ノベル:通話相手は誰?
待っている、か……。
イアナにあんなこと言っちゃったけど…………自分は、本当に待つことができるだろうか。
自分がイアナに興味がなくなるとか、そういうことじゃない。
自分が待っているうちに、イアナが自分を好きじゃなくなるんじゃないか。それが、心配なんだ。
今まで、そんなことは無かった。けれど、心配せずにはいられない。
「……ん?」
今日の授業を終え、いつものように部活はサボって寮でくつろいでいると、マナーモードにしっぱなしだったスマホが振動した。
「非通知……? 変な勧誘とかじゃないといいけど。……もしもし」
『早海麗蘭だな? 今すぐ指定する場所に行け』
電話の相手は、ニュース番組に出てくる犯罪関係者のような変声をかけていた。
「……あの、どちら様ですか」
『お前と平菱イアナの仲を応援する者だ。後悔したくなければ、さっさと行動しろ』
「ちょっと待って、それってどういう……」
『お前の彼女が大変なことになっているぞ。まだ抵抗しているが、そろそろ限界だろうな』
「イアナが…………!?」
『では言うぞ。空の宮市 青原区 米津通り 57番地21。平菱邸だ』
「イアナの、家…………!?」