ノベル:叫ぶ、刺される、怒鳴られる。
「うーん、草むらばっかり」
自分、早海麗蘭は桜花寮住まいの高校三年生。そんな自分は今、月明かりがほのかに地面を照らす草原を歩いている。
「……お、怪しげな洋館を発見」
三階建ての洋館の玄関扉には、鍵がかかっていなかった。
「お邪魔しまーす。…………おっきなシャモジでも持ってくればよかったかな」
玄関には枯れた観葉植物や割れた写真立てなどが置いてある。
「こんばんはー。誰かいますかー。いないんですねー? …………んじゃまあ、家探しでもしますか! 引き出しオープンターイム!」
玄関からリビングダイニングに忍び込んだ自分は、片っ端から化粧台やキッチン、食器棚をゴソゴソした。
「お、ライト発見。次は二階かなー」
懐中電灯片手に軋む階段を上っていく。
……すると。
「ステップアップ! ステップアップ! ステップアップ! ステップアッ落ちたぁ!? 大人の階段ー!」
暗転。
……。
…………。
………………。
……………………『ロード中』。
「……ぅえ?」
視界がはっきりした刹那、目の前から髪の長い老婆が包丁を持って自分の腹部を刺した。
「あーーーー! 殺されたぁーーーーーーーっ! 初見殺しっ!」
「ゲームの独り言がうるせーーーーーんだよ!」
……叫び過ぎたせいか、寮のルームメイトに怒鳴られた。