夜森人に関する記述
〇序論
夜森人とは、生命に非ざる存在である。基本的な活動範囲が未開拓の森であり、また主な活動時間が夜であるためこの名が付いた。ヒトと似た身体構造をしている事もまた同因。
夜森人に関してはまだ明らかになっていない部分も多く、世界でも小さくない研究テーマとして取り上げられている。特に目撃例の多いゼフィオンでの研究も、言うまでもなく盛んである。
〇容姿
ヒトで言う胴体と手足が黒、頭部が白色をしており、顔には大きな目が二つ並んでいる。その両目も、胴体手足と同様に黒色である。鼻や口、耳は無く、目もヒトと同じ眼球の構造をとっていない。
全身を靄が覆っており、その姿を鮮明に視認する事は困難である。夜森人自体の解析も然る事ながら、この靄についての解析も、まだ大きな進歩を見せていない。
〇行動
先述の通り、活動可能であるのは未開拓の深い森で、且つ深夜(戌、亥、子、丑の刻)と、その制限は大きい。森から離れる、または夜が明けると夜森人は自然消滅する(後述)。
ヒトを襲う事が有る。夜森人はヒトに近づくようにして動き、ヒトと夜森人の距離が一定値未満に達すると、ヒトに症状が出始め、最悪の場合死に至る。これに関してもまだ具体的な事は解っていないが、靄に何かしらの有害な物質が含まれているのではないかとの説も有る。死因も不明。
個体によっては二足歩行と四足歩行に分かれるが、大多数は二足歩行による移動。
〇性質
嫌光性を持つ。活動に大きな制限が掛かるのは、この事に因る。光を浴びると一分と経たず消滅し、残留物は無い。これは、夜森人を題材とした研究が困難を極めている主な原因でもある。
稀であるが、月光で消滅する事も。影の面積を大きく作る森と太陽の無い夜という組み合わせが、存在可能な限り限りの環境である、と言う推測もある。
〇由来
詳細は不明。生殖器官のようなものが無い事から性交に依る繁殖でない事は明らか。一説では、無から誕生する世界で唯一の存在であるとも言われている。
〇対策
基本的には森に立ち入らない事。緊急時の際は松明必携のこと。昼だからと言って油断するべからず。森は、常に暗いものである。




