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#100 初めての姉弟喧嘩 ☆♡

前半はゆきあ視点、後半は香織視点です。

「香織姉、一緒にゲームしない?」

休みの日、ぼくはゲームを持ちながらリビングにいる香織姉にそう聞いた。


「ごめんなさい、今日は忙しいから無理。今日中に仕上げたいものがあるから」

「えっ、今日もなの…」

ここ最近のことなんだけど、何故か香織姉はぼくが一緒に遊ぼうと誘っても断ってしまう。

今までは、そんなことなかったのにどうして?

ぼくは黙ったまま、香織姉を見つめていた。


「どうしたのゆきあくん?」

「な、なんでもない…。今日はもう寝る…」

「えっ、まだ20時だよ?」

ぼくは部屋に戻って、布団に入って寝た。




「香織さんが最近遊んでくれない?」

「うん…」

ぼくは翌日、教室で心愛さんと心音さんにそう説明した。


「まあ、香織さんにも都合があるからしょうがないんじゃない?」

「でもこんなに遊んでくれなかったことないよ…。しかも会話もめっきり減っちゃってるし…」

ぼくは分かりやすく落ちこんでしまっている。


「ゆきあくん元気出して! 今日は誘ってみたら?」

「うん、そうだね」

ぼくはスマホを取り出して、今日は一緒に遊べないかメッセージを送ろうとしたら…。


ピコン!

「ん、香織姉からだ?」

香織姉からメッセージが来た。

メッセージの内容を見ると、『今日は心愛ちゃんと心音ちゃん、誘えるかな?』と来た。


「どうしたの?」

「香織姉、心愛さんと心音さんに用事があるみたい」

「えっ、そうなの?」

「あたしたちに用事?」

「何なのか分からないけど…。2人とも来れる?」

「うん、わたしはいけるよ」

「あたしも~」

そんなわけで、ぼくは心愛さんと心音さんと一緒に家へ帰っていった。




『ただいまー』

「あっ、おかえりゆきあくん! 心愛ちゃんと心音ちゃんもいらっしゃい!」

ぼくたちが家に帰ると、香織姉が嬉しそうに出迎えてくれた。


「お邪魔します、香織さん」

「あたしたちに用事があるって聞いたけど、何かな?」

「うん、実は2人に渡したいものがあって呼んだの」

香織姉はそう言うと、あるものを取り出した。


「じゃーん! くまのぬいぐるみだよ~」

『ぬいぐるみ!?』

「うん、2人ともわたしのお気に入りのぬいぐるみを見てて羨ましそうにしてたから。張り切って作っちゃった♪」

「ありがとうございます、香織さん! 何だか申し訳ないです」

「ありがとう香織さん! 大切にするね!」

2人はとても嬉しそうにぬいぐるみを受け取った。

香織姉がいつも忙しそうにしてたのはそういうことだったんだ…。

…ということはぼくの分も!?


「香織姉、ぼくの分は? ぼくの分もあるの?」

「あっ、ごめんなさい…。ゆきあくんのは時間がなくて作れなかったの…。また今度ね」

「えっ!?」

ぼくの分はないの…?


「香織さん、今日のおやつは何ですか?」

「あー今日はプリン作ったんだけど…。いつもよりちょっと失敗しちゃったの」

「そうなんですか? 食べますよ!」

心愛さんはプリンが食べれるということですごい食いついた。


「あたしのもある?」

「心音ちゃんの分もあるから安心してね」

「やったー」

心愛さんと心音さんは香織姉から渡されたプリンを食べ始めた。

…ん?

ぼくの分が足りないような…。


「か、香織姉…。ぼくのプリンはある?」

「ごめんなさい…。材料が足りなくて、ゆきあくんのは作れなかったの」

「えっ!? そ、そうなの…」

まただ…。

ぼくの中で、答えが何か結び出された。


「…でも、その代わりゆきあくん。今日はゆきあくんの好きなものを…。…ゆきあくん?」

「香織姉のバカー!」

「きゃー!?」

ぼくは思わずそばにあった香織姉のぬいぐるみを投げつけた。


「ゆきあくん、何するの!?」

「香織姉の天然! ドS! 小説ヒロイン!」

「そういうのどこで覚えたの!?」


ぼくは自分の部屋に入って香織姉のベッドに寝そべった。

香織姉、なんで?

今まで一緒に遊んでくれたのに何で遊ばなくなったの?

そう思ったけど、ぼくはあることを考えた。


「香織姉、もしかしてぼくのこと嫌いになったのかな…?」

さすがに香織姉に限ってそれはないと思うけど…。

でも、どうなんだろう…。

やっぱりぼく、嫌われたんじゃ…。

ぼくはそんなことを考えると我慢できなくなって泣き出した。




**********************




「ゆきあくん、どうしたんだろう…?」

わたしは今、ゆきあくんが不機嫌になっていたことに呆然としています。

ーどうしてだろう?

