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『ラム』×『マディ』 髪の毛

『ラム』……あれ、マディさん。どうして姫様のお部屋の前に、まるで立ちふさがるようにして立っておられるのですか?

『マディ』姫様に、ここに立ちふさがっていろと言われておりますので。

『ラム』どうして?

『マディ』何人たりとも、ここを通してはならない、とのことでして。

『ラム』……えっと、それで、それは、どうしてですか?

『マディ』あなたがラム様であるので話しますが、ここだけの話、実は今朝、姫様が魔術に失敗しまして。

『ラム』え、大丈夫なんですか⁉

『マディ』大丈夫です。命に関わるような大事ではありません。……姫様の命を脅かすようなものを、私は知りませんが。

『ラム』そうですか、なら安心です……ですが、じゃあ、一体何が?

『マディ』髪の毛でございます。

『ラム』髪の毛?

『マディ』はい、髪の毛です。

『ラム』髪の毛がどうしたっていうんですか。

『マディ』今朝、姫様は寝ぐせに悩んでおりました。いつもなら私が、姫様の寝ぐせをくしけずるのでございますが、今朝はいつもと違う会話の流れになりまして。

『ラム』ふむふむ。

『マディ』毎日毎日マディにやらせるのは悪いわっ、と仰いまして。本棚から魔術の本を取り出し、ペラペラとページをめくります。やがてとあるページに目がとまり、これだっ、大声で叫ぶやいなや、その術を発動させました。ぐちゃぐちゃになったものを真っ直ぐにする術、です。

『ラム』……ふむ……。

『マディ』成功は成功なのですが、姫様にとっては失敗でした。絡み合った姫様の髪の毛は、金属棒がごとく真っ直ぐになってしまわれたのです。今現在、姫様の髪形は、浅瀬に潜むウニのようになっております。

『ラム』……はあ。

『マディ』誰にも見られたくないとのことです。ラム様にも、です。いえ、ラム様だけには、絶対に、です。

『ラム』分かりました。事情は分かりました。姫様がそう言っているのなら、一兵士である私は、その命令に素直に従います。それで、その状態はいつまで続くのでしょう?

『マディ』今夜までかと。

『ラム』なるほど。……間に合うな。

『マディ』ええ。間に合います。配偶者としての愉快な時間を、どうぞお過ごしください。

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