#87 パスタディナー ♡
ボウリング場を後にして、夜の散歩をしている。
気温は下がり、若干の寒気を感じる。
わたしはまたゆきあくんと手をつないで一緒に歩いています。
「楽しかったね、ゆきあくん」
「うん、そうだね」
「また今度来ようね!」
「うん。あっでもプリクラは出来れば遠慮したいかな…」
「え~、なんでよ~」
「1回なら付き合うから…」
「うん、分かったよ!」
色々あったけど、ゆきあくんとのデートは楽しいです。
「そういえばお腹すいたね。どこで食べようか?」
「何かおすすめあるの?」
「この前、友達と一緒に行ったパスタ屋さんがあるんだけど、そこにしないかな?」
「パスタ屋さん?」
「うん。そこのパスタがとてもおいしかったから」
ゆきあくんを見ると、黙ったままこちらを見つめていた。
「どうしたのゆきあくん?」
「い、いや香織姉が綺麗だなぁって…」
「もうゆきあくんってば~」
わたしは照れ隠しにゆきあくんのほっぺをつっついた。
「新しく出来たお店だよね~。うん、そこにしよう」
「ありがとう! うふふ、ゆきあくんと夜のレストランでお食事だね~」
「いや、ファミレスだよね!?」
わたしたちは、自宅近くのパスタ屋さんに入りました。
席はあまり混んでいなくて、お客さんがちらほらいる感じだった。
窓際の席に案内されて、座りました。
ふと隣を見ると、知り合いが座っていた。
「あれ? 風花ちゃんだー」
「あっ、香織、ゆきあくん!」
隣の席でドリンクを飲みながら、ノートを眺めている風花ちゃんが座っていた。
「風花ちゃん勉強してたんだね」
「うん、いつもは春花とよく一緒にファミレスで勉強してたんだけど、今日は来れないみたいだからわたし1人で勉強してたの」
「そうなんだ~」
「うふふ、ゆきあくんも久しぶり~」
「うん、久しぶり風花さん」
風花ちゃんはゆきあくんに笑顔で手を振った。
「そういえば2人ともお出かけしてたの?」
「えっと…」
「うん、わたしたち2人でデートしてたの」
「えっ、そうなの!?」
ゆきあくんは何か隠そうとしていたけど、わたしは隠さずに言った。
「香織、本当にゆきあくんのこと好きだね」
「うん、大好きだよ!」
わたしがそう言うと、ゆきあくんも風花ちゃんも顔を真っ赤にしていた。
「香織すごいな~。堂々と弟が好きって言えるなんて、うらやましいな~。ねえ、ゆきあくんもわたしの弟にならない?」
「ふぇ!?」
「ちょっと風花ちゃん!?」
わたしもゆきあくんも風花ちゃんの衝撃発言でびっくりした。
「うふふ、言ってみただけよ~。もう2人はお似合いの姉弟だからね♪」
風花ちゃんはてへぺろと舌を出した。
「もう風花ちゃんってば~」
「ごめんね香織。あっ、もうこんな時間! そろそろ帰らないと。じゃあ、香織、ゆきあくん、バイバイ」
「うん、バイバイ」
風花ちゃんは残っていたドリンクを飲み切って、バタバタとノートと教科書を片付けて席を立った。
振り返って手を振る風花ちゃんに、わたしとゆきあくん2人で手を振って見送った。
「風花さん元気だったね」
「うん。やっぱりかわいいね」
「風花さんが?」
「風花ちゃんもだけど、ゆきあくんがかわいいよ」
「ふぇ!?」
ゆきあくんは再び照れ隠しにうつむいた。
わたしもゆきあくんもカルボナーラを頼んで、しばしディナーを楽しむ。
「ゆきあくん、あーん」
わたしはフォークに巻いたパスタを、ゆきあくんの前に差し出す。
「いや、みんな見てるからいいよ…!?」
「え~!?」
「いや、『え~!?』じゃないよ!?」
「いつもやってくれるのに?」
わたしは目をうるうるさせながらゆきあくんを見つめた。
「わ、分かったよ…」
「うふふ、ありがとうゆきあくん。じゃあお口開けて」
「…あーん」
「えいっ」
わたしのフォークがゆきあくんの口に入った。
「おいしい?」
「うん。…っていうかぼくも香織姉も同じカルボナーラだけどね」
「そうだけどね」
わたしたちはカルボナーラを完食してそのまま帰宅しました。
夜中、わたしは寝る前にゆきあくんと同じ布団に座っています。
「ゆきあくん」
「なに?」
「大好き♡」
わたしはゆきあくんを優しく抱いた。
「ふわぁ!」
「ゆきあくんかわいいねぇ」
わたしに抱きしめられてゆきあくんは思わず声を出した。
そんなゆきあくんにわたしが耳元でそっとささやく。
「わたしと一緒にまたデートしようね?」
「う、うんっ」
「えっ? ダメなの?」
「ち、違うよ! ぼくも香織姉とのデートは楽しいから」
「うふっ」
わたしは、ゆきあくんのほっぺに軽くキスをしました。
「ありがとうゆきあくん。わたしもゆきあくんとのデート、楽しいよ♡」
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