『ラム』×『セルミニト』 病
『ラム』そう言えば、あのことは大丈夫だったんですか?
『セルミニト』あのこと? とは何じゃね?
『ラム』ええと、ほら、大臣のお孫さんです。少し前になりますが、ご病気に罹られたというお話を聞きましたよ。大丈夫だったのですか?
『セルミニト』ああ、そのことか。うむ、それなら大丈夫じゃ。もうすっかり治ったよ。私がむやみに心配しすぎたのじゃが、どうやらただの風邪だったらしいのう。少し経ったら、もう、ピンピンしとったわ。
『ラム』そうですか、ええ、私も噂で、そのように聞いております。大事に至らなくて、本当に良かったです。
『セルミニト』わしの孫の心配をしてくれるのは有難いが、昨今の世間の、病気に関する話題はむしろ、ニューロッジにあるようじゃぞ。何でも、流行り病だとか。恐ろしいのう……。
『ラム』それも……ええ、聞いております。まだ抗生物質の開発も進んでいないとか。きっと今頃、ゲニスさんが奮闘していることでしょう。
『セルミニト』まあ、あの学者殿ならきっと大丈夫じゃ。
『ラム』そう言えば……あ、そう言えばって言うの、二度目でしたね。大臣、ゲニスさんとお会いになられたんでしたっけ? あの時はどうもバタバタしていて……。
『セルミニト』あの時というのは、姫様がお倒れになられた時かね? いや、あの時は会わんかったよ。わしの方も解毒薬だなんだとバタバタしていたから、あの学者に会う時間がなかったのじゃ。故にあの時は、会っておらん。
『ラム』……あの時は?
『セルミニト』おおっと、もうこんな時間か。わしは行かねば。仕事がたんまりあるからのう、ほっほっほ。ではラム殿、失礼する。さらばじゃ。
『ラム』…………。……間違いない……何かを隠している……。




