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プロローグ

一応、オリジナルの小説です。

更新は滅茶苦茶遅いと思います……二次創作ばっかでオリジナル何て初めて出し。

この物語には正義なんて有りません。

あるのはとことん迄の鬱展開です。

オリジナルは初めてなので、アドバイスを期待してたりします。


それではどうぞ……。

プカプカと塩水の中で息するシジミの様だ。

そんなくだらない考えを薊〈アザミ〉は感じた。

薊の前にはツンツンに立てた金髪の髪の少年が呻き声をあげながら身を縮ませてその生命の糸を手繰り寄せ様としている。

無駄なのに。人間と言うのは死の直前こそ無駄な事をしたがるのかもしれない。

例えばそう……自殺する時の遺言とか。

悲しまない様にと家族に励ましの言葉を書いたりする奴はいるけど、それはアレだ。幾ら何を書いたって悲しむ事には変わらないだろう。

そもそも、悲しませたく無いなら自殺しなきゃ良い訳だ。


「て、思う訳よ。あんたはどう思う?」


薊はまるで世間話でもする様に少年に語りかけたが「うっ……ぐ…あぁ…。」と言う呻き声しか彼からは漏れ無い。

しかし、薊は「そうか、そうか。」と頷きながらナイフを手の中でクルクルと回す。


「まっ、少年も運が無かったな。虐めてた奴が自殺して、その親が俺に金払って仕事を頼んだ。人生、因果応報さ。やった事は何時かはやられるってな。あれ、因果応報って何だっけ?」


出血が多いのだろう。

少年の瞳は虚ろになり始め、何処か遠くを眺める様に必死に窓の外に視線を向ける。

薊は、「あぁ」と手を叩くと窓をガラリと開けた。


「まっ、人生で最期の景色な訳だ。こんな薄暗い部屋の中じゃ嘘だよな。」


と、言いながら振り返った頃には少年は動かなくなっていた。

「持ったいねえの。」と、薊は一言呟くと悠々とまるで何でも無い様に玄関の扉に向かって歩き出す。


「あぁ、やっぱりシジミみたいだわ。」


そんな言葉を呟きながら、扉に手を掛ける。

塩水の中で、苦しい、苦しいともがき苦しみ、それでも為すがままに人に殺されるしかないシジミ。

食べる為に殺す、金の為に殺す。

それが、薊にとってはとても普通の事だと感じてならなかった。







佐藤


恋人が自殺した。

その事に憤りを感じ無い者は腰抜けくらいだろうと佐藤は思っている。

復讐をする。それを考える者は少なくは無いだろう。

だが、どの様に復讐するかは人それぞれだ。

他力本願の者……間違い無く腰抜けだ。

不可能だと諦める者……賢人と言う名の腰抜けだ。

ならば、どうすれば良いのか?

答えは単純だ。同じ目に合わせてやれば良い。

恋人は縄で首を吊ってもがき苦しんで死んだ。

いや、それよりも前から恋人は苦しんでいた。

佐藤の恋人は手紙が好きだった。

佐藤は親の仕事の事情で田舎に引越したし、それ以来は手紙のやり取りばっかりだ。

その、恋人の手紙の内容が悲痛な叫びとなったのは何時からだったか?

最早、佐藤はその始まり迄は思い出せない。

佐藤は恋人を励まし続けた。

それでも、恋人の手紙は徐々に短く震えた文章になって行く。

そして、最後の手紙は「有難う、佐藤。やっと吹っ切れたよ。」とだけ書かれていた。

恋人の死を知ったのは、その一週間後だった。

佐藤は鞄の中に隠した包丁の柄を外側から叩いて確認する。

包丁は、何の変哲もないホームセンターで買った安物の穴あき包丁だ。

奴の家は近い。佐藤は息を大きく吸い込み、肺にある古い酸素を外に吐き出す。

軍手を両手に付け、髪の毛が落ち無い様に黒いニット帽を被る。

さあ、本番だ。

今日、この日の為に何度もイメージトレーニングをして来た。

カツン、カツンと安い造りの階段は音を立てる。

奴の家は安い家賃アパートだ。

叫び声を挙げられては直ぐに佐藤は警察に捕まるだろう。

失敗は許されない。復讐の為にバイトして貯めた金を使って色々と準備をしたのだ。

殺しの為に金を稼いだ。

東京に来て、観光もせずホームセンターで包丁とビニールテープにガムテープを買って、漫画喫茶に泊まった。

漫画喫茶の中で眠る事など出来ず、何回も何回も奴を殺すシミュレーションをした。

そして、やっと、この日が来たのだ。


「あっ、悪りぃ。」


ドスンと肩を狭い通路で肩をぶつけた。

顔を上げると、髪の毛を後ろで纏めたダラシないヨレヨレの服を着た男が飄々と手を前に出し軽く頭を下げている。


「気にして無い、コッチこそ悪かった。」


佐藤は一応の謝罪を口にすると、目的地に向かおうとする。

しかし、ぶつかって来た男はニヤニヤとした笑みを浮かべながら中々退こうとしない。

良い加減、佐藤がキレそうになった時、男はその空気を敏感に感じ取り、脇にズレて道を開ける。


「仕事をする時はクールにな、童貞くん。

まあ、今日のご馳走はとっくの昔に頂いちまったけど。」


「何の事だ?」


「さあ?たださ、そんなに情熱的だとこの業界は勤まらないぜ。」


ヘラヘラと笑いながら男は去って行く。

佐藤はそんな男を奇妙に思いながらも目的の部屋に向う。

ドアノブの前に立つ。

さあ、これより自分は犯罪者に仲間入りだと念じた後、そのドアノブをゆっくりと回した。

何故か鍵は掛かっていなかった。

運が良い。後は音も立てずに忍び込んで奴を拘束し、じわじわと殺してやろう。

佐藤は震える手を鞄の中に入れてビニールテープを取り出す。

そして、居間に入った時にみた物は……夢に迄見た復讐の対象の亡骸だった。

馬鹿なと思いながら、佐藤はその男に近付く。

しかし、確かにこの横たわっているのは復讐すべき男だ。

しかも、その死体は暖かい……後一歩と言う所で横から獲物を掻っ攫われたという事だ。


「あの男……。」


佐藤は弾かれた様にその場から走り出し、先程すれ違った男を探す。

奪われた。そんな考えが佐藤の頭の中を支配した。

佐藤は走る。

しかし、走れど走れど既に男の姿は何処にも見当たら無い。

奪われた。佐藤はそんな理不尽な怒りを晴らす様に近くの塀に拳を叩きつけた。

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