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初めての奴隷を買いに行ったらば予想外な展開への序章となりました。

奴隷商へ向かうためにニラクさんは馬車を貸し出してくれた。

この馬車はニラクさん個人の持ち物らしく、今日は使わないのでもしどこかへ行きたい場合には自由に使ってくれということだった。


奴隷商のところにはニラクさんの執事のリムモさんが付き添ってくれた。

リムモさんはショートカットの髪形をした金髪のキレイな女性だった。


ただ、もと冒険者らしく引退はしたがその辺のゴロツキニは負けないということだった。

「まもるさんの護衛を兼ねていますが、事務作業でもなんでもこなせますので何かあればお申し付けください。」と言ってくれた。


奴隷を買う時の注意点や選び方も教えてくれるということなので、一人でいくよりは安心だろう。


馬車に乗りだいたい10分くらいだろう。

街の様子が少しずつ変わっていった。


今まで見ていた街は整備され道もきれいだったが。

徐々に道は細くなり、信用できない人間ときたらば間違いなく警戒してしまうだろう。


俺は馬車の中から外を眺めていると、たまあに、家の入口に札をもった子供が立たされている。

そこには300とか500とか書かれている。

りリムモさんに聞いてみたところ、あれは親が子供を売り飛ばしているということだった。


ここからはこの国の黒い部分になってしまいますがと前置きがあり、この国では親が子供を売り飛ばすのは当たり前の収入源としてなりたっているとのことだった。


子供の奴隷というのは正直需要が少なく、奴隷商も買い取らないらしい。

もちろんこの国にも孤児はあるが魔物に両親を殺されたり、冒険の最中に死んでしまったりと孤児になる子供があとをたたず全部の子供を引き取れるわけではないらしい。


貧困の子供たちに少しでもということでニラクさんも週に1度炊き出しのボランティアなどはしているが、この国の貧困問題もかなり根強い問題があり根本的な解決まではいかないということだった。


