表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖戦に舞う不死鳥たち  作者: 戯画葉異図
第五幕 追迫し、停まる。
185/346

【王城】東の牢獄・二

『ラム』ゼフィオン国防衛隊を指揮する不老不死の隊長。

『ライブド』ミーグとコンビを組む不老不死の少女。

   辰の刻。ラム、ライブド、その他防衛隊兵二人、王城の、東の牢獄にて。


『ライブド』ミーぃぃ! へ、返事っ、返事を……してくれぇぇ……! 会いたい……会いたいよ……、あ、会わせろ……! ミー! ミー! 何処……⁉ 何処だよ……⁉ ミーにっ……、ミーに……会わせろぉぉぉ……!

『第一の防衛隊兵』す、少しは静かにしろ……。無駄だ……いくら叫んでも……。

『ライブド』ミーぃぃぃ……!

『第二の防衛隊兵』……放っておけ。いずれまた消耗して、静かになる。

『第一の防衛隊兵』………………。

『ラム』……私はもう行く。次の交代時間まで、くれぐれもよろしく頼んだよ……。

『第一の防衛隊兵』は、はいっ。

『第二の防衛隊兵』お任せ下さい。


   ラム、退場。


『第二の防衛隊兵』……とは言ったものの、やはり、……不安は残るな……。

『第一の防衛隊兵』ああ……。

『第二の防衛隊兵』あんなにピリピリした隊長、初めて見たかもしれん。

『第一の防衛隊兵』俺も……。


   ライブド、未だ静まらず、頻りに叫ぶ。


『第二の防衛隊兵』……まあ、それが普通だよな……。

『第一の防衛隊兵』……見ろよ、コイツ、……泣いてやがる……。

『第二の防衛隊兵』あ? ああ、…………あの相方がそれだけ……大切なのだろうな……。あっちは城の挟んで反対側だ。声なんて、届くはずも無いのだがな…………。

『第一の防衛隊兵』こんな奴……本来ならば死んで良いはずなんだ……多くの人間を殺してきたんだから……即刻死刑が妥当なはずなのに……。

『第二の防衛隊兵』お前、姫様の意向に反対するのか。

『第一の防衛隊兵』違う……。死刑制度の廃止には……俺も反対はしてねえ……。でもよぉ…………でもよぉ…………悔しいじゃねえか…………。コイツと……あのガキと、二人で……何人が死んで……何人が悲しい思いをした…………。悔しいじゃねえか…………。

『第二の防衛隊兵』……何にしても、コイツは死なない。死刑執行は不可能だ。……何だったら今、ここで、お前がその牢に入って、そこの悪魔をズタズタにしてもいい。敵討ちのつもりで、殺すつもりで手を汚せばいい。でもそれは無意味だ。すぐに治っちまうからな。コイツは今、武器を持ってないし、……誰にもバレないぜ……。

『第一の防衛隊兵』なら、餓死させれば……。

『第二の防衛隊兵』兎に角っ……。

『第一の防衛隊兵』俺が気に食わねえのはそれだけじゃない……。理解出来ねえのは、厨房の奴等とかがよぉ……人殺しなんかの為に飯作ってるって事だ……。どうしてだよ? なあ? どんな感覚してたらそんな、そんな事……。

『第二の防衛隊兵』落ち着け。殺人鬼共を許せない気持ちは分かる。ここに居るのが怖いのも分かる。でも、お前がここで平常心を失っても、何にもならんぞ。……どころか、それによってコイツが逃げるような事になったら、それこそ、お前の望む顛末ではないだろう……。いいから、落ち着け……。

『第一の防衛隊兵』………………。

『第二の防衛隊兵』……お前と……お前と同じ感情を……、姫様も抱いている。姫様だけじゃない。皆、同じだ。皆、コイツ等を許せない。でもな、だからと言って、悔しいだのどうのと考えてても、埒が明かないんだよ。死んだ人が蘇る訳でもないしな。だから皆、各々自分なりのけりを付けて、為すべきことを為してるんだ。……それだけなんだ……。

『第一の防衛隊兵』………………。

『第二の防衛隊兵』姫様がきっと、お前の納得するような結末まで……事を運んでくれるさ……。


   第二の防衛隊兵、第一の防衛隊兵の肩に手を置く――振り払われる。


『第一の防衛隊兵』分かってんだよ……そんな事……。俺だって………………。

『ライブド』…………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