【王城】女王の書斎へと続く廊下・二
『ココ』王城に仕える料理人。
午の刻。ココ、ヴィオラウス、王城の、女王の書斎へと続く廊下にて。
『ココ』姫様のお知り合いの方なのですか?
『ヴィオラウス』まあ……、そんなところです。ここ数年はすっかり疎遠になっておりましたが、昔は、王家の皆さんとも親しかったものです。
『ココ』王家と……?
『ヴィオラウス』はは……、ええと、私の父や祖父も、王家の皆さんとは仲が良かったので、その自然な流れですよ。私だけが特別と言う訳ではない。
『ココ』……と言うと、もしかして、貴族の方……とかですか……?
『ヴィオラウス』いえいえ、そんなんじゃあ、ありません。ちょっとだけ……特殊な家系なのですよ。貴族よりももっと、唯一無二性が強いと言うか…………。
『ココ』よく分かりませんね、貴方が一体何者なのか。門番が通したのだからと、僕はここまで信じて疑いませんでしたが……、このまま貴方を姫様の下まで案内しても良いものかどうか、それを懸念し始めています。貴方が姫様のお知り合いだという事を示す、確かな証拠は…………。
『ヴィオラウス』着きました。
『ココ』…………え…………。
見ると、確かに書斎前。
『ココ』……貴方……場所を知らなかったんじゃ…………。
『ヴィオラウス』私が一体誰なのか。それはこれから分かるでしょう。知らないと言うのならこれから知る事になるし、忘れていただけと言うのならこれから思い出す事になる。それだけです……それだけの話です……。貴方様の案内に……私は感謝致します………………。




