【ニューロッジ島】島で唯一の診療所・二
『ラム』ゼフィオン国防衛隊を指揮する不老不死の隊長。
『ゲニス』ニューロッジ島で診療所を営む所長。
辰の刻。ラム、ゲニス、ニューロッジ島の、島で唯一の診療所にて。
『ゲニス』それで、何の用だ。
『ラム』はい、単刀直入に申します。あなたに、ゲニス様に、ゼフィオンに来てほしいのです。
『ゲニス』無理だ、それは……。
『ラム』何故でしょうか。
『ゲニス』私は忙しいのだ……旅行に行っている暇など、微塵もない……。
『ラム』そこを何とか、お願いします。
『ゲニス』お願いされても困る、無理なものは無理だ……ゼフィオンなんて遠い所から遥々来た者に対する態度ではなく、非常に申しわけない限りだが、私は今、多事多端の渦中にいる身だ……ここを離れるわけにはいかぬ……。
『ラム』……これを預かっております。
『ゲニス』んあ?
ラム、懐から令状を取り出す。
『ゲニス』何だ?
『ラム』ゼフィオン国女王からの令状です。これは……王の命令なのです。お読みください。
『ゲニス』令状……、私ごときに、一国の王からか……。
ゲニス、令状を受け取り、中身を読む。
『ゲニス』ふむ、ふむ……、ほう、毒……だから、私に治せと……なるほど……。
『ラム』どうです、考えをお改めに……。
『ゲニス』するわけなかろう。
『ラム』……それは、そのお言葉は、その令状が王からの命令である理解した上でのご判断でしょうか。
『ゲニス』そうだ、今ゼフィオンで何が起きているのか、それはわかった……私が呼ばれる理由、それも、何となくだがわかった。
『ラム』ならば。
『ゲニス』だが行かない、私はここを離れない……。
『ラム』王の命に背くというのですか。
『ゲニス』私は、ゼフィオンの国民でもないからなあ……そこの王の言葉に耳を貸す義務などないと……、私はそう考えるぞ……どうだ、違うと思うか、違うと思うのか……? 私は、違わないと思うがな……。




