隣町はいくことになりました。大人げないと言われても時にはやるしかない時があるんです。
朝食を食べたあと、二人の装備を充実させる。
二人にはスカイコンドルの服をインナー代わりに着させているので通常の攻撃ならば問題はないだろう。
でも見た目や雰囲気もあるので一応買ってやることにする。
見た目も大事だからね。
武器は兄はお父さんの形見の剣と予備で俺の魔剣、妹は俺が作った短い魔剣を渡してやる。
ミムラの方は両手剣のスキルもあるので今から慣れさせておいた方がいいだろう。
リリーの方は体術メインなので短めの剣にしてそのうち弓矢の装備も作る予定だ。
隣町までの道のりは街道をまっすぐだと門の兵士の人が教えてくれた。
隣町でもギルドカードが身分証明書の変わりとになるから忘れない方がいいということと、奴隷と従魔には身分証明書が必要ないということなのでそのまま出発することにする。
隣街までゆっくり歩いていっても訓練にならないので全員で走って行くことにする。
熱血体育教師にでもなった気分だ。
「よし!行くぞ!みんなで隣町を目指して走って行くぞ!」
★
1時間後。
「ハァハァハァ…もう無理。少しゆっくり行こうぜ。」
俺一人バテていた。
「ご主人様。大丈夫ですか?街まであと半分くらいですから少し休みますか。」
子供に情けをかけられるなんて大人としてのプライドが。
街をでて最初の10分くらいはかなりいい感じだった。
普通に走っている馬車をみんなで追い越しかなりのハイペースで走っていた。
でも途中で俺がミムラとリリーに
「どうした?本気で走っていいぞ。」
と言った瞬間。二人の姿は遠くの方へ走りさっていた。
あれ?大人の余裕と言うかチートな能力で俺のすごさを見せようと…。
なんて考えていた俺が間違いだった。
「ご主人様がくれた高回復薬を飲んでから身体がすごく軽いんですよ。まるで羽が生えたみたいに。」
「ご主人様ありがとうございます。私も呼吸が苦しくなくなって身体がすごく軽いんです。」
こころの中でごめん。俺が生意気言ってすみませんでした。
と謝っているとシェル―から「ダサッ!!」とだけ言われた。
情けない。でも泣き言なんて言ってられない。
こうなれば最終奥義を使うしかないようだ。
こんなところで負けていられるか。
俺は二人にこの先に魔物がいたらば排除するように言い危なそうならばすぐに逃げてくるように伝えた。
無謀と勇敢は違うのだ。ただ、気配感知にひっかる魔物はほとんどいない。いてもあの二人の敵ではないだろう。
二人はすぐに見えなくなったが俺だって伊達に転移者なわけじゃない。
基本スペックで負けるならば創意工夫で勝てばいいのだ。
★
この日街道をものすごい勢いで走る2輪の珍しい乗り物に乗った冒険者がいた。
「走るので勝てないならば自転車に乗ればいいのだ。」
だいぶ離されていた二人に追い付く。
ラッキーから鉄鉱石をだしてもらいそれを自転車のフレームを作り、スカイコンドルの羽でタイヤ部分を作成して地面との摩擦をほとんど消した。あとは前に進む力さえこめればいい。
さらに、魔力電動をよくして電動自転車のように滑らかな加速をアシストさせることに成功した。
俺は二人に並びながら、
「どうしたのかな?それが二人のトップスピードかな?」
と挑発しながら自転車を運転していた。
シェル―から
「大人げない上に卑怯だなんて人間のクズね。」
と罵られたがこんなところで負けるわけにはいかないのだよ。
そんな無意味な争いもそれからすぐに終わった。
歩いて1日という距離を1時間半程度で走破したのだ。
「ご主人様その馬車はすごいですね。交通革命をおこしてしまいますね。」
「ご主人様は顔だけじゃなくて知識も体力もすごいんですね。尊敬します。」
曇りのない二人の目を見ているとなんか本当に情けなくなってきた。
うん。無駄に張り合うのはやめよう。ごめん。大人げない大人でごめん。
二人に帰りはゆっくり帰ろうと話して街へ入ることにする。
隣町はヒロムシラという街だった。




