表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖戦に舞う不死鳥たち  作者: 戯画葉異図
第二幕 探究し、知る。
85/346

『悪い夢』

 自分が今、夢の中にいることはすぐにわかった。気持ちのいい浮遊感に包またこの場所は、何もできないけど何もしなくていい空間だ……。どこでもない景色が浮かんでは消え、消えては次の景色が浮かび上がってくる……。いろんな場面がまるで走馬灯のように過ぎ去っていく。どれもぼんやりとしていて、私はそれらの輪郭がはっきりと掴めずにいる。

 ただ眺めることしか許されていないんだ……。

 気付けば私はどこかに立っていた。ここは、そうだ……、お城の廊下だ……。見慣れた場所だ……。よく見れば、目の前で誰かが話している……。

 誰だろう……。

 一人は、そう……大臣だ……。もう一人が……たぶん、遊撃隊の兵士さんかな……直接お会いしたことはないけれど……。

 ……あ。

 大臣が……何か言ってる……。

「…………。……むう……、しかし困ったものじゃな……。あれではどうすることも……」

 あれ……。何の話だろう……。……例のあの二人の話……かな……?

「……、いいえ……ここはまだ様子を見ましょう……時間による解決も……まだ……」

 時間……。夢の中での時間って……何……? ……夢………………。

「……それでは駄目なのじゃ……あの二人ばかりは……時間ではどうにも……」

 あの二人……。

「……うーん……」

「……まあ……案ずることはない……。じきに決着も付くだろう……それまでの辛抱じゃ……」

 決着も……付く……。やっぱり……あの二人の……確保の話……? わからない……。……これは……本当に夢……? ……うーん……。

 違う……。

「……あの二人は……」

「……とても目障り……」

 ライブド……。ミーグ……。

「……邪魔な……」

「……存在……」

 赤い悪魔……。黒い死神……。

「……いらない……」

「……不必要……」

 無限の爆薬……。無限の大鎌……。

「……人の……上に立つ資格のない者ども……」

「……国を……統べる資格のない者ども……」

 え……。……何……?

「……ラム……」

「……リト……」

 ……それ……って……。

「……暗殺の計画は……もう……動いている……」

 どういうこと……なの……?

 そこで景色が変わった。……今度は……兵舎だ……。

 ロッドライズさんと……リレイドがいる……。

「……あの者たちは……何を考えているのか……」

「……理解ができませんね……」

 理解……できない……何が…………?

「……不死身を望むなんて……、神が人に死を与えた理由を……まるでわかっていない……」

「……まさしく……狂人の発想……」

 ……え……、どうして……どうしてそんなこと、言うの……? みんな、受け入れてくれたのに……。みんな、私たちの願いをわかってくれていたと思ってたのに……どうして……。

「……死は……許されたことなのだ……」

「……死から逃げた者など……人ではない……」

 止めて……そんなこと言わないで……。聞きたく……ない……。私は……ラムと……永遠を誓ったんだ……後悔なんて……してないんだから……。……今更……そんなの……。

 違う……。

 また変わった……。

 これは……私の寝室……。……ラム……。

 ラム……会いたかった……。

「……リト……、あなたと一緒には……いられない……」

 え……? どうして……。ラム……何で……。どうしたのよ……急に……。

「……リトの事が嫌いだ……、嫌いだ……、嫌いだ……」

 何で……? 何で……? 私たち……、私たち、一緒に……ずっと一緒に……いようって……。

「……不死となったことを……後悔している……」

 誓ったのに……。

「……さよなら、女王様……」

 待って……行かないで……行かないで……一人は嫌……独りぼっちなんて嫌……。お願い……ラム……行かないで……。独りぼっちは嫌なの……。お願い……話を聞いて……ラム……お願い……。

 ……ラム……。

 ……行っちゃ……やだ……。

 …………。

 …………あ…………。

 …………ああ…………。

 …………あああああ…………。

 …………ああああああああああ…………。


 ……!


 ……え……、だ……れ……?

 ……。……!

 ……聞こえない……、誰……なの……。

 ……、……ト……!

 ……声……。……聞こえる……聞こえる……。……その声……。

 ……リ、……ト……!


 リト!

 ラ……ム……?


 ああ……そうだ……今までのは……全部……夢なんだ……。

 現実じゃないんだ……。

 夢なんだ……。

 そして。

 今、自分は……夢から覚めたんだ。

 悪夢が……終わったんだ……。

 なんて……なんて……安らかなんだろう……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