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魔女とお嬢さん

ある研究者のある一日

作者: あきら

その場所の朝は、気がつくと始まっている。


研究に没頭するあまり寝所に帰らないもの多数。

研究に没頭するあまり徹夜をするもの多数。

朝も昼も夜もここにいる人物たちには関係ないのだ。


太陽が山際から覗きだした。

反対側に位置する王城が照らし出される。


その頃廊下を歩く娘が一人。

彼女は、この場所で夜を寝て過ごす数少ない人物だ。

けして健康的でない仲間たちの顔を覗きながら楽しそうに歩いている。


彼女は自分の場所に着くと、机の上に溜まっていた紙を手に取った。

昨日、ここを去るときには無かったものだ。

誰かが夜のうちに置いていったのだろう。

内容にさっと目を通すと、欲しがってた本の所有者一覧らしい事がわかった。

そして最後に書いてある日付に驚く。


数日前の日付だ。


すぐに持って来いとは言わないが、せめて彼女のいる日中のうちに来れはしなかったのだろうか。


――まったく、ここに居る人々の活動時間ときたら! 

非人間的と言わざるおえないよ――


そう悪態をつきながら、自分で頼めところをまた別の紙に写した。

他に関してはつてがある人を探さないといけない。


その紙の束を物が積み重なった机の端に寄せた。

これから一日が始まるのだ。

作業をするスペースを確保しなければならない。

昨日完成させた統計表を見ながら論文の執筆に取りかかり始めた。


ふと顔を上げえると日はだいぶ昇っていた。


さっきまでは四十度位にあった筈なのに今は六十五度くらいだなと思う。

傾きは西より。

お昼が過ぎてしまったようだ。


そんな町の人には通じ辛いであろう方法で現在時刻を測る。

完全に文章を書くことに没頭していたようだった。

完成には程遠いが、書くことが多すぎる。

先は遠い。

ここで食べないと非人間的と評した仲間たちと同じになってしまう。

ここいらでひとつお昼ごはんとしようと移動した。


ご飯といっても今は一刻も早く論文書きに戻りたい。

手早く食べれるよう片手で食べれる軽食を買ってきた。

甘いお菓子も忘れない。

自前のお茶道具を取り出し、丁寧に黄緑色のお茶を入れる。


午後の作業は午前と同じようにはかどった。

集中力には少しばかり、かなり、とても自信があった。


彼女がそうやって黙々と作業を進めている間、周りの仲間達はうつ伏せになっていた。

屍累々である。

もちろん息はしている。皆、死んだように眠っているだけだ。


仲間のイビキを背景音楽にして娘は手を動かす。

一心不乱に目の前の紙に向かう。


日が沈み出す。

この場所が最も活発になる時間だ。


入れ替わり立ち代り、人が出入りする。

新しい書類に頼んでいた本。

手伝いを求める人も現れる。


そういった対応をして、落ち着いた頃彼女は荷物をまとめる。

朝は早いのだ。

適当なところで寝なければ起きれない。


こうして夜は更け、朝が来るのだ。

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