【王城】女王の書斎・一
『リト』ゼフィオン国を治める不老不死の女王。
亥の刻。リト、王城の、女王の書斎にて。独り言。
『リト』……、ん、んー、これは……そうね、……。大臣と要相談かな……。……えーっと、これは……うん、これでよし……。
静寂――ノック音。
『リト』ん、どうぞ。
マディ、入室。
『マディ』夜分遅くに失礼致します、姫様。
『リト』マディ……こんばんは。
『マディ』紅茶をお持ちしました。こんな夜更けにまでお務めになられていると聞きましたので。眠気覚ましに、どうぞ。
『リト』ありがとう。助かる。
マディ、机に紅茶のカップを置く。
『マディ』しばらくしたら、カップを取りに来ますので。
『リト』いいわよ。私が明日、やっておくから。
『マディ』いえいえ、私の仕事ですので。
『リト』それのためにあなたを起こしておくなんて、わるいわよ。
『マディ』……姫様がそう仰るのなら。姫様、くれぐれも、無理はなさらないように。
『リト』わかってるわよー、ありがとう。おやすみなさい。
『マディ』いえ、私にもまだ、他の仕事があるので、その言葉はいただけませんね。
『リト』あら、そうなの。じゃあ、仲間ね。
『マディ』滅相もございません。同じ枠には収められないほどに、私の仕事は平凡で幼稚でございますよ。
『リト』あはは、そんなまさか。
『マディ』では、私はこれにて。失礼しました。
マディ、お辞儀をし、退室。
『リト』……ああ、美味しい。
さらに時間経過。月に照らされた雲が流れて行く。
『リト』ふー、暑いな……。あ、もうこんな時間。いつの間に……。……ん、ん、……。これは…………で…………。これは……して……。……よし、今日の仕事、終わり……っと。はー、あ……。もうない……。……眠いな……。
リト、書斎の窓を開ける。夜風が室内に入る。
『リト』んん、涼しい。んー……、あ、満月だ。綺麗……。……ん……? そこに……いるのは……。まさか!
直後、遠くから何かが飛んでくる――リトに当たる。
『リト』うっ……。……ん、ぐ……。な……何……? ……だ、誰……。
リト、その場で倒れる。
『リト』………………。か………………。




