらして小さな胸は小さいながらもピンっと自己主張し、頬はその胸の先端と同じピンク色に染めている。
見ているうちにもお堂に溜まっていた邪気は、みるみる薄くなり全て祓われてしまった。
「はぁ、、、はぁ、、、輝さん、、、」
舞い終わった十時が目の前に来て、長襦袢をまくり上げた。
「いらっしゃい、」
私は彼女を優しく抱きかかえ、慰めてあげた。
十時には退魔師としての才能があった。邪気を怖がることなく受け入れているから、祓われやすくなっている。舞とは崇め、奉り、満足させるもの。十時の舞は邪気にとって満足しやすいのだ。それに半裸姿で舞う事も彼女はすぐに慣れてしまったらしい。
(誰に似たんだか、、、)
ただ、困ったのは祓った後のケアだった。十時はいつも私にそのケアをゆだねてくる。最初は『自分でできるでしょ?』と断ったのだけれど、『だって、退魔師はみんなしてるって、、、違うんですか?』そんな風に言われたものだから何も反論できなかった。確かに私が言ったのだ。みな高ぶった感情を沈める為に自分でケアをしていると。それを彼女はパートナーにしてもらうものと、少し解釈がズレて伝わってしまった様だ。今更取り消すことはできない。一時の感情に流された私が悪い。
「んっ!んっ!んっ!アン、あ!あ!」
十時の息遣いが荒くなり、私の腕をぎゅっと掴んでくる。
「ん゛ーーーーーっ!、、、、、、はぁ、はぁ、はぁ、、、きもちいい」
腕を掴む力は抜けたが、離してはくれない。まだ暫くこのまま時間はかかりそうだ。
私は頭を撫でてあげながら聞いた。
「ねぇ、パートナーは私でなくてもいいのよ?アナタはまだ学生なんだし、毎回、私の都合で連れまわせないわ」
「私、、、輝さんとがいいです」
腕をまたぎゅっと掴まれた。変に懐かれてしまったものだ、、、
「アナタと都合の合う人を紹介してあげてもいいのよ?一応、学生のうちは研修期間と考えて、卒業してから本格的に始めたら?」
うつろだった目に力が戻った。
「私、輝さん意外と組む気はありません。他の人と組むくらいなら退魔師を辞めます」
退魔師の中には特定の相手としか組みたがらない人はいる。なにせ、全てをさらけ出して相手に見せているのだから。今日はこの人、明日はあの人などとバイトのローテーションの様には行かない。そこは管理する側の私も悩みどころだ。
けど、
「やめる事は無いでしょう?せっかくアナタも仕事に慣れてきたんだから」
「だったら学校を辞めます」
(なんでそうなるのよ、、、)
彼女がこちらを見据えて言った。
「どうせ退魔師になる事は決まってるんだから、学校は辞めても構いません」
「学校でしか出来ないこともあるでしょう?今から仕事一筋に生きるつもり?」
「私が学校を辞めれば、輝さんとパートナーになれるんですよね?」
「ハァ、、、私にだって選ぶ権利はあるわ。私はあなたのお母さんに頼まれたから、、、」
「しょうがなく?」
十時の表情が曇った。
私はなんて悪い大人だろう。
一時の感情で少女をもてあそび、都合が悪くなりそうだからと、今は遠避けようとしている。
「、、、そんな事は無いわ。ただ、学校を辞めるなんて簡単に決めていいものじゃない。家族とよく相談して。」
頭を優しく撫でてあげると、その顔は笑顔になった。
「じゃあ、学校辞めたら輝さんの家に住まわせてくださいね」
(はぁ、、、なんでそうなるのよ)
この子には何を言ってもダメなのかもしれない。芯が強いのか、それともアホなのか、、、
頭が痛いこちらの気も知らないで、十時が嬉しそうに言う。
「だって、パートナーになれば一緒に仕事をするんじゃないですか。だったら一緒に住んでいた方が何かと便利でしょ?輝さんって一人暮らしですか?私も泊まれる部屋あります?あ!これから輝さんの部屋、見に行ってもいいですか?」
もう学校は辞める気でいるし、それどころか私の家に転がり込もうとまで考えている。
(まったく、、、誰に似たんだか)
もし、、、私があの頃、この子の様に強引にでもあの人の側に居続けたのなら、今頃どうなっていただろう?
少しだけ十時の強引さがうらやましくも思えた。




