【王城】女王の寝室・二
『ラム』ゼフィオン国防衛隊を指揮する隊長。
『リト』ゼフィオン国を治める女王。
丑の刻。ラム、リト、王城の、女王の寝室にて。夜の会話。
『リト』私も明日の……じゃなくて、今日の調査行きたいって言ったら、どうする?
『ラム』え、ホントですか⁉ それは頼もしい! 期待してますよ! ……って、言うわけないでしょう。僕に何を期待してるの。身分をわきまえてよ、女王様。
『リト』私には、とてもとても役に立つという自信があるわ。
『ラム』ふーん。例えば、どんな時に?
『リト』あら、ご存じない? 私、これでも魔法が使えるのよ。村にすぐ遣いをやれたのも、私がこの城にいながら襲撃に気が付いたおかげであることもお忘れになって? 明日、現地に行って、私がちょっと頑張れば、きっと犯人は見つかるわ。ラム含め、兵士さんたちが、焼けた家の残骸を一つ一つ検分する必要も、目を皿にして周囲をキョロキョロと探す必要もないのよ。私がちょっと遠出すればね。
『ラム』ダメ。
『リト』どうして。
『ラム』公的な理由を言うのなら、姫が姫だからです。
『リト』……じゃあ、私的な理由は?
『ラム』リトがリトだから。
『リト』ヤダ、カッコいい。
『ラム』納得した? してくれた?
『リト』全然。
ラム、深いため息をつく。
『リト』……はいはい、わかったわよ、今日のところは、納得してあげる。今日のところは…………。




