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ノベル:誰のおかげで
「菜琴、裏見はどうだったかしら?」
「生ごみになっていたので捨てちゃいました」
「そう。ちゃんと始末できたのね。えらいわ。……イアナと成也さんの様子はどう? イアナに自覚を持たせるために二人でマタニティー用品店に連れていったはずだけど」
「お嬢様が店内で泣き始めて、今使用人達がなだめているところです」
「…………私の娘だというのに……情けない子ね。自分の子どもは可愛いものよ。私も喜んだものだわ。…………私が院政を敷くための子孫生成器が生まれてきてくれて。それなのに、この体たらくっぷり……。いったい誰のおかげで社長令嬢できてると思ってるのかしら。あなたという肉塊にこんな贅沢な身分を与えてやったのはこの私なのよ、イアナ。……はあ…………。…………親は生まれてくる子どもを選べない。もっとお利口な子に育てたつもりだったのだけど。……やっぱり、無理矢理にでも行動してもらうしかないわね。……菜琴、三日後の準備はできてるのかしら?」
「登和子様の言いつけ通り、お二人のために最高級のダブルベッドを発注しました」
「それでいいわ。……ふふ、今から楽しみね」