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廃村の中で情報収集と薬草集めをしてみる。

目の前にスライムがいる。


スライムはこちらを見ながら何かを訴えているようだ。


「戦う…感じではないよな。」


この世界が俺の夢なのかどうかはわからないが、最弱のテイマーの職業だと言われればやることは1つしかない。仲間にできるならば仲間にしてみたいが、拳と拳で語り合う必要があるのだろうか。


考えていると、

「ねぇねぇ。僕を冒険に連れて行ってくれない?」


スライムから声が聞こえる。どうやら戦って倒さなくても仲間にすることはできるようだ。


「ねぇってば。」


スライムはこちらを見ながらポヨン♪ポヨン♪と動いている。

俺はスライムを優しく抱きかかえる。


触った感じはふくよかな女性の胸のような弾力だ。


「僕を冒険に連れていって。」


スライムは可愛くこちらを見てくる。


「いいよ。俺と一緒にこの世界を旅しよう。」


スライムが仲間になることを了承するとピロリンという音が響く。

あたりを見渡してみるが音の出るようなものはない。

どうやら俺の頭の中だけで響いているようだ。


それと同時に目の前にゲームウィンドウがひらかれる。


―――――――――――――――――――――――――――

「スライムが仲間になりました。」

―――――――――――――――――――――――――――

うん。今回は普通だ。


「君の名前を教えてくれる?」


「名前?僕はね。名前がないんだ。お兄さんの名前は?」


「俺はマモルって言うんだ。」


「マモル。いい名前だね。僕も名前が欲しいな。」


スライムはプルプルしながらそう答える。

名前か。どんな名前がいいだろうか。

この世界でどんな名前がいいのかもわからない。


でもせっかくこの世界に転移してきたのだから社畜を卒業して幸せになりたい。

うーん。少し悩んだ結果、この世界で幸運に恵まれるようにラッキーという名前にすることにした。


「君の名前は今日からラッキーだ。俺の住んでた世界で幸運をあらわす言葉なんだ。これからよろしくラッキー。」


「ラッキー…僕の名前はラッキー。うん。ありがとうよろしくね。僕はマモルって呼べばいい?」


この世界でも上下関係などやっぱりあるのだろうか?

とりあえず、呼び捨てやさん付けもめんどくさいので、


「俺のことはマスターって呼んでくれればいいよ。」


「わかった。マスターよろしく。」


スライムは俺の手の中でポヨポヨしている。

すごく触り心地がいいし、可愛い。


「マスターこれからどこへ行く?」


「う〜ん。そうだな。」

考えてみたがセオリー通りならばここからどこか近くの街へ行くのが一番だろう。


「どこかこの近くに町はあるかい?」


「えっとね…誰もいない町ならばあるよ。」


誰もいない町?廃村ということだろうか。

ラッキーはこっちだよ。と言って俺を廃村まで案内してくれる。

俺はスライムの導きでゆっくりと森の中を進んでいった。



しばらく歩くとひらけた場所にでる。

そこには本当に村があった。


すでに人が住まなくなってからしばらくたっているようだ。

とくに燃えた跡などはないがドアに壊された跡などがあるためもしかしたらば、魔物か盗賊などに襲われたのかも知れない。


俺は早速一番近い家に入って家の中を物色する。

食べ物などはまるでないが、この世界の本や調理に必要な鍋などを発見した。


「さて…どうしようか。」


まずはこの世界の文字が読めるのか確認する。

本を開いてみると、普通にこの世界の文字は読めるようだ。


文字じたいは見たことのない文字だが目で追うと理解できる感覚だ。

その本の中には料理のレシピ本らしかった。


美味しいマンドレイクの調理法とか、3分間でわかるオークのブッコミ煮だとか、グリーン狼の血抜きから毛皮の処理とか。なんだか内容がぶっ飛びすぎててなんとなくしかわからないが、それでも一応使えそうなので一通り読んでみる。

何となく理解ができたころ頭の中でまた機械音がピロリンと鳴り響く

―――――――――――――――――――――――――――

マモル

職業 テイマー

スキル 料理 魔物解体 薬草処方

属性 なし

HP 50/50

MP 50/50

―――――――――――――――――――――――――――


おぉ!本を読むだけでスキルが手に入った。これはチート能力というやつではないのか。

そんなことを考えながら他の家も見てみる。


たいした本はないが片っ端から本を読んでいくと頭のなかでピロリンと何度もなっているのでいろいろなスキルが身についているようだ。


ただ、どうせならばマジックボックスが欲しい。

そんなことを思って念じるとまた画面が表示され

―――――――――――――――――――――――――――

マジックボックス

―――――――――――――――――――――――――――

という表示がでてくる。

適当に手に持っていた本を収納と頭の中で考えるとマジックボックスの中に本が収納される。


うん。これってもしかして万引きし放題か?

いや、でもステータスとかに賞罰とかでたらば大変だからよからぬことはやめておこう。


そんなことを考えながら8件ほどあった村の家の中を全部あさる。

途中の1件の家で地図を見つけることができ、この村の場所と近くの街の場所などが書かれていた。


どうやらこの村の東側に少し大きな街があるようだ。


そのためまずはこの村で1泊することにする。

水は井戸があったのでそこで確保する。


「グッ~。」


お腹が盛大になる。4連勤中もろくに物を食べていなかったがここに来てからも何も食べていない。

鍋はあったが火は使えない。


さてどうしたものか。このままだと普通に餓死する。

何か食べるものがないかと探して見ると先ほど得たスキルの中に薬草学というスキルを発見する。

スキルを使ってあたりを見渡すと雑草の中に▼表示があらわれる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――

ヒツメ草

体力の回復に使われる草。

少しの怪我の治療に効果がある。

生でも食用可能

―――――――――――――――――――――――――――――――――

と記載されている。


ないよりはマシだろう。

ラッキーにこの草を集めてもらえるかと聞くとわかった。と言って森の中へ消えていく。

「あんまり遠くへいくなよ!」

そう声をかけて見送り、今度は俺も色々な薬草や使える草を集めておく。


どうせ街へ行ったらば初回は薬草採取のクエストみたいな感じだろ。

歩きながら▼マークの草を踏みつけてマジックボックスへ収納していく簡単なお仕事だ。


見える範囲の薬草をゲットし、井戸水で洗って少し食べてみる。


うん。味はないけど苦味なども特にない。

少しだけ食べてラッキーが帰るのを待ってみる。


どうせならば一緒に食事にしよう。

そんなことを思っていたが一向に帰ってくる気配がない。


「…えっもしかして速攻魔物とかにやられた感じ?」

悪い予感しかしない。スライムと言えば最弱の代名詞みたいなものだ。

しばらく村で待っているがその日の夜スライムが帰ってくることはなかった。

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