#91 ふゆかのシュシュ ☆
「さあ、みんな掃除の時間よ!」
授業が終わり、掃除をすることになった。
「ぼくは、今週どこだっけ?」
「ゆきあくんはあたしとなつきと同じ教室よ!」
「あっ、そっか!」
「…うん、よろしくねゆきあくん」
ぼくは、ふゆかさんとなつきさんと同じ教室担当だった。
「ちなみに心愛と心音は渡り廊下のところね!」
「渡り廊下か~」
「あそこ1番大変だよね~」
「それじゃあたしが手伝ってあげる!」
「いや、手伝ってくれるのはありがたいけど、自分の担当を先に終わらせてよ…」
「あっ、そうね!」
そんなわけで掃除を始めることになったんだけど…。
「あっ。あっ! あっ!?」
「きゃー!」
「あ~、なつきごめん!」
…こんな感じでふゆかさんが机や水が入ってるバケツを倒したり、なつきさんにほこりがかかったりして、散らかってしまっている…。
「ふぅ~、もう終わりそうだね」
「後はゴミ捨てだけだよ~」
「あたしが捨ててくるわ!」
もうすぐで掃除が終わり、ふゆかさんがゴミを捨てていくことになったけど…
「待ってふゆかちゃん! それゴミ袋じゃなくてゴミ箱だよー!」
間違えてゴミ箱を持って行ってしまった。
「ごめんねゆきあくん。迷惑かけちゃって」
「全然大丈夫だよ。なつきさんはいつもふゆかさんの面倒見てあげてるんだよね」
「うん。もう慣れっこだから大丈夫だよ~」
「ぼくもよく香織姉には迷惑かけちゃってるからね…。香織姉にはよくお世話してくれてありがたいと思ってるよ」
「ふふっ、ゆきあくん、本当に香織さん好きだね…」
「ふぇ!? い、いやそんなことは…!」
「ゆきあくん、かわいいー」
こんな感じでぼくとなつきさんが会話をしてると…
「あ、いました。なつきさん~」
葵さんがやってきた。
「なに、葵ちゃん?」
「これ落ちてたんですけど…」
葵さんが取り出したのは、シュシュだった。
「それってふゆかちゃんのシュシュ? どこに落ちてたの?」
「ゴミ捨て場の近くに落ちてたビニール袋に入ってました」
「どうして!?」
どういうわけかふゆかさんがつけてるシュシュがビニール袋に入っていたらしい。
「でも何でビニール袋に?」
「とりあえずふゆかさんが戻ってくるまで待とう」
「そうだね。もしかしたらまだ探してるかもしれないからゴミ捨て場に行ってみない?」
「うん」
そんなわけでぼくとなつきさんはゴミ捨て場に行ったが、なつきさんは見当たらなかった。
「いないね~」
「どこかに行っちゃったのかな?」
「あれ、ゆきあくんとなつきちゃんだ~。どうしたの?」
後ろを振り返ると香織姉がやってきた。
「あっ、香織姉?」
「香織さん、お久しぶりです」
「久しぶり~。2人は何してたの?」
「実はわたしたち、ふゆかちゃん探してるんですけど、見ませんでしたか?」
「ふゆかちゃん? そういえばさっき、窓からゴミ捨て場にいるところを見たよ~。風が吹いてる間に、シュシュを外した拍子に顔にビニール袋が来たみたい」
「あっ、そうだったんですか」
「たぶんその時にビニール袋に入ったんだね」
「すごい偶然…」
「わたしが見たのはそこまでだよ」
「はい、ありがとうございました」
「うん、またねなつきちゃん。ゆきあくんもまた後でね~」
そう言って香織姉はどこかへ行った。
「もう教室に戻ってるかもしれないね~」
「そうだね。1回戻ろっか」
そう思い、教室に戻ったがまだ帰って来てなかった。
「まだ戻ってこないね~」
「うーん。ねえ、ゆきあくんシュシュつけてみない?」
「えっ、なんで!?」
「ゆきあくん、似合いそうだし、お願い」
ぼくはなつきさんに勧められて、シュシュをつけることになった。
「どうかな…?」
「すごい似合ってるよ! ふゆかちゃんの真似してみたらどうかな?」
「え…?」
「うふふ、お願い」
なつきさん、完全に面白がってるなぁ…。
「や、やってみる…!」
ぼくは意を決してやってみた。
「ま、任せなさい!」
「ゆきあくん? 何やってるの?」
「ふわぁ!?」
「なつきちゃん!? よかった戻ってきて」
ぼくがふゆかさんの真似したタイミングでふゆかさん本人がやってきた。
「そういえばふゆかちゃん、どこ行ってたの?」
「どこって先にいなくなったのなつきたちでしょ? 教室帰ってきたらいないし、心愛たちのところにいるかと思えばいなかったから。それで心愛たちの掃除終わってなかったから手伝ってたのよ」
「そうだったんだ」
「それでゆきあくんは何してたの?」
「うぐっ…!」
ふゆかさんにそう言われてぼくはおろおろしている。
どう誤魔化そう…。
「そういえばそれ、あたしのシュシュだよね?」
「うん。葵ちゃんがシュシュを届けてくれたんだけど、それでわたしがゆきあくんにふゆかちゃんの真似してみるように頼んでたの」
「ちょっとなつきさん、言わないでよ!?」
「そうだったのね。ふふっ、ゆきあくん、あたしから見ても似てたよ」
「そ、そうかな…? はい、ふゆかさんのシュシュ返すね」
「うん、ありがとうゆきあくん」
ぼくは恥ずかしながらもふゆかさんにシュシュを返した。
「なつきもありがとね」
「えへへ、どういたしまして」
なつきさんもふゆかさんに褒められて満更でもなかった。
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