【王城】中庭を囲む回廊
『セルミニト』王家に代々仕える老齢の大臣。
『ロッドライズ』ゼフィオン国遊撃隊を指揮する隊長。
子の刻。セルミニト、ロッドライズ、王城の、中庭を囲む回廊にて。女王の下へ向かう。
『セルミニト』ほう、では、武器類の増強とな?
『ロッドライズ』ええ、あの一件以来、兵士を志願する者が増えましてね。試験で選り抜かれるとはいえ、このままでは刀剣の類が足りないのですよ。それを姫様に願い出ようと思いまして。
『セルミニト』ほほう、ほほう、それは真に嬉しいことじゃのう。
『ロッドライズ』はい。私はてっきり、志願者は減るだろうなと予想していたのですがね。国民の、姫様に対する忠誠の現れなのでしょうか。頼もしい限りです。
『セルミニト』あの二人組、ライブドとミーグが、姫様とラム君の命を狙っているという噂は、もう町中に広まっておるからのう。そして、相手は同じ不老不死の身であることもじゃ。おそらくこの奇妙な現状が、有志たちに何かを感じさせたのじゃろうなあ。
『ロッドライズ』何か、ですか。まあ、面白半分で志願する者も多いでしょうがね。周りに流されてる者も。
『セルミニト』はっはっは。そこは、君の慧眼に期待しよう。
『ロッドライズ』ははは、期待されてしまいましたな。
『セルミニト』うむ。……ん、何ごとじゃ?
一人の防衛隊兵、向こうから走ってくる。
『ロッドライズ』どうした、何かあったか?
『防衛隊兵』隊長! 大臣も! た、大変です! ひ、姫様の、姫様の意識がないんです!
『ロッドライズ』何⁉
『防衛隊兵』書斎前の警備の者が気付いたんです。お倒れになられていて……。それで、あの、私は、医者を……。
『ロッドライズ』わかった、急げ! 書斎といったな? 我々も今行く!




