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『マディ』×『エルバート』 影の薄い足

『マディ』最近あなた、より一層城で見かけなくなったわね。

『エルバート』それはつまり、姫様が多忙であるということですよ。近頃は何かと物騒ですからね、対応しなければならないことが増え、故に雑務も増えてくるのです。城内、城外間のやり取りが一日に十を超えることだって、最近では珍しくありません。

『マディ』ふうん。

『エルバート』私は、姫様の足ですから。

『マディ』足、ねえ。いいなあ、そういうの。なんかしっくりくる例え。

『エルバート』あなたにしたって、姫様の女中でしょう。立場的には私と変わりませんよ。

『マディ』じゃあ、私を例えるなら身体のどこよ。

『エルバート』例えにこだわる必要もないのでは?

『マディ』姫様の足、みたいな言い方って素敵じゃない。私は素敵だと思うわ。

『エルバート』言い方より大事なのは、中身でしょうに。

『マディ』分かってるわよ。ちょっと思ってみただけ。……それにしてもあなた、本当にお城の中では影が薄いわよ。城にいなさすぎて。一部の界隈ではあなたの存在自体、もうなんか都市伝説みたいになってたり。

『エルバート』……一部の界隈というのは?

『マディ』私の噂好きな部下たち。

『エルバート』ははは。そうですか、それならばより一層、影を薄めなくてはいけませんね。都市伝説が実証されてしまっては、酷くつまらないでしょうし。

『マディ』そんなことしなくていいわよ。

『エルバート』いえいえ、私自身、出来れば影の薄い足でありたいものだと考えております。であるので、あるいはそういったことも、やぶさかでは御座いません。

『マディ』どうして?

『エルバート』薄い影である方が、私の仕事にとっては都合がよいのですよ、何かとね。

『マディ』……どんな仕事内容ですか。

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