#6 布団で告白 ☆♡
前半はゆきあ視点、後半は香織視点です。
カップケーキを食べた後、今日はぼくが先に、温泉に入らせてもらった。
「ふぅ~…」
我が家のお風呂は温泉になっている。
なので、6人とかで入ることも可能である。
そういえば昔は香織姉ともよく一緒に温泉入ってたな…。
今は恥ずかしいけどね…。
「香織姉はぼくのことをどう思ってるんだろう…」
ぼくはふとそう呟いた。
香織姉は普段からぼくに優しくしてくれてるけど、内心ではどう思ってるんだろう…。
もしかして本当はぼくのことが嫌いなんじゃ…。
…いやいや、そんなことはないよね。
数分後、考えてもしょうがないのでぼくは温泉から上がり、部屋へ戻った。
ちなみにぼくと香織姉は同じ部屋で、夜もここで二人でいる。
「あがったよ~」
「おかえり、ゆきあくん」
香織姉は、猫のパジャマを着ている。
「ねえ、香織姉、お願い出来るかな?」
ぼくはそう言って、ドライヤーを持ちながら香織姉にいつものを頼んだ。
「うん、いいよ。じゃあこっちに来て」
ぼくは香織姉の近くに来て、香織姉に髪を乾かしてもらっている。
ぼくは、香織姉のベッドの上で座ってる後ろで、香織姉がぼくにドライヤーを当てながら、乾かしている。
「これでオッケー♪」
しばらく、そうやって香織姉にドライヤーで乾かしてもらい、髪も大分だいぶん乾いて来たらしく、ドライヤーを止めた。
それからしばらくすると、
「ねえ、ゆきあくん、わたし眠くなったから寝ても良い?」
「うん、ちょっと早いけど寝よう」
と言う訳で、ぼくたちはもう寝ることにした。
香織姉は自分のベッドに、ぼくは自分の布団に入った。
…何故、ぼくはベッドにしないのかというと、恥ずかしながら高い所が苦手であり、ベッドの高さで寝るのも抵抗を感じてしまうのだ。
「おやすみなさいゆきあくん」
「おやすみ香織姉」
それからぼくたちは寝ることにした。
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わたしは、今眠り始めたけど少しだけ目が冴えてしまった。
そうだ、せっかくだからゆきあくんの布団にこっそり入っちゃおう♪
そう思ったわたしはこっそりとゆきあくんの布団に入ろうと…
する前にゆきあくんの寝顔を拝む。
「すやぁ~」
きゃー、ゆきあくんの寝顔かわいい…♪
ゆきあくんってば気持ちよさそうに寝ちゃってるね。
十分拝んだので、ゆきあくんの布団に入ることにした。
「ん、ん~」
そのとき、異変に気づいたのかゆきあくんは起きだした。
「あ、ごめんなさい。起こしちゃった?」
「ふぇっ!?」
「うふっ、ゆ~き~あくん♪ 来ちゃった♪」
ゆきあくんは動揺しだした。
「ど、どうしたの香織姉!?」
「うふふ、久しぶりにゆきあくんと一緒に寝たいなぁと思って…。駄目かな?」
「さすがに一緒に寝るのは恥ずかしいよ…」
「え~、でも昔はよく一緒に寝てくれてたじゃん?」
「確かに寒いときはよく一緒に寝てたけど…。でももう暖かくなったよね」
実はゆきあくんは寒いのが苦手なので、寒い間はなかなか寝ることが出来ない。
それで、わたしと一緒に寝て、わたしを湯たんぽ代わりにしていたの。
それなのに、ゆきあくんってば恥ずかしがってて、かわいい~♪
「でも、今日はどうしても一緒に寝たいの…。駄目かな…?」
(正直香織姉と一緒に寝ると、いつも一緒に寝ることを意識しちゃって、ドキドキしちゃうんだ…。でもそんな顔されたら断れないよ…。)
「…。ふぅ、仕方ないなぁー。一緒に寝てもいいよ」
「本当? うふっ、ありがとうゆきあくん」
ゆきあくんはいつもわたしのわがままに応えてくれる。
本当に優しい…。
「…ねぇ、ゆきあくん寝ちゃった?」
「まだ起きてるよ」
「そっか~」
わたしはそう言ってそわそわしていた。
「どうかしたの?」
ゆきあくんは不思議そうにそう聞いた。
「えっと…その…ゆきあくんにひとつだけ言いたいことがあって…」
わたしはずっと胸の中にとめておいた気持ちをゆきあくんに伝えようと思った。
