ほたる
手を伸ばして触れたら
火傷するくらいの危険に惚れたんだ
自分の灯りで照らしてみたいよ
その横顔をもっと、見せておくれ
思わず見とれてしまうくらい綺麗な君を
照らしているのはボクなんかじゃない
アイツの眩しいライトで君は踊っている
いつもよりどこか楽しそうに…ね
部屋に閉じこもって真っ暗にしないと
自分が光っているって実感できないんだ
生きているって実感できないんだ
早く夜にならないかな…
町中の灯りのおかげで、ボクの出番はないよ
これでも頑張って、照らしているんだけど
光ってないように見えるみたいだ
頑張ってないように見えたみたいだ
朝なんか来なくていいのに…
ああ、あの子のSOSの点滅さえも
掻き消してくれる優しくて明るい世界
両手の中で閉じ込めて初めて気付くような
命があることを思い出して
思い出して泣いてしまいそうだ
「火垂るの墓」の録画を消した昨日の夜
その時は何も感じなかったのに…
こんなに、「見えないもの」が見えにくいのなら
ずっと、ずっと、このまま…
夜が続けばいい…
ほたるがもういない、そんな世界なら
生きる希望なんて、いらない