#73 雨の日の相合傘 ☆
窓の外では雨が降っている。
さっきまでは晴れていたのに急に降ってきた。
―どうしよう…。
ぼく、傘持ってないや…。
「今度、スポーツ大会があるので、これからみんなが出る種目を決めたいと思います」
あぁースポーツ大会かぁ~。
ぼく、運動苦手だから足引っ張らないようにしないと…。
「ちなみに今回初めての種目があります。それは、コスプレレースです!」
コスプレレース?
「簡単に言うと、男子が女装して、女子が男装するレースになります」
「…えっ?」
『男子が女装?』
「いや、なんでみんなぼくを見るの!?」
何かぼくが出る流れになってない?
「はい、わたしはゆきあくんにぴったりだと思います!」
「えっ、ちょっと葵さん!?」
葵さんがそう推薦した。
「わたしも!」
「あたしも!」
「わたしも~!」
なんでみんなまで!?
「それじゃあ~、ゆきあくんが出場で決まりですね~」
さらっと決められた!
「―皆さんが出場する種目はこれで一通り決まりましたね?」
ぼくがうろたえていると、みんなの出場種目が決まり終わったみたいだ。
…ぼく、女装して走らなきゃいけないの!?
「結構降ってきたね」
「うん。ゆきあくん、帰らない?」
ホームルームが終わった後、心愛さんと心音さんがそう聞いた。
「ぼく、傘持ってないから、香織姉が終わるの待ってるよ」
「そっか~」
「それにしても葵さん、どうしてぼくをコスプレレースに推薦したの?」
「うふふ、ごめんなさい。わたしはゆきあくんにぴったりだと思ったからですよ」
ぼくが葵さんに聞くと、笑顔でそう答えた。
「まあでも、みんなのために頑張るよ」
「はい!」
「ゆきあくん~」
そんなこんなで香織姉がやって来た。
「あっ、香織姉」
「ゆきあくん、傘持ってないんだよね? 一緒に帰ろう~」
「うん」
香織姉が微笑みながらそう言った。
「じゃあゆきあくん。わたしたちは一足先に帰るね」
「ゆきあくん、ごゆっくり~」
「また明日です、ゆきあくん」
「えっ!?」
どういうわけか、何かを察したようにみんな帰っていった。
「どうしたんだろう?」
「ゆきあくん、わたしたちも帰ろう~」
「うん」
ぼくと香織姉も1階へと降りて行った。
「そういえば香織姉は傘持ってるの?」
「うん、持ってるよ。一緒に相合傘だね」
「うん…―ん、相合傘!?」
ぼくは言われるまで気付かなかった。
ぼくは傘ないから、自然と相合傘することになった。
「あっ、ゆきあくんがいいならだけど…」
「う、うん…。ちょっと恥ずかしいけどいいよ…」
「本当に? ありがとう~」
香織姉は満面の笑みを浮かべていた。
…かわいくないか!?
そのままぼくたちは相合傘をして帰っていった。
「ゆきあくん、一緒の傘はどうかな?」
「うん、大丈夫だよ」
「そういえばもうすぐ体育祭だね~。ゆきあくんは何出るの?」
「えっ…。こ、心愛さんは50m走で、心音さんがリレーに出るみたいだよ。葵さんが借り物競争で、ふゆかさんとなつきさんは2人3脚だったかな…?」
「そうなんだ~。それでゆきあくんは…?」
「…。全員参加のピッチングや綱引き…だけだよ…」
「絶対噓でしょ~。ちなみにわたしは借り物競争だよ~」
何とか誤魔化そうとしたけど、上手くいかなかった…。
どっちにしろ、当日分かるから、言っちゃうか…。
「…コスプレレース」
「コスプレレースって、初種目のだよね!? ゆきあくんも出るんだー!?」
「葵さんが推薦して、そのままみんなも推薦したから出ることになったんだ…」
「そうなんだ~、葵ちゃんやるね~。わたしも応援してるからね。写真も撮ってあげるから」
「それはやめてー!?」
ぼくは思わず大声を出した。
「なんていうか、ゆきあくんはクラスのかわいい弟みたいな感じだよね。わたしのクラスもみんなゆきあくんを弟にしたがってるからね。まあ弟というより妹みたいな扱いかもしれないけどね」
「ぼく、男だけど!?」
「うふふ、冗談だよ~。あっ、ゆきあくん」
「なに?」
「えいっ」
「ひゃー!?」
何と香織姉はぼくを寄せてきた。
「雨に濡れちゃってるから。ゆきあくん言っても良かったのに~」
実はぼくはずっと雨に当たっていたんだけど、香織姉に黙っていた。
「ぼくの方に傘を寄せると、香織姉が濡れちゃうから言えなくて…」
「そっか~。ゆきあくん優しいね。でもこれなら問題ないでしょ?」
…いや問題あるんだよね!
さっきからおっぱいがぼくに当たってるよ!
「うふふ、ゆきあくん、わたしのおっぱいにドキドキしてる~?」
「もしかしてまたわざと!?」
「当たり前じゃん♪」
香織姉のおっぱいに密着されながら、家にたどり着いた。
「ただいまー」
「ふぅ~、すっかり濡れちゃったね。一緒にシャワーしよっか!」
「香織姉とシャワー…?」
「えいっ」
「えっ? 待って待って待って!? 持ち上げないで!?」
「わたしとゆきあくんの2人でシャワータイムだよ~」
そっから、否応なしに香織姉とシャワーを浴びることになった。
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