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聖戦に舞う不死鳥たち  作者: 戯画葉異図
第三幕 訣別し、歩む。
133/346

《閉幕》

 幕が降りて行きます。

   ダイニングルーム。


『ラム』耐えられないくらい、お腹空いてたでしょうに。

『リト』うん。実際私、倒れたし、空腹で。……美味しい!

『ラム』皆探してたんですよ、姫様の事。それはもう、大騒ぎでした。

『マディ』一国の姫が行方不明になったら、確かにそうなりますよね。

『ラム』だいたい、誰にも何も言わずに勝手な行動するなんて、ご自分の立場を弁えて下さいよね、まったく。

『リト』御免なさいって。ちょっと緊急の事態だったのよ。

『ラム』でも、その緊急の事態、何の事だったか忘れちゃったのでしょう?

『リト』うっ。痛い所を……。

『ラム』前の時もそうでしたけど、今後このような事は、是非、止めて頂きたいですねっ。

『リト』そ、そんなに怒る事無いじゃない……。ほら、このチキンあげるから、それで許して。ね?

『ラム』馬鹿にされている……。第一、僕はもう済ませましたよ、夕食。

『リト』むっ、このチキン美味しい! ほっぺが落ちる!

『ラム』……聞いていない……。

『マディ』……ふふふっ……。


   場面転換。地下室。


『レドラム』……ああ、クソ……インクがもう切れるとは……。これでは何も書けんぞ……どうしたものか……。……んあ? 貴様等、どうしたんだ? 今回はやけに早かっ……。……何故ガキが増えているんだ……。

『ライブド』あ、おっさん、ドレイディームだよ。所謂新メンバーってやつだ。

『ミーグ』ほら、ドレ、挨拶して……。

『ドレイディーム』レ、レレッ、レドラムさんっ。

『ドレイディーム』お話はかねがね、伺っております……。

『ドレイディーム』ドレイディームと、も、申します……。

『ドレイディーム』……宜しくお願い致します……。

『ライブド』よし、よく言えた! 練習の成果だ!

『ミーグ』おじさん……、いや、レドラムさん。勿論、ここに居ても良いよね?

『レドラム』駄目に決まっている。……と言ったら?

『ライブド』ドレ、見せてやれ見せてやれ。

『ドレイディーム』う、うん……。

『ドレイディーム』……出来た。

『ドレイディーム』……ど、どうぞ。

『レドラム』それは……インク瓶か? 

『ミーグ』はい、おじさん、ご所望のインク瓶。ドレからのプレゼント、って言う事で。どうかな?

『レドラム』…………あー、誰だか知らんが、貴様等が連れて来るんだ、只のガキではないのだろう……。……部屋は有り余っている。勝手にしろ……。

『ドレイディーム』あ……。

『ドレイディーム』あ…………。

『ドレイディーム』あ………………。

『ドレイディーム』有り難う御座います!

『レドラム』(小声で)……にしても、あの話は本当だったのか……しかし……、こりゃまた、騒がしいのが来たな…………。


   場面転換。ダイニングルーム。


『リト』ねえねえ、どうして、マディはメードになろうと思ったの? 自分の意思? それともご両親の意向とか?

『マディ』うーん、いいえ、自分の意思ですよ。そうですね、メードに憧れていた、と言うよりは、お城で働く事に憧れていたのですよ。何だか素敵だな、って。

『リト』へー、成程ねぇ……。いいなあ……、私も何時か、メードさんに……。

『ラム』それは確実に無理ですね。

『リト』夢を見さしてくれないわね。もしもの話よ、もしもの。それくらい分かっていますとも。子供じゃないんだから。

『ラム』はいはい。

『リト』はいはいって。王様にはいはいって。

『マディ』ふふっ、お二人とも、まだまだ子供ですよ。

『ラム』え。ぼ、僕もなんですか。

『リト』むう……マディに言われると、なんか言い返せないわね……。……そうだ……、ねえ、マディ、聴いてよ。私達が子供の頃、貴女はまるで母親の様な存在だった。育ての親同然だったわ。……それから時が経った今、私は、自分が何なのかをはっきりと自覚して、ラムも今では隊長で、……。……えと、何が言いたいかって言うと、マディ、メードになって、ここで従事するようになって、後悔とかしてないかしら? 私、嫌な王様になってないかしら? ねえ、正直に答えてほしい……。

『マディ』姫様……。……ええ、勿論、後悔もしてませんし、姫様は素晴らしい王様ですよ。心配なさらないで下さいな。私は、ここで働く事が出来て、今、とても幸せですよ。


   場面転換。地下室。


『ドレイディーム』私、酷い事言ったよね……。

『ライブド』へ? 何の事?

『ドレイディーム』ほら、最初に会った時。

『ドレイディーム』私、帰れ、って言った。

『ドレイディーム』とても失礼だったよね……。

『ライブド』ああ、そんな事……。気にすんなって。

『ミーグ』今はもう、どうも思ってない……よ……。

『ドレイディーム』有り難う……。

『ドレイディーム』あの時の私、不安だったんだ。

『ドレイディーム』拒絶されるのが、トラウマになってたんだ。

『ドレイディーム』本当に御免なさい……。

『ドレイディーム』な、何か、お詫びを……。

『ミーグ』まあまあ。

『ライブド』あ、じゃーさ、アップルパイとか創れる?

『ドレイディーム』勿論。

『ドレイディーム』……はい。

『ライブド』おー、すげー。むしゃむしゃ。あんがと。

『ミーグ』あ、ずるい。なら僕にも、アップルジュースを……。

『ドレイディーム』うん。

『ドレイディーム』はい、どうぞ。

『ミーグ』ありがと……。……なんか悪いね……。

『ドレイディーム』ううん。

『ドレイディーム』そんな事無いよ……。

『ドレイディーム』私に出来る事なら、何でもする……。

『ドレイディーム』だって……。

『ドレイディーム』私達……。

『ドレイディーム』……仲間なんだから……。


   閉幕。

 第三幕をご覧頂き、誠に有難う御座いました。

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