【暗い森】道無き道・六
『ラム』ゼフィオン国防衛隊を指揮する隊長。
『リト』ゼフィオン国を治める女王。
『シニカロレイヴ』情報屋を経営する女性。
午の刻。ラム、リト、シニカロレイヴ、暗い森の、道無き道にて。
『ラム』大丈夫だ、みんな、知り合いだ。剣をしまえ。問題ない、指示に従え……。……シニカロレイヴさん……無事だったのですか。
『リト』あなた、どうやって、ここに……。
『シニカロレイヴ』まあまあ、待ちなさい。そんなことを話に来たのではないのだよ。私が生きていようと死んでいようと、ここにいようとどこにいようと、それは、君たち二人にとってはどうでもいい話だろう。今は、関係がないんだ。あはは、ラム君、今、そういえばコイツ、こんな性格だったな、って思ったろう。わるいね、私はこんな性格さ。職業柄、私は情報というものを、人と比べ、より丁寧に扱うのが好きでね。いやしかし、こんな話題も今はいらないな。ねえ、私がなぜここにいるのかわからないだろう。どうやって、は別にいらないんだ。重要なのは、どうして、さ。私がここにいる理由だよ。ふふふ。私はね、君たち二人にあることを教えに来たのさ。いわゆる、情報提供ってやつだよ。
『ラム』情報提供? あなたが? なぜ。
『シニカロレイヴ』なぜってことはないだろう。私はとても優しいっていう、ただそれだけのことさ。ラム君、リトちゃん、君たちは見事、二つの村を襲った、その首謀者であるところのあの二人組を捕らえたのだろう。お見事だよ。私も、お姫様バーサス極悪犯の壮絶なバトルを見ていたが、いやはや、あれは壮観だったね。おや、ラム君、なぜそんな顔をするんだい。僕は何もしていません、なんて言わないでおくれよ。そんな謙遜、私は聞きたくないし、話の進行を妨害するだけだ。いいから今は黙って私の話を聴け。……さて、私が授けるのは他でもない。あの二人に関する情報だ。いずれ彼らは法によって裁かれるのだろう。その際いろいろと証言なり何なりをするのだろう。その時のちょっとしたスパイスをと思ってね。どうかこの一国民の話を聴いてほしい。……と、その前に、情報提供にあたり一つだけ条件がある。
『リト』何ですか。ここまできて、やっぱりお金、なんて言ったら怒りますよ。
『シニカロレイヴ』怖い顔をするなって、お姫様。可愛らしいお顔が台無しだよ。あっはっは。条件といっても大したことではない。ちょっとしたお願いさ。差し当たり……。
シニカロレイヴ、縄で縛られ、多くの防衛隊兵に囲まれたライブド、ミーグを指さす。
『シニカロレイヴ』あの二人を我々の話に参加させてほしい。拘束具はそのままでいいが、できれば、五人で話がしたい。