すべての子供たちを助けてあげることはできないが少しでも今後何かかかわっていきたい。

そんなことを思いながら外に目をやるていると、頭のなかでいきなりシェル―が馬車を止めてと言い出した。


「リムモさん一度馬車を止めてもらってもいいですか?」


「わかりました。でも正直子供の奴隷はオススメはしませんよ。」


「はい。ちょっとだけですので。」


そう言ってシェル―に声をかける。

「どうした?」


「マスターあそこの子供をなんとしても買ってください。」

そうシェル―はいいだした。


「いや、シェル―お前が奴隷使えないんだから買ったって意味ないだろ。」

そう返事をしたがシェル―は黙ってしまった。


シェル―が言っていたのは今まで貧困街でみて子供の奴隷の中でもひときわ身体の小さな子供だった。

金額は空白で特に書かれていない。


俺が目を向けていると、リムモさんが、

「あの子は冒険者バスルとククリルの子供ですね。」と話し出した。

あの子供は昔名のある冒険者コンビの子供だということだった。

高ランクの依頼をこなし、かなり裕福な生活をしていたが旦那が魔物に殺され、妻もそのあとまもなく一人で冒険にでて亡くなってしまったらしい。


兄と妹の兄妹2人が残され莫大な遺産があったが、それも親戚の人間に奪われこんなところまで落ちてしまったのだろうということだった。


シェル―が無駄なものを買えというとは思えないので一応見に行ってみる。

その子供は15歳だと言っていたが着ているものはボロぞうきんのような布が一枚で隙間から見える身体はガリガリに痩せ細っていた。


「やぁこんにちは。」

俺が話しかけても男の子は死んだ魚のような目で俺のことを一瞬見るとまた目を背けてしまった。


うーん。とりあえずここがこの子の家なのだろうから家に声をかけてみる。


家の中からでてきたのはこんな場所ではありえない、いい服を着たおばあさんだった。

おばあさんの前の子供は奴隷として売り出しているのかと聞くと、俺の身なりと執事のリムモさんを見て2000リンだねとふっかけてきた。


リムモさんは冷静に、

「マモルさん2000リンだせば普通に大人の奴隷が買えますので他の奴隷にしましょう。」

そう言ってきたので一度帰ろうとすると、ちょっと待ちなさいよ。まだ売らないとは言ってないでしょ。と引き留めてきた。


おばあさんが言うにはこの子の両親は凄腕の冒険者でこの子もその血を引いているんだから凄腕の冒険者になるに違いない。だから値段が高いんだとと説明をしてきた。


俺は

「でも、弱かったから結局死んでしまったんですよね?」

男の子の前でそういうと男の子の目が一瞬変わったがまたすぐに戻ってしまった。


おばあさんは、それは運が悪い時だってある。この子は剣の腕だって凄腕だからそこらの大人にだって負けはしないんだからと言い出した。


凄腕ねぇ。男の子の腕には筋肉どころかほとんど皮下脂肪も何もついていない。


「まぁ話しを聞かせてもらったのでそこまで凄腕だというならば腕だめしくらい見てもいいけど、普通にやってもつまらないので俺と賭けをしませんか?」


そうおばあさんに持ちかけると目を輝かせながら

「かけ?内容によっては受けてやらないことはないよ。」

と嬉しそうにしている。


おばさんはギャンブル好きなのか予想以上にノリノリだった。

賭けの内容というのは、俺はテイマーで、2日前に仲間にしたスライムがいるからそのスライムを倒せたらば2000リンで購入してやるというと大喜びでのってきた。


ケケケ…ラッキーには正直俺だったかなわないのに。


最初の取り決めとして怪我をしたらば自己責任だということも伝えておいた。

一応リムモさんにも確認をしたがお互いが同意の上であれば決闘とみなされ怪我や死亡しても罪にはならないということだった。


おばあさんは楽しそうにスライムごとき私でも勝てると言っている。

ただ、それだとあんたのうまみが少なすぎると言うので、値付けが空白だったので気になっただけで別にそれほど欲しくはない、ちょうど小間使いの奴隷を欲しかったからよっただけだと伝えた。


ただ、いくら何でもスライムに負けるような奴隷ならばいらないとも。


そしてラッキーと子供奴隷の戦いが始まった。

武器がないというので先日俺が作った鉄のナイフを貸してやる。


切れ味をおばさんの前で見せたらばこれならば絶対に勝てると思ったのかさらにニヤニヤしていた。

…確かに人のニヤニヤしているのは気持ち悪かった。俺も気をつけよう。


ラッキーには殺さないように手加減して勝ってくれと伝えておく。

ラッキーは、

「子供には優しくするです。僕は大人なのでそれくらいわかるです。」

と言っている。ツッコミどころ満載だが…うん。とりあえず殺さずに勝ってくれればいいよ。


男の子とラッキーが対峙した瞬間、男の子はナイフを構えスライムにいきなり切りかかった。

細かいルールなどは決めていなかったが奇襲が効果的だと判断したのだろう。


でもラッキーは何事もないかのようにポヨポヨ逃げ回っている。

空を切るナイフ。


勝負は長くは続かなかった。もともと飢餓状態のところに急な運動をしたため男の子が足をよろけたのだ。ラッキーはその一瞬を見逃さずに押し倒し左腕へし折った。


オイッラッキー!!子供へ優しくするっていうのはどうした!?

