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王子様を好きになる

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

多分見たら逃げますよ。


俺の知人はどんなに歳を重ねても、姿の変わらない人間だった。同僚はそれを面白がって、数年前の写真を後輩達に見せて回った事がある。その結果、皆口を揃えて言ったのだ。『変わってないですね』と。

俺の知人はどんなに歳を重ねても、好みが変わらない人間だった。幼少期の頃から線の細い、女と見まごう様な男の顏を好んだ。間違っても、筋肉質なワイルドな青年を好まなかった。


「動画で見て知ったんだが、性的嗜好は歳を経る事に変化していくようだ。御伽噺の王子を好んでいた幼子が、次第に魔物をぶちのめす騎士に恋する様に」

「私は好きじゃないよ」

女は顔を上げた。数年前と変わらぬ顏。その顔に酷い拒絶の色が滲んでいた。そうだろな。

俺は彼女が操作していた携帯端末を覗き込む。写っていたのは、相も変わらず線の細い、何処か儚くも優しげな青年の姿だった。

そこで俺は一つの主題を提示した。

「少女が正統派な白馬の王子様を好きになるのは、自分に対して害を加えなさそうだから、なんだと」

まぁそりゃそうだ。幼いからこそ、自分を守る術を知らない。知らないから、自分を守ってくれる者を見分ける必要がある。そうしてそれは、 何年掛けても外見も中身も変わらず、半永久的な幼女だからこそ、通じるものがあった。

「私も全く同じ気持ちだわ。あんな厳つい人間なんて、腕を掴まれたら逃げられないじゃない。平気で体を千切る事も、犯す事も出来るだよ。その上性格が俺様ならなおの事。きっと聞く耳も持っちゃくれないわ。だから嫌い」

よもや理由まで同じと来たとは。内心興味深いと思いながら、知人を見る。それからは俺なぞ居ないかの様にまた端末を弄り回す。しかし突然指を止めて、此方を見る。

「これとか、まぁ好みじゃないよね。本当に好みじゃないよね。恐怖心から端末落としかけた」

現れたのは、銀髪に褐色肌の物々しい青年の姿だった。端末を握る指に力が込められている。本当にマジで駄目なんだな。

「だがまぁ、そうやって物々しい者に思考が変化していくのは、経験を積んで、その力が自分を守る様に使われると思うようになるからだと思うんだ」

「俺様が守るとは思ってないけどね」

少女が正統派な王子様を好きになるのは、自分に対して危害を加える危険性が低いから。

と見かけました。


幼少期から好みはそこまで激しく変わってないはずなので、『この意見どう?』と聞かれたら、『いやそうですよ。その通りなんですよ』と返します。


物言い、所作から、優しさ、気遣いが見えるのならば大丈夫なんですが、中身まで俺様だと本当に怖くて。

だって、幾らでもバラせますし、壊せるじゃないですか。


人間ね、窮地に追い込まれると、タガなんて平気で外せちゃうんですよ。

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