ゆきあくんが声を荒げるなんて…。

こんなの初めてかも…。


「あっ、香織さん…」

わたしが考え込んでいると、心愛ちゃんが声を出した。


「あっ、どうしたの?」

「あの、こんなこと大変失礼で言いづらいんですけど…。香織さん、バカですね」

「えっ、心愛ちゃんまで!?」

今日だけで2回もバカって言われたんだけどー!?


「流石に今日の香織さんはひどいと思うよ…」

「心音ちゃんも!?」

2人とも呆れたようにわたしのことを見つめている。


「今日、ゆきあくん、ずっと泣きそうなくらい落ち込んでて…。わたしたちが話しても、『大丈夫…』って無理に明るく言ってたんですよ」

「あんなに元気ないゆきあくん、久しぶりかも…。あたし、もう見てられないよ!」

そうなんだ…。

一体何があったんだろう?


「…今日はもう帰ります」

「えっ、本当に…?」

「うん、このままじゃあたしたちも楽しめないからね…」

「香織さん、ゆきあくんと仲直りしてくださいね」

「お願い、香織さん」

「うん、ありがとう2人とも。ゆきあくんと話してみるよ」

そんなわけで心愛ちゃんと心音ちゃんは早く帰宅することになった。

わたしはその後、部屋へと向かっていった。




「ゆきあくん?」

部屋に入ると、わたしのベッドで丸まりながら横になって分かりやすく落ち込んでいるゆきあくんがいた。

カーテンも締めて、薄暗い中、テレビもつけていない。

それにしても一体どうしたんだろう?

そういえばここ数日、ゆきあくんの様子がおかしかった。

わたし、何かしちゃったのかな?

でも、考えても思いつかないな…。


「えっと、何か飲む?」

何とかゆきあくんを元気づけようとわたしはゆきあくんにそう言ったけど、ゆきあくんはぶんぶんと2回首を横に振った。


「そっか…」

わたしはゆきあくんの隣に座って、頭を優しくなでた。

いつもならこれで少しは元気になってくれる。

…でも今日は違った。


「グスン…」

ゆきあくんはわたしを見ずに、消え入る様な声で泣いていた。


「どうしたのゆきあくん!?」

「ごめん…。ごめんなさい…」

「あ、謝らないで。ゆきあくんは何も悪くないよ」

わたしは優しくそう伝えた。


「わたしは怒ってないから安心して。どうしてゆきあくんがわたしに怒ったのか教えて欲しいなぁ…。教えてくれたらゆきあくんの好きなもの作るから」

「…本当?」

「うん、本当だよ」

「ひっく、う、うん…。香織姉…」

「なに?」

ゆきあくんはそう言うと、ようやく顔を上げてわたしを見つめる。

ゆきあくんは涙が滝のようにあふれていた。


「香織姉、ずっと前からゲーム一緒にやるって約束したのに、全然遊んでくれなかった…。今日だって、ぼくだけぬいぐるみもプリンもなかったから…」

「ゆきあくん…?」

「それで香織姉、ぼくがいつも引っ付き回ってべたべたくっついて、ぼくといるときは優しくしてくれてたけど、本当は嫌いなんじゃないかなって思っちゃったの…」

ゆきあくんは涙をポロポロとこぼしながら、悲しみに苦しみに耐えるようにそう言った。


「…そう思ってたの? わたしがゆきあくんを嫌いだって」

「うん…」

ゆきあくんはそう言うと、再びこらえるように泣いた。

ーわたしはここまで泣いたゆきあくんを見たのは始めてだった。

わたしは最愛の弟を泣かせてしまった自分に腹が立った。


「ゆきあくん」

「香織姉…? どうしたの?」

「ゆきあくん、ごめんなさい。ゆきあくんとの約束を忘れちゃうなんて、わたし許せない。今日のわたし、本当にひどすぎるよ…。そのうえ、ゆきあくんを泣かせちゃった…。わたしってばゆきあくんとずっと一緒にいないじゃない…。本当にゆきあくんを泣かせるなんて信じらんない…。わたし、ひどいお姉ちゃんだね…」

ゆきあくんはぶるぶると横に頭を振って返事をする。


「ゆきあくん、本当にごめんなさい…。わたしのこと許して…」

わたしも思わず涙を流して、ゆきあくんのことを見つめる。


「どうして…? どうして、香織姉はそんなに優しいの…?」

「どうしてって言われても…」

「ぼくのこと嫌いじゃないの?」

「そんなことないよ。わたしはいつでもゆきあくんが大好きだよ。嫌いだったら、キスしたりなんかしないよ~。ゆきあくん、信じてね」

「…う、うん。ひ、ひっく、うえーん、香織姉!」

ゆきあくんは我慢が出来なくなって大声を出して泣いた。

わたしはそんなゆきあくんをそっと抱きしめる。


「ごめんなさい…。本当にごめんなさい…」

「ゆきあくん…。ひ、ひっく、わたしもごめんなさい…」

わたしもゆきあくんが優しくて、声を出して泣いた。




そしてどれくらいの時間が経ったのかな…?

