#85 夕方の姉弟デートのプリクラ ☆
ぼくは休日の夕方に、いつものリビングで香織姉と一緒にジュースを飲んでいる。
「うふふ、ゆきあくん、わたしたち2人っきりだねー」
「えっ、そうなの? そういえばお父さんもお母さんも慰安旅行なんだっけ?」
「うん、パパがママのために2人っきりの旅行を提案したんだって。パパもいい人だよねー」
「そうだね」
「うん、ゆきあくんと2人っきりの夜だよー」
香織姉はいつも以上に元気だった。
「ねえ、ゆきあくん。2人で遊ぼっかー?」
「香織姉は何したい?」
「えっとトランプとか、ゲームとか、ジュースを2人で飲むとか?」
「…ジュースは今、飲んでるよね?」
「あっ、そっか! うふふ、わたしってばうっかりー」
香織姉はてへっと舌を出した。
「あはは、香織姉ってば天然だね」
「もうゆきあくんってば、わたしのこと天然って言ったねー」
ぼくは久しぶりに香織姉を天然って言ったら、香織姉にほっぺをもふもふされた。
「ねえ、ちょっとあそびにいかない?」
「遊び?」
「うん、今から夕方デートしよう!」
「えっと…ど、どこへ?」
「うーん、そうだねぇ…。あっ、そうだ! 一緒にボウリングしない? あそこなら歩いていけるし、その後にディナーしよう!」
わたしはそう提案した。
「ボウリング? うん、行く! 行きたい!」
ぼくは満面の笑みでそう言った。
「ありがとう~。ゆきあくんってばはしゃいじゃってかわいいー」
「や、やめてよ…。じゃあ行こう」
「うん! あっ、ゆきあくん、わたしの衣装気づいてる~?」
香織姉は立ち上がって、着てる衣装を見せた。
香織姉は緩い白ニットを着ていて、赤いスカートに薄い黒タイツを履いていた。
「うん、似合ってるよ…」
「うふふ、ゆきあくんってば~。じゃあ行こっか!」
ぼくは香織姉の衣装に見とれつつ、家を出た。
知り合いに会ったらこんばんはと言う時間だけど、まだ辺りは明るい。
ついこの間まで夜は寒いな、なんて思っていたが、今は少し暑いくらいだった。
「ねえ、ゆきあくん…。手つないでいい?」
「え? うん、いいよ…」
「ありがとう~。うふふ~♪」
ぼくは香織姉のお願いで、手をつないだ。
「ゆきあくん、こうしてみると、わたしたち仲良いカップルに見えないかな?」
「いや、さすがに無理があるよ。身長差もあるから」
「ゆきあくんかわいい~」
香織姉は満面の笑みで頭をなでてきた。
「もう香織姉ってば…。でも仲良い姉弟には見えるよね」
「うん、そうだね」
そんな会話をしながら歩くこと15分、ぼくたちはゲーム、カラオケ、ボウリング等が出来る複合施設に到着する。
「ボウリング場の受付は2階か~」
「ねえ、ゆきあくん。ボウリングする前にゲームセンター行かない?」
1階の案内表示を見ていると、香織姉はゲームセンターで遊ぶよう提案した。
「ゲームセンターね~。何するの?」
「プリクラ撮ろうよ!」
香織姉が指差すその先には、プリクラの機械があった。
「プリクラね…」
「ゆきあくんは撮ったことある?」
「撮ったことないんだよね…。どうやるの?」
「えっと例えば高解像度とかでねぇ、もりもりに盛ったり、動画で撮れたりするの。えっとね、ほらこんな感じ」
そう言うと、香織姉はスマホの画面をぼくに見せつける。
香織姉を中心に数人の女子がポーズを取っているが、あまりの目の大きさ、肌の白さで誰が誰だか分からない。
「ぼくとこれを撮るの…?」
「あまり加工しないから…。良いかな?」
「うん、いいかな。撮るよ」
「うん!」
そうしてプリクラの中に入ろうとすると。
「ゆきあくん待って。背景どれにする?」
「背景? そういうのもあるの?」
香織姉は慣れた手付きで背景を選ぶ。
「ハートがいいかなー? よし、入ろうゆきあくん」
中に入るとカメラのボタンらしきものが光っている。
香織姉がそのボタンを押すと、アニメ声の合図が出た。
『それじゃあ撮影を開始するよ! まずは2人で一緒にハートマークを作っちゃおう!』
「ふぇ!?」
「ゆきあくん、ハートマーク作るよ」
「え? こ、こう?」
香織姉と並んで、ハートマークを作った。
身長差があるので、香織姉がしゃがむ感じになった。
『3、2、1』
カウントと共にシャッターが切られた。
「ふぅ~これで終わりだね」
『それじゃあ次はほっぺをくっつけて!』
「次!?」
プリクラって1枚じゃないの!?
「ゆきあくん。ほっぺをくっつけるよ~」
「う、うん」
香織姉はぼくのほっぺを自分のほっぺとくっつける。
恥ずかしい…!
『お姫様だっこしよう!』
「お姫様だっこだって~。ゆきあくんいくよ~」
「えっ!?」
ぼくは訳が分からず慌てて香織姉にお姫様だっこされた。
「はぁ~、ゆきあくんをお姫様だっこしちゃった…。うふふ~」
「もう次で終わりかな…?」
『ラストはほっぺにちゅー!』
えっ、ちゅー!?
今、ちゅーって言ったよね!?
「ちゅーだって~。ゆきあくん、ちゅっ!」
「ふぇ!?」
香織姉はすかさずほっぺにちゅーしてきた。
「はい、これで終わりだよ。ゆきあくんお疲れ様」
「やっと終わった…。それにしても変わった指示だったね…」
「だって、これはただのプリクラじゃないもん。ドキドキカップルモードなんだよ~」
「えっ、そうだったの!? 香織姉、そういうのやめてよー!」
「うふふ、ごめんなさい♡」
香織姉は片目をつぶって舌出して、てへぺろした。
毎回思うけど、それ絶対悪いって思ってないよね!?
「もう香織姉ってば…。それじゃあ、写真とってボウリング場に行こう」
「ゆきあくん待って。これから落書きだから」
撮った写真がディスプレイに表示され、香織姉がタッチペンを持って書き始めた。
「ゆきあくん、出来たよー」
香織姉が受け取り口から写真を取り出した。
「はいゆきあくんの分ねー。うふふ~」
香織姉がうっとりしながらぼくに渡した。
確認すると、『ゆきあくん大好きー』とか『ラブラブー』とか書かれていた。
それを見た瞬間、ぼくは顔が真っ赤になった。
「夢だったゆきあくんとのプリクラ…。わたしのわがままに付き合ってくれてありがとう♪」
「どういたしまして。そういえば香織姉慣れてたけど、プリクラよく撮るの?」
「うん、友達にいつも撮ろうって誘われるの」
「そうなんだね」
「それじゃあそろそろボウリングしよう~」
「そうだね」
プリクラを終えた後、ようやくボウリングの受付に向かった。
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