【王城】女王の寝室・二
『ラム』ゼフィオン国防衛隊を指揮する不老不死の隊長。
『リト』ゼフィオン国を治める不老不死の女王。
『セルミニト』王家に代々仕える老齢の大臣。
『ロッドライズ』ゼフィオン国遊撃隊を指揮する隊長。
子の刻。ラム、リト、セルミニト、ロッドライズ、王城の、女王の寝室にて。
『ロッドライズ』ラム殿、姫様がお目覚めになられたら、こう伝えてほしい。悪人を見過ごすことはできません。やつらの消息が掴めた今、至急、兵士を出動させます。恨むのならこのロッドライズを恨んでください、と。
ロッドライズ、退室。
『セルミニト』ふむ……。わしも行くとするかの。しばらくは二人でいなさい。その方がよいじゃろう。
セルミニト、退室。
『ラム』ロッドライズさん……大臣……。どうして……どうして今日なんだ。いつもなら傍にいたのに……。……うーん、それにしても……。
『リト』……ラ……ム……。
『ラム』リト……よかった。ああ、動かない方がいい。何があるかわからない。そのまま、寝ていて。
『リト』ラム……。
『ラム』リト、ロッドライズさんが……。
『リト』わかっ……てる、言わなくても。あの人なら絶対そうするのだろうって、思ってたもの。
『ラム』そうか。
『リト』また死人が出るのよ、私のせいで。
『ラム』今はそんなこと、考えないで。治るものも治らないよ。
『リト』ううん、私、自分でわかるわ。何をしても、私はしばらくこのままよ……。……あの小枝のことは聞いた? やつら、あの小枝に毒を塗って、森から投げたのよ。それで私に直撃させた。ダーツみたいに……、ねえ、信じられる?
『ラム』……。城と森を最短距離で結んでも、それでも五百メートルはある。絶対に無理な話だ……一週間で村を二つ襲えるくらいの身体能力と大胆さがないと、ね。
『リト』うん。
『ラム』でも、しばらくこのまま、なんて、言っちゃダメだ。たかが毒なんだ。リト自身の治癒力と、何か決め手になるような解毒剤で、すぐに治るよ。
『リト』たかが毒、じゃないわ。この私がこんなになる毒よ? こんなに気分がわるいの、ホント、数年振り。それはそれはもう、新鮮味に溢れてて、私、わくわくしちゃうんだから。
『ラム』…………。
『リト』とにかく、大丈夫よ。死にはしないんだから。死ななければ、人生、オールオッケーなんだから。ねえラム、私って、不死身なの。知らなかった?
『ラム』……はは、知らなかったな。奇遇だね、僕もだよ。
『リト』あら、そうなの、嬉しいわ。私たちってきっと、気が合うのね。




