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Melt:world〜元ブラック勤務の私が気づかず世界を救っちゃう〜  作者: 江野のき
第一章 世界の変革
9/10

9.実験場

 今日もいつもどおり朝の5時に目が覚め、昨日作った料理のあまりをレンジでチンして食べている。


 これまたいつもどおりテレビを付けているとスキルのことについての話題で盛り上がっていたので耳を傾けてみると、


──────────────────────────


「スキルについてどうお考えですか?」


「そうですねえ、やはり最近増えているスキルを使用した犯罪なんかが気になるところではありますねえ。」


「やはり何か対策などは、なされるんでしょうか。」


「現在政府はスキルに関する法整備の準備を進めていますが、まだしばらく時間がかかりそうということで更に一層警戒を強める姿勢をとっていますね。」


「それではもし仮に犯罪の現場に居合わせた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。」


「そういった場合には直ちに現場から離れるのをおすすめします。

 もし仮に強力なスキルをお持ちだったとしても、それを使用して万が一殺傷などしてしまった場合には防衛としてやったとしても過剰防衛として同じく犯罪者になりかねません。」


「なるほど。やはり逃げることが一番大事という事なんですね。

 本日は誠にありがとうございました。」


──────────────────────────


 どうやらスキルを使用した犯罪が多発しているらしい。

 私の場合まだ検証できていないけど攻撃を防ぐ手段を昨日の夜に思いついた。

 今日の検証で実際に試してみるつもりだ。


 昨日、冰室さんが言っていた実験場は会社の事務所から少し離れたところにあるらしいので今日は案内してもらうために一旦会社に向かう予定だ。


 10時頃集合らしいのでまだ少し時間がある。


「せっかくだし、昨日買ってきた材料でお菓子でも作ってみようかな。」


 とはいえ朝食はもう済ませたのであまり重たくないものにしよう。


 ということでクッキーを作ることにした。

 お菓子を作ったことがなかったので、調理器具があまりなかったけれど、なんとかそれっぽい形ができたのでレシピを見ながら焼いてみると、1回目にしてはなかなかのものができた。


 私は性格上心配性なことと初めてだったこともあって、何度も何度も確認していたのも功を奏したのかもしれない。


 そんなこんなしていると9:30になっていたので出発の準備を始めた。

 せっかくうまく作れたので冰室さんにも持っていってあげようとたまたまあったオシャレな小包に包装して鞄に入れ家を出た。


──────────────────────────

 会社に到着するとエントランス付近に冰室さんがいることに気づいた。


「おはようございます。今日はよろしくおねがいします。」


「おはよう。あと、そんなに改まらなくても大丈夫だよ。私は社長とはいえ社員はまだ10人ほどしかいないしね。

 それに君とは上下の関係ではなくて対等な関係でいたいんだ。よければため口で話してはくれないか?今すぐ無理そうならば少しずつ慣らしてもらっても構わないからね。」


「はい、わかりま……ううん、わかった。今すぐに全部ため口は難しいですけどできるだけそうしようと思います。」


「ありがとう。それでは早速実験場に向かおうか。」


 そう言って歩き出した冰室さんに付いていくと、5分くらい歩いたところにかなり大きな建物があった。


「着きましたよ。ここが実験場です。ここは土日は体育館として貸してあげているんだけど、基本的にうちの会社でスキルに関した実験等に使っている施設だ。

 有事の際の避難場所としても機能しているから覚えておいていてくれ。」


 中に入るとパッと見はありふれた市民体育館のような雰囲気だがどこでスキルの実験をするんだろうか。


 そんなことを考えていると丈夫そうな鉄扉の前で冰室さんが止まった。


「この扉の先にエレベーターがあるのですが、そこから地下に行くと実験場があります。かなり深いところにあるのでスキルの実験にはもってこいなんです。」


 鉄扉を開けた後私達はエレベーターに乗り込んで地下の実験場に向かった。

 確かに冰室さんが言っていたとおりかなり深いところにあるのかそこに辿り着くまでかなり時間がかかった。


「着きましたよ。ここが訓練場兼私たちの本当の職場です。」


 そこには地下とは思えないほど広い空間が広がっていて本当に驚いたのだが、それよりも冰室さんの言葉に引っかかった。


「あの、本当の職場というのはどういうことですか?」


「説明が遅くなってしまってすまない。実は君と今日待ち合わせしていたあの場所はあくまで仮の事務所なんだ。」


「ええぇ!?そうだったんですか?」


「ああ、君を騙すような感じになってしまって申し訳ない。少し話が変わるが、君は最近スキルによる事件が多発していることは知っているかい?」


「はい。私も昨日遭遇したばっかりですしね。」


「そうだったのか。それは災難だったね。それで話を戻すが、政府がスキル関係の法整備を進めていることも知っているかい?」


「はい。」


「私はそれによってスキル使用に関して大きな制限が課せられると考えている。そこで私は表向きにはありふれたベンチャー企業、裏ではスキルの研究をやろうと考えついた。

 初めはなかなかうまくいかなかったさ。ここを作るのも今の科学技術じゃあできなかったんだ。

 でも、幸いにも私には鑑定スキルがあった。おかげでいいスキルを持った人たちを集めることができた。【結界魔法(SSR)】や【土属性魔法(SSR)】など見つけることができた。もちろん君もだ。

 そんな経緯で表向きの事務所をあの場所においているんだ。」


「なるほど。もしかしてなんですがここに結界魔法的なやつがかけられているんですか?」


「そうだよ。まあとはいえスキルは使い続けなければ効果がなくなってしまうということが実験でわかったので、どうにか持続する方法はないかと何度も実験をすると特定の魔法陣にエネルギーを注ぎ込むことで維持できることがわかったんだ。

 しかもそのエネルギーは電気で賄えることがわかった。これも実験してわかったんだが、結界の丈夫さはTNT200個分相当の威力にも耐えられるらしい。」


「そんなに丈夫なら安心ですね。」


「済まない、つい話しすぎてしまった。せっかく実験場に来たのだから実験をしていこうか。」


 そう言って私達はスキルの実験を始めるのだった。

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