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第24話 地下室

「全ての部屋を回ってみましょう。発生源っぽいのがあったら、全力でゾンビ・ピュリファイを放ちます。それまではMPを節約したいので、戦闘はクラリッサさんがメインでいいですか?」


「おっけー、任せなさい!」


 クラリッサは張り切って、ゾンビをバッサバッサと斬っていく。

 おかげで一階も二階も、全ての部屋を素早く回れた。

 しかし、それらしきものは見つからない。


「なにか見落としてるのかなぁ。そもそも発生源がどんな形なのか分からないし……形がある物体なのかも分からないし……」


「けれど、屋敷全体がこんなに禍々しい気配で包まれてるわけですから。ゾンビの発生源は、その気配の中心です。見た瞬間に『これだ!』と分かるくらい禍々しいと思うんですよ……多分」


 気を取り直して、もう一度、屋敷をウロウロする。

 一階の廊下を歩いていると、ミシリ、と音がした。

 明らかにほかの場所と違う音だった。

 絨毯を剥がすと、木の床に取っ手がついていた。それを引っ張ると、地下へ続く階段が現れたではないか。


 アオイはファイアの魔法で小さな明かりを作り、その先を照らす。

 ゾンビが所狭しと蠢いていた。

 ゾンビたちはこちらに気づき、階段を駆け上ってくる。


「うひゃぁ、気持ち悪っ!」


 クラリッサは悲鳴を上げながらも飛び降り、剣の一振りでゾンビを複数、同時に斬った。


「アオイくんは私が守る!」


 十数体いたゾンビが、あっという間に全滅してしまった。

 相変わらず、彼女の剣さばきは美しい。

 けれども――。


「あの。MP節約のために前衛をお願いしましたが、別に一人で全部倒さなくても……」


「いや! 美少年を守る女剣士……燃えるシチュエーションだよ! 頑張らせて!」


 どうやらクラリッサは物語の主人公になったつもりらしい。

 そういうことなら活躍の場を奪っては気の毒だ。

 思う存分、頑張っていただきたい。


「さあ、ゾンビども、かかってこい! 私に格好いい活躍の場を与えろ! そしてアオイくんがゾンビを怖がって抱きついてきたりしたら最高!」


 しかし、その地下室にゾンビはもういなかった。新たに湧いてくる様子もない。

 クラリッサは気合いが空回りした反動で、シュンと肩を落とす。


「元気を出してください。今晩、またボクを抱き枕にしていいんで」


「マジ!? やったぁぁ、テンション上がってきた!」


 簡単に機嫌が治ってしまった。

 ここまで喜ばれると、アオイも嬉しくなる。

 人に好かれるというのは、とても心地がいい。


 それはそれとして、地下室を調べる。

 どうやら物置のようだ。

 壊れた樽や戸棚などが転がっている。

 おそらく試験管やビーカーだったと思わしきガラス片も散らばっていた。


「なんかの実験、とかしてたのかな?」


「かもしれません。それよりも……あの扉……ヤバそうな気配ですよね」


「うへぇ……魔法に詳しくない私でも、なんかビリビリと魔力を感じる……」


 地下には、更に向こう側があった。

 近づくのを躊躇するほどの威圧感を放っていた。

 ゾンビの発生源は、あの扉の向こうにある。まだ開けていないのに、そう確信させるものがあった。


(RPGならボスキャラが出てくるな……)


「私が開けるから。アオイくん、援護をお願いね」


 私が全部やる、とは言わなかった。

 普段が脳天気でも、本当の危険が迫ったら慎重に動ける。そういう人だから、アオイは彼女を信頼しているのだ。

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