『ゲニス』×『シニカロレイヴ』 行ってきます
『ゲニス』……いつか来るとは思っていたよ、情にとてもとても厚いお前が、この私に別れも告げず出国するなんて、そんなこと有り得ないしな。
『シニカロレイヴ』ははは、嬉しいね。私のことを情が厚いと評価してくれるのはきっと、ゲニスくらいだよ。まあ、ニューロッジには他にも所用があったんだけどね、やっぱりメインは君とのご挨拶さ。
『ゲニス』へえ、それはそれは、ご丁寧にどうも。
『シニカロレイヴ』私は、ゼフィオンでもニューロッジでもない場所に向かう。ここからは遠いところさ。百の海を渡って、千の山を越えて、その先にあるような場所だ。
『ゲニス』目的は?
『シニカロレイヴ』世界を救うために。
『ゲニス』いいじゃないか、とってもお前らしい、私はもう、そんなことでは驚かんよ。
『シニカロレイヴ』あはは、そうだね。うむ、そういうわけで、しばらく会えなくなる。しばらくがどのくらいなのかは、私にも分からない。二年だったら短い方かなあ。
『ゲニス』レドラムには、もう挨拶は済ませたのか?
『シニカロレイヴ』ああ、済ませた。泣く泣く別れを告げて来たさ、あはは。
『ゲニス』ははは、そうか。
『シニカロレイヴ』次会えるのがいつになるかも分からない。そもそも次というやつがあるのかも、ね。私はこれでも、寂しく思っているんだよ。
『ゲニス』ああ、分かってるさ。
『シニカロレイヴ』私と、ゲニスと、レドラム。この三人はね、友情とか恋情とか、そんなつまらないもの全てを超えた、本当に素晴らしいつながりで結ばれていると、私は思っている。私たちは特別だった。私たちが手を組めば、不可能なことなんてなかった。
『ゲニス』分かってるとも。
『シニカロレイヴ』それがいつだったか、お互いを結び付けていた何かが切れてしまったね。私は悲しかった。身を削がれるような思いだった。
『ゲニス』私だって同じさ……レドラムだって、同じように感じただろう。
『シニカロレイヴ』そんなこと知っている。誰も悪くなんかなかったことも……ああ、ダメだ。こんなのでは、ダメだ。こんなしみったれた話、私の口から出るようなものではないね。あははは、私は笑うのが好きなんだ。あははははは。笑えば、万事うまくいく。涙なんて、私らしくないしね。あははははははは。
『ゲニス』…………。
『シニカロレイヴ』さてと、もう行かなければ。しばしのお別れだ、ゲニス。ちょっくら、世界を救ってくるよん。
『ゲニス』……大丈夫か。
『シニカロレイヴ』愚問だね。全てが大丈夫さ、あははは。何も問題などない。数年の間の別離、それだけのことなのだから。
『ゲニス』……そうだな、確かに愚問だった……それじゃあ、私から贈る言葉は、これだけだな……行ってらっしゃい。
『シニカロレイヴ』行ってきます。あはははっ。