本当はずっと前から言いたかった…。
でも、これで嫌われたくないと思って、ずっと言えずにいた。
だけど、やっぱりどうしても言いたい…。
そう思い、わたしはゆきあくんに告白をした。
「わたし、ゆきあくんのことが好き」
「えっ?」
わたしがそう言うと、ゆきあくんは固まっていた。
「いつからか分からないけど、わたし、ゆきあくんが大好きになったの…。最初は本当にかわいい弟としか見てなかったんだけど、わたし、いつの間にかゆきあくんのことを意識しちゃったの…」
「噓…?」
ゆきあくんはびっくりしたようにそう呟いた。
「だってぼくって小さいし、気弱だし、全然男っぽくないし、いいところなんか一つもないよ…?」
「そんなことないよ。とってもかわいいし、優しいもん。小さいところも気弱で男っぽくないところがわたしにとってはいいところだと思うよ。ゆきあくんは、わたしの自慢の弟だよ」
「香織姉…」
すると、ゆきあくんの目に涙が溢れていた。
「えっ、大丈夫ゆきあくん!?」
「ご、ごめん…。香織姉がぼくのことを好きだと思わなかったから…」
「そうなんだ…。ありがとう、ゆきあくん」
「か、香織姉…。ぼく…」
ゆきあくんも涙を流しながらこう伝えた。
「ぼくも香織姉のこと好き…」
「えっ?」
「こんなぼくにも優しくて、とっても可愛がってくれて、ぼくが落ち込んでも励ましてくれて、本当に理想の姉さんだよ…。うっ、ひっく、香織姉―…えーん…」
「ゆきあくん…」
耐えきれなくなったのか、ゆきあくんは子どものように声を出して泣き出しちゃった。
わたしもゆきあくんに好きって言ってもらえて、思わず涙を流した。
「もうゆきあくんってば泣いちゃって…」
わたしはゆきあくんを優しく抱きしめた。
「ひっく、だって香織姉がぼくのこと、いっぱい褒めてくれて本当に嬉しかったから…。それに香織姉も泣いてるじゃん…」
「ごめんなさい…。ゆきあくんに好きって言ってもらえて嬉しいから…」
「ぼく、香織姉が好き…。大好き…」
「うん、わたしもゆきあくんのこと大好きだよ」
「香織姉…」
「ゆきあくん…」
「うえーん…」
ゆきあくんはわたしに抱きつきながら泣き続けていた。
「本当にありがとう…」
わたしも嬉しくて泣いちゃったよ。
「香織姉…」
それからしばらくして、ゆきあくんは泣きやんでわたしの名前を呼んだ。
「落ち着いた、ゆきあくん?」
「うん、ごめんね…」
「謝らなくていいよ。いっぱい泣いていいからね」
「うん、ありがとう…」
そして、泣き疲れたのかそのまま寝ちゃった。
「すやぁ~」
「うふっ、もう寝ちゃった」
わたしは微笑みながらゆきあくんのほっぺをつっついた。
そろそろわたしも寝ようとしたそのとき、ゆきあくんが
「むにゃむにゃ…。香織姉がぼくの姉さんで本当に良かった…。むにゃ~」
と寝言を出した。
「ありがとう…。わたしもゆきあくんがわたしの弟で良かったよ…。ゆきあくん、おやすみなさい…」
ゆきあくんの耳に小声で伝えて、眠った。
翌朝、わたしたちは、目を覚ました。
「おはよう香織姉」
「おはようゆきあくん」
お互い昨日を思い出して少し笑った。
「昨日は本当にいろいろあったね」
「うん、そうだね」
「昨日の夜、わたしたちいっぱい泣いちゃったもんね」
「うん、香織姉」
「なに?」
「頭なでてくれないかな…」
とゆきあくんは甘えてきた。
「うふっ、どうしたのゆきあくん?」
「今だけ、香織姉に甘えたい…」
「うん、良いよ」
その声に応えて、わたしはゆきあくんの頭を優しく撫でる。
「香織姉、気持ち良い…」
ゆきあくんがそう言いながら、わたしの胸に顔を擦り付けた。
でもわたしは、ゆきあくんを撫で続けた。
「これからもよろしくね、ゆきあくん…」
読んでいただきありがとうございます!
一応ここまでがプロローグになります。これからも二人のことを見守ってください!
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