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聖戦に舞う不死鳥たち  作者: 戯画葉異図
第一幕 邂逅し、始まる。
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【王城】女王の書斎・一

『ラム』ゼフィオン国防衛隊を指揮する隊長。

『リト』ゼフィオン国を治める女王。

   亥の刻。ラム、リト、王城の、女王の書斎にて。報告。


『リト』先ほど、話はおおむね聞かせてもらいました。小さな村だそうですね。人口も、二百人に満たないとか。しかし……。

『ラム』ええ、まだ確かな情報は得られていませんが、生存者がいる可能性は絶望的かと……。先ほど帰還した遣いの者によると、人は見なかった、とのことです。

『リト』様子をもう少し鮮明に教えてください。現在、村は一体どのような状態になっているのですか。

『ラム』それが、まさに地獄だそうで……。家は焼かれ、収穫に頃合いの作物は荒らされおり、道は文字通り死体の山だそうです。女子供も容赦なく、首を刎ねられている者も……。金品が奪われた形跡はありませんでした。襲撃自体が目的のようです。

『リト』襲撃自体が目的……恨みからくる犯行でしょうか?

『ラム』おそらく。しかし、何に対する恨みなのか……。村か、人か、それとも、それ以外か。

『リト』目撃者は? 村を襲った後には、村から出なければなりません。殺された村民でなくとも、犯人を見た人間がいるのでは?

『ラム』まだ報告は来ておりません……が、もう夜も更けております。この時間に、森に立ち入る者はいないかと。

『リト』……そうですか。

『ラム』前回と同じです。姫様、殺された民の過半数が鋭利な刃物による刺殺でした。あとは、ほぼ全身を焼かれての焼死。前回と同じなのです。村を丸々襲ったのも、殺害や破壊の方法も……犯人が不明なのも……。

『リト』やはり、これは同一人物による行為ですか。しかし……。

『ラム』はい、こんな大規模な攻撃を僅か一週間のうちに二回もできるはずがありません。あまりにも常軌を逸しています。村一つを焼き、なおかつ一切誰にも見られないとなると、高い計画性と機動力が必須になります。実行人数はおそらく少数。しかし一人や二人ではない。もしかしたら、立案のみに徹底する者、実行に注力する者と、それぞれの役割を決めているのかもしれません。

『リト』……分かりました。ご報告ありがとうございます。追って指示します。明日の調査に、おそらく、またあなたを同行させることになるでしょう。それまで待機していてください。

『ラム』はっ。失礼します。


   ラム、退室。リト、一人で机に向かう。


『リト』常軌を逸している……嫌な予感がするな……。胸騒ぎが治まらない……三回目があってはならない。必ず……止めなくては……そして……。

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