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Melt:world〜元ブラック勤務の私が気づかず世界を救っちゃう〜  作者: 江野のき
第一章 世界の変革
8/10

8.相談

───2054年4月4日午前11:00頃、東京都の〇〇区にあるスーパーでスキルを使用した窃盗事件が発生しました。


 これに対し警察は、スキル使用による犯罪者にはスキルを使用して捕まえるとした方針を掲げており、この事件の犯人は〇〇駅の改札の前で下着以外の衣類を着用せずにいたところ逮捕されました。


 このことに対して警察は余罪を追求しているが、「逃げている途中で突然服が消えていった」などと供述しており、当時現場にいた目撃者にも聞き込みをしているようです。


──────────────────────────


 私は早速家に帰ると途中本屋に寄って買ったレシピ本を見ながら軽い料理をしてみたが、案外悪くない出来だったのではと私は思う。


 いづれは高級料亭並みの料理をつくれるように練習しようと意気込むと同時に、しばらくはスーパーには行きたくないとも思った。


 そうこうしているうちに、時刻は17:15になっていたので準備をして家を出た。


──────────────────────────


 私は言われた場所に17:50頃についたのだが、もう既に冰室さんは待っていた。


「すいません。待たせちゃいましたか?」


「いえいえ、ちょうど今来たところですよ。それよりも案内しますのでついてきてください。」


 そう言って冰室さんは歩き出すと明らかに雰囲気が周りと違うお店の前で止まった。


「今日は私がお誘いしたので遠慮なさらなくて結構ですからね。」


 私はこのようなお店に入ったことが一度もなかったので内心緊張気味に冰室さんのあとに続いた。


 席に案内されるとメニューを渡されてたのでウェイトレスさんにおすすめを聞いて頼むと冰室さんも同じものを注文していた。


「早速で悪いんですけどスキルについて教えてほしいと言っていただいたのであまり人に聞かれてはまずいと思いましたので、私が前に経営に関わっていたお店にお願いして貸し切りにしていただきました。

 なので安心して話していただいて結構ですよ。」


「貸し切り!?こんなに高そうなお店なのにそんなことして大丈夫なんですか?」


「ああ、そのことなら心配なさらなくて結構ですよ。もともとこのお店の営業時間は既に終わっていますから、貸し切りと言ってもお店を開けて頂いているだけですからね。」


「なるほど。なんというか流石ですね。こんなお店まで経営なさっていたなんて。」


「いえいえ、そんなことはないですよ。まだ料理が来るまで時間があるのでお話でもしていましょう。」


「わかりました。じゃあ早速なんですが、恐らくお察しでしょうが私はEXスキルを持っています。

 その効果はどんなものでも()()()ことができるといったものなんです。」


 私は続けてここ最近自分で調べた限りの効果を一通り説明した。


「なるほど。()()()というのは昨日返信させていただいたような事だけではなく本当になんでも()()()事ができるのですね。」


「はい、そうなんです。でも私はこれ以上考えてもとかせそうなものが思い付かなくてですね、ご相談させて頂こうかと思ったんですよ。」


「そうだったんですね。そういうことであれば今度うちの事務所にある実験場で一緒に検証してみませんか?」


「へえ、そんな所まであるんですか。それなら是非お願いします。」


「わかりました。それならば是非明日から取り組みましょうか。」


 そうして私は冰室さんとスキルについての検証をする約束を取り付けた。


 その後はなんとも高級そうな料理をいただきつつ雑談に花を咲かせていっていると、気づけば時刻は22:00をまわっていた。


「つい時間を忘れて話し続けてしまいましたよ。

 これより遅くなると明日からの検証に響いてしまいかねないので今日はここらへんでお開きにしましょうか。

 外ももう暗くなっているのでぜひ送らせて頂きますよ。」


「それじゃあお言葉に甘えさせていただいてもよろしいですか?」


「わかりました。それじゃあ私の車がすぐそこに止めてあるので行きましょうか。」


 そう言って歩いて5分くらいのところの立体駐車場にやってきたがあまり車に詳しくない私でも高そうだと感じるような車の前で、


「どうぞお乗りください。」


 と言って助手席ドアを開いて待っていてくださいました。

 これがいわゆる紳士というやつなのだろう。

 今までこのような男性と関わったことなかったので都市伝説としか思っていなかったけど、実際に目にすると惚れてしまうのもわかってしまいそうだ。


 そして冰室さんも、運転席に座ると家の住所を伝えて出発した。


「へえ、ここに住んでいたんですね。実は私の家もすぐ近くにあるんですよ。」


「そうなんですか!?知らなかったです。って言っても教えてもらってないので知らないのは当然ですよね。」


「ははは。多分駅に向かうときに私の家の前を通るんじゃないかな。2階建ての塀に囲まれた白い一軒家だよ。」


「もしかしてなんですけど、公園の前に建っているあの大きな家のことですか?」


「そうですよ。実はあの公園も私が建てさせたものなんですよ。

 私は子供が好きなので楽しく遊べるものがあれば喜んでくださると思って作ったんです。」


「そうだったんですか!?本当に冰室さんには驚かされっぱなしですよ。

 確かあの公園ができたのは5年くらい前でしたよね。

 てっきり町内会の決定で建てられたものかと思っていました。

 それに私はあの公園によくお世話になっているので本当に助かったいます。」


「そう言っていただけて光栄ですよ。」


 そんな会話をしていると、もう私の家と近くまでついていた。


「ありがとうございました。明日もまたよろしくおねがいします。」


「こちらこそお願いするよ。」


 そんな会話を交わして私達は別れた。

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