できるだけ俺の動揺を表にはださないようにする。


鈍い音が聞こえた後に男の子の悲鳴が聞こえる。

他の人たちは転んだひょうしに折れたように見ただろうが、あきらかにラッキーがへし折っていた。


ラッキーは子供にたいしても容赦なかった。

ラッキーは褒めてといいながら俺に飛びついてきたのでありがとうといってラッキーを抱きしめる。

うん。相変わらず触り心地がいい。でもラッキーにだけ聞こえるように腕をへし折るのはやりすぎだよ。と伝えておいた。


さて、それはいいとして。

「凄腕と言ってスライムに負けるような奴隷はいらないですね。」

とおばあさんに冷たく言い放つと。


「お前が怪我をさせたんだから買い取れ!」

とすごい剣幕でおばあさんは言ってきた。


そこへリムモさんが冷静な口調で、

「先ほど言った通り怪我は自己責任ですし、スライムがあえて怪我させたわけではありません。正直転んで骨折するような奴隷は奴隷としての価値はありません。」

そう言い放つとおばあさんは唇をかみしめるも何も言い返すことができない。


ただ、見殺しも可哀想だから200リンならば購入してやるというと、こんなゴミいらないから200リン置いてさっさとでて行けとおばあさんに言われた。


俺は200リンを支払い。大切なことなのでとリムモさんは魔法で奴隷の契約書と売買の契約書を作成してくれた。これで後から問題になることはないらしい。


男の子を連れて行こうとすると男の子が、

「ご主人様、買って頂いた上にこんなわがままを言える立場ではないことはわかっているんですが、、私の妹も一緒にお買い上げいただけないでしょうか?」

さっきまで死んだ魚のような目をしていた男の子が目をにじませながら訴えてきた。


そういえば確かに妹がいると言っていた。

おばあさんに妹はいるのかと言うと、あんなのは100リンでいいと言い出した。

早速契約をして妹見に行くと妹の方は家の外の物置の中に横たわっていた。


妹は小屋の中で汚物と腐敗臭でひどい臭いになり呼吸状態も悪い。

兄の方は怒られると思ったのか地面に頭をこすりつけながら、

「妹はもう長くはありません。でも、最後まで妹の面倒をみたいんです。」

と必死に訴えてくる。


おばあさんは

「もう契約しちまったんだからお前さんがちゃんと処分するんだよ。契約書は絶対だからね。今更返すなんて言っても無駄だよ。」

と言ってと笑っている。


妹の方はこのままだったらばそう長くはもたないだろう。おばあさんはやっかいものの処分ができて現金が入ってきたからとすごくうれしそうにしている。


男の子に他に欲しいものはないのかと聞くと、そんなわがままは言えませんと言っていたが最後に父親の形見の剣が欲しいということだった。


おばあさんにその剣について聞くと小屋の中のぶんながっているからそれも100リンでいいと言うのでそれも買ってやった。妹の方は何か欲しがるかと聞いたが妹は母の形見のペンダントを持っているので大丈夫だということだった。


父親の形見の剣は刃がかけ曲がり、おまけにさびだらけで剣と呼ぶにはあまりのような状態だった。

リムモさんは黙って契約書などを作成してくれる。下手に反対などされなくて本当に助かる。


一通り契約が終わりおばあさんにあいさつをして子供だちを連れてでる。

小屋から俺が妹の方を抱きかかえようとすると、男の子が、

「ご主人様汚れてしまいますからと。」

折れた左腕に一生懸命力を入れながら俺に訴えてくる。


俺は

「大丈夫だよ。お前は自分の折れた左腕を支えておきな。」

と言うと今度はリムモさんが私がと言ってきたので、そこまではご迷惑をおかけできないからと丁重にお断りする。


俺は妹を抱きかかえておばあさんの家をでる。

おばあさんはもう興味がなくなったのか一生懸命お金を数えて見送りすらこななかった。


さすがにこの臭いの子供たちを馬車にのせる訳にはいかないとリムモさんにここから歩いて帰ると伝えると、臭いがついたらば脱臭の魔道具があるのでそれを使えばいいですし、汚れたらば掃除をするから大丈夫だと言ってくれた。


このまま奴隷を買いにも行きたいがさすがに臭いがすごいので子供たちをお風呂に入れにいくことにする。




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