ノベル:アンコントロール・バターナイフ・ハンター
勢いだけで書きました。
「ぎゅーっ!」
「ひゃあっ! は、早海さん!?」
高校三年生になりました、木隠墨子です。
高等部校舎の廊下を歩いていたら、よく「スキンシップが激しい」と噂の早海麗蘭さんに突然後ろからハグされました。
「女の子はいい匂いがしていいね〜。可愛いし」
「え、えっと……」
どうしようかと困っていると。
「うん?」
早海さんが、なにかに気づいたような声を出しました。
「……離れて」
「お、おぉ……」
毎日聞いている声が聞こえてきたあと、早海さんの腕の力が弱くなって、わたしは解放されました。
「ふ、楓ちゃん!?」
早海さんの後ろを見てみると、見慣れた小さな人影。
「……なに、してたの」
「……いい匂いに、釣られてました…………」
よく見ると、早海さんの背中には楓ちゃんがいつも持ち歩いているバターナイフがあてがわれていました。
「…………」
「あ、あはは……。降参」
楓ちゃんの雰囲気に気圧されて、早海さんは両手を上げて降参の意を示しました。それを確認してようやく、楓ちゃんはバターナイフをスカートのポケットにしまいました。
「……相手には、気をつけて。行こう、墨子」
「う、うん…………」
◆
「ねえ楓ちゃん。もしかして……嫉妬してくれたの……?」
「………………………………よく、わからない」