相貌失認
おそらく、聞きなれない方には何のことかわからないかもしれない。
また、こんなことが本当にあるのか信じない人もいるだろう。
ただ、このような症状を抱え日常生活を送っている人がいる事実を広く知ってもらうために公表することにした。
同じ症状を抱える仲間に少しでも貢献できればと思う。
相貌失認(人の顔がわからない)
俺は相貌失認だ。人の顔をなかなか覚えられない。顔つきが似ている人は、当然間違えることがある。
俺がこのことに気が付いたのは、つい数年前だ。サラリーマンをやめ、自営業に従事するようになって初めて気が付いた。大事なお得意様の見分けがつかないのだ。
最初のころは変だな、としか思っていなかった。しかし、同じようなことを何回か繰り返すうちに、自分が人の判別を顔で行っていないことに気が付いた。色々調べた結果行きついた先が、この「相貌失認」の言葉だった。
まさに自分と同じ症状を持った人物が紹介されていた。自分の場合は、近親者や仲の良い友達は顔を見ても判別がつくが、お客様の場合は、なかなかわからない。おそらく会う回数によるのであろうと思われる。
今までの人生をどうやって過ごしてきたのだろうか。思い返してみて分かったことは、
顔よりも全体的な雰囲気や服装、色、メガネ、髭、帽子、鞄、声などの部分に注力して
判断していたのだ。
サラリーマンの頃も、取引先との失態こそはなかったが、人ごみの中から誰かを探すことが出来ないことはあった。ただ、自分が「相貌失認」である自覚がなかったため気に留めていなかったのだ。
どうやら俺は先天的ではなく後天的にこの症状になったようだ。なぜなら、思い当たる記憶があるからだ。
30代前半だと思う。転職先の仕事がハードであり何か月も長時間残業や徹夜が続く状況があった。仕事が嫌いでなく、この会社で結果を出すと信じて疑わなかったため我武者羅に働いていた時期があった。
ある晩の夢の中で、なぜか顔のパーツである目、鼻、口、耳などの画像が遠ざかっていくような記憶が残っている。どうやらこの時に何らかの障害が脳に起こったのでないかと思う。ただ、その後のサラリーマン人生でも「相貌失認」を自覚することなく過ごせていたのは、人間の脳の優れた機能に助けられていたのだと思う。
今の仕事においては、お得意様には自分が「相貌失認」であることを伝えてある。変に隠してトラブルになるよりお互い気持ちよくいられることを優先した結果だ。
お客様に嫌われたりするのではないかと危惧もしたが、逆に症状についていろいろ尋ねられたり同情されたりして、少しこそばゆい気がしたりしている。
もしも、この症状を隠して人間関係に苦痛を感じている人がいたら、積極的に相手に情報を開示することを提案する。その方がお互い救われるはず。少なくとも私はそうだった。
有名人では俳優のブラッドピットも、自身が「相貌失認」であることを公言している。
勇気をもとう。
以上
お読み頂き、ありがとうございます。
「面白い」「続きが読みたい」と思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星
よろしくお願いします。
嬉しさのあまりモチベーションが上がり、更新も早くなりそうです。
応援よろしくお願いします。!!!!