わたしはとっくに泣き止んで、ゆきあくんもようやく泣き止んだ。


「落ち着いた?」

「う、ひっく、うぐ…」

ゆきあくんは涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔でわたしを見つめる。

わたしはそんな愛くるしいゆきあくんを見て微笑んだ。


「ゆきあくんの気持ちは伝わったから。ありがとう」

「ぐすっ…、うん、香織姉もこんなぼくに優しくしてくれてありがとう」

ようやく泣き止んだゆきあくんに、わたしは言った。


「じゃあゆきあくん、仲直りしよ?」

「うん」

「それから約束しよっか」

「約束…?」

「そう、約束。これからもずっと一緒にいるって約束。してくれる?」

「…うん。ずっと、香織姉と一緒にいる」

ゆきあくんは笑顔でそう言った。


「うふふ、やっぱりゆきあくんは笑ってるのが一番かわいい」

「そ、そうかな…?」

「うん、それとねゆきあくん」

わたしはゆきあくんにこう伝えた。


「今日は夜中まで一緒に遊ばないかな? わたし、ゆきあくんと遊びたい…」

「ー! うん、ぼくも香織姉と遊びたい…!」

「ありがとう~。もうこんな時間だし、先にご飯にしようか?」

「うん! そういえば今日の夕食はなに?」

「ゆきあくんの好きなカレーにするよ」

「本当に? あ、ありがとう…」

「もうゆきあくんってば~。泣かないの」

わたしは、嬉しさのあまり再び泣き出したゆきあくんの頭を優しくなでた。


「うふふ、それにしてもゆきあくん。わたしたち、初めて喧嘩しちゃったね」

「あれ? そういえば香織姉と喧嘩したことなかったんだっけ?」

「うん。なんだか姉弟喧嘩出来たのちょっとだけ嬉しいかも」

「ぷふっ…。何それ」

ゆきあくんはおかしくなったのか、思わず笑ってしまった。


「ねえ、香織姉お願いがあるんだけど…」

「なに、ゆきあくん?」

「い、一緒に温泉入ってくれないかな?」

「どうしたのゆきあくん? いつも入りたがらないのに」

「今日は香織姉に甘えたいから…。お願い…」

「もうゆきあくんってばかわいいんだから…。うん一緒に温泉入ろう♪」

わたしはゆきあくんと一緒に温泉入りました♪


「ゆきあくんとの温泉、久しぶりだなー」

「3日に1回くらい、一緒に入ってるけどね」

「うーん、わたしは毎日がいいなー」

「毎日はさすがに恥ずかしいよ…」

ゆきあくんは顔を赤くしながらそう言った。




温泉から上がったあと、ようやくゆきあくんと新作のゲームをプレイした。

「香織姉とのゲーム久しぶりだねぇ」

「楽しい?」

「うん、楽しいよ。ずっと、楽しみにしてたから」

「ゆきあくん…。本当にごめんなさい…」

「大丈夫だよ、香織姉」

「うん、ありがとう」

それからしばらくするとゆきあくんはうとうとしていた。


「ゆきあくん、もう寝る?」

「…ま、まだいい。香織姉ともっと遊ぶ…」

「もうこんな時間だからだめだよ。また明日遊んであげるから」

「う、うん…。分かった、寝るー」

ゆきあくんは眠そうにしていたので、わたしも一緒に部屋へと連れていった。


「か、香織姉…」

「なに?」

「今日はごめんなさい…。あと、ありがとう…」

ゆきあくんは眠そうにしながらも、お礼を言った。

わたしも同じくゆきあくんにお礼を言った。


「ゆきあくん、わたしもごめんなさい。後、わたしを許してくれてありがとう♪」

いろいろあったけど、わたしとゆきあくんはいつも仲良しです。




読んでいただきありがとうございます。

今回で記念すべき100話を迎えました!

ここまで読んでいただきありがとうございます!

そして、この物語はまだまだ続いていきますので今後も見守っていただけると幸いです。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。


最後になりますが、面白いと思った方、ブックマークやご感想、いいね、SNSのシェア、よろしくお願いします!

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