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とき 4

ビンッ!ビンッ!


輝さんが持ってきた弓の弦を鳴らす。それはただの音ではなく、波動の様に感じた。さすが神具!私も持っているヒシャクに力を込めた。

目の前の扉がゆっくり開かれる。

「ひっ!」

小さく悲鳴を上げてしまった。

中は薄暗かった。けど、暗くても分かるほど、その中には無数の蠢くモノがいたのだ。これだけの数、見たことが無い。こんなにいると、お相撲さんの様に豪快に塩を撒いたところで足りはしないだろう。

輝さんが臆することなく中へと進む。私もビビりながら続いた。


ビンッ!ビンッ!


弓を鳴らす度、波紋が広がるように邪気が素早く散開していく。

(ひーーーっ!)

そんなに早く動けたの⁉いつも、うにょうにょしてるだけなのに!

弓の効果で入口から半径2mほどは床が認識できるほどに、邪気は隅の方へと散っていった。

「扉は締めて。邪気が流れ出るから。それに誰かに見られたらマズいわ」

本当は逃げ道を確保しておきたかったけど、そういわれたら閉める他ない。


ギィーーー、バタン!


木戸が軋みながら音を立てて閉まった。これで邪気は逃れることは出来ない(私も!)

「そこで見てなさい」

輝さんが弓を鳴らしながらお堂の中央へと進んでいく。

(え?私、残されるの⁉ここに⁉)

邪気は残された私の方へゆっくりと近づいて来る。こちらの隙を伺っている様にも見えた。半径2mが1.9m 1.8m 1.7mと段々に着実に安全圏が狭まっていく!

私は持っているヒシャクを振りかざした。

「えいっ!」

ぽこん!

叩き潰した感触は無く、床を叩く音だけがした。けれど邪気は叩いた箇所だけいなくなった。凄い!さすが神具!物理攻撃が効くなんて!私はモグラ叩きの如く、必死になってヒシャクを振った。

ぽこ!ぽこ!ぽこ!ぽこ!ぽこ!ぽこ!

「静かに!」

輝さんに怒られた。だってこのままじゃ邪気に覆い尽くされてしまう!輝さんはいいよ?そんな広範囲に効く弓があるんだから!


彼女は持っていた弓をうやうやしく両手に持ち、掲げた。そして、

ダンッ!

力強い踏み込みと共に弓をくるくると回し始めた。コレ、見たことある!おばばが、お相撲好きだからテレビでやってた!確か弓取り式?とか言ったはず。

目の前でビュンビュン音を鳴らし弓が振られると、スパッ!スパッ!と邪気が切られた様に祓われていく。おばばが言うには相撲は神道と密接に関連していて、昔から神様に捧げる奉納相撲も数多く行われていたらしい。


ビュンビュンビュンビュンビュンビュン!手首を使って弓がクルクルと体の周りで回される。次に弓の端を掴むと、ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!風切り音をあげながら大きく弧を描いて振り回している。

目の前では邪気が気持ちいいくらいに祓われていく。空中に漂う薄紫をした邪気のモヤもブンブン振られる弓の風で晴れていく。

「すごい!すごい!すごい!」

私は興奮して声をあげた。小さく手も叩いていた。


すると、輝さんが弓を回すのを止めてしまった。その視線がこちらに向く。

(しまった、、、気に障ったかな?)

これは神聖な神事だ。さっきも静かにと注意を受けたばかりなのに、、、自分の子供っぽさが嫌になる。

カンッ!カラカカラ、、、

彼女は持っていた弓を横に投げ捨ててしまった。肩で荒く息をしている。相当怒らせてしまったのだろうか?

輝さんがこちらに体を向け、対峙する形になった。私は縮こまって、息を殺した。

「ちゃんと見てなさい。」

「ハイ。」


彼女が手をめい一杯に広げ、ハン! パン!と、2拍手。

拍手にも邪を祓う意味がある。まだお祓いは続いているのだ。その証拠に、邪気は全て祓いきっていない。今度は邪魔をしない様にと肝に銘じた。

「ハァ、ハァ、、、これからが、ハァー、、、本番だから」

私は輝さんの所作に集中した。が、、、

(え?)

また声を出しかけた。その声が漏れない様、両手で口を押えた。

驚き、、、というより、目の前で何が起こっているのか私には理解が出来なかった。

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