灯篭流し
金曜の夕暮れ
私は山を降り、買い物へ向かった
とっぷりと藍に浸かる道を
私はくだる
向こう側から
ぽう、と浮かび上がる無数の
光の球
2つの車輪がその間を縫うのだ
これは幻なのか
だが
光、それらは全て人だった
1日を終えた彼らが夜を裂いて進む
灯であった
灯は大きな流れを作り出していた
川を滑る灯篭たちは
岩や木にとらえられ、いつかは止まる
そしてそこに
ともす、暖かな光を
みな
散り、離れ、
どの屋根へ流れ着くのか
涼しき秋の夜
今
またひとつ、あの屋根の下
橙の灯がともった
かも知れぬ