ダイアリー:誰かがよんでいる。
「『
五月八日
今日、お母様にゆっくりできるのは今だけよ、と言われた。私に子どもを産ませることしか考えていないお母様が言ったのだから、きっとそういうことなのだろう。
怖い。
私の未来は、お母様に決められている。私には、なにも決めさせてくれない。
お母様が生きている限り、私はお母様の束縛から逃れられない。
お母様に選択肢を奪われて、成也さんに唇を奪われて、次は……。
考えたくない。
私が人生の全てを捧げたいのは、麗蘭ただ一人なのに。
逃げたい。でも、逃げられない。
お母様は、絶対に私を見つけ出す。
どうしたらいいの?
五月九日
麗蘭が私の名前を呼んでくれるときだけが、私の救い。
こんな時間が、いつまでも続けばいいのに。何度も、そう願った。
恋人同士なのに、気軽に連絡もとれない。
お母様は、絶対に私達の関係を認めない。
こんなに苦しいのなら、麗蘭に出会わなければよかった。そうしたら、私は楽に死ねたのかもしれないのに。
死にたい。でも、死にたくない。
』か…………」
私は、読んでいた「それ」を元通りクローゼットの奥へ戻した。
「……イアナお嬢様の恋人、ねぇ…………」
ダイアリー:誰かがよんでいる。
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