28話 天までとどけ
「なんで…、なんで効かないの!?さっきまで確かに“届いてた”のに!」
「……防ぐ術はないと思っていましたが、一体」
「先生、本当に大丈夫なの?痩せ我慢じゃないよね?」
三者三様の疑問を口にする。
当の本人は、気まずさに思わず半笑いになった。
「あー、なんといいますか。ちゃんと効いてましたよ?なんでなんでしょうかねぇ、不思議ですねぇ、もしかして体調でも悪かったとか?いけませんよ、環境が変わった所で季節の変わり目ですからね。自分で健康管理をしているつもりでも、気が付かない内に『あれれぇー?』って事もなきにしもあらずんばこじを得ず」
つらつらと言い訳を並べると、二人の目は猜疑の色を強くした。
一人の目は「そっか、そう言う事もあるんだね」なんて、疑わずに納得してくれた事に、フミアキは軽く目眩を覚えた。
「クー、頼みますから、もうちょっと相手を疑う事を覚えてください」
「それならば、率先して騙して遊ぶような真似は御止め下さい……」
「え?先生の嘘だったの?!」
「私が言うのもアレですけど、ちょっと過保護に育て過ぎじゃないんですか?純真無垢材で建てられた天真爛漫家みたいですよ」
「仰る言葉は分かりませんが、言いたい事はわかります……。私もあまり世間と言うモノに疎くて、勉学の類ならば一手にサイリが担っております。ですが、人との付き合い事は経験が必要でしょうから……」
「僕って結構酷いの……?」
当の本人は、二人の掛け合いに少なからずショックを受けていた。
わなわなと震え出すクーに、慌ててフミアキはフォローに精を出す。
「いや、まぁ、私も一般常識って鬼門ではあるんですけど、何とか生きてますって。もう年も年ですんで、開き直ってしまうと楽ですよ。うん、日常が地雷原ばっかで、もう人の集まる会とかには出たくないものですよ……は、はははは」
「私も以前は兎も角としまして、戦闘訓練ばかりでしたので、クーエンフュルダ様の御力になれず恐縮です。せめて、主人のクーエンフュルダ様の面子を、いつ潰さぬか……申し訳御座いません」
「えと……、先生元気出して?アイリも、全然そんな事ないんだからね。むしろ自慢なんだから!」
「えぇ子や、ホンマえぇ子やねぇ。よし、この話やめましょ。素面でつまみにするような事じゃなしに」
「フミアキ様が持ち出した話だと存じます」
「あれ?先生ってお酒飲むんだ」
「時々って話ですけどね。さて、そろそろいい時間ですし、私は執筆に戻りますか」
終始和やかな会話が続いた談話室だが、「名残惜しいです」と一言添えて、フミアキは席を立ち退室していった。
大きな柱時計を確認したアイリは、昼餉に近い事を見てとった。
退室するアリイを呼び止め、クーは「先生のご飯は、僕が持ってくね」と、一言告げる
「何か忘れてるような……?」
今し方出ていったアイリが、珍しく慌てた様子で戻ってきた。
「クーエンフュルダ様、チシャの事を……」
「あ」
言われてチシャの居た場所、長机と椅子の間に隠れるように気絶している、本人を見付けたのだった。
「効かなかったって、最初の苦しいのって先生の演技だったのかな?」
「いえ、それはないかと。脂汗もかいていましたし、声に“いつもの”軽薄さは感じませんでした」
「……」
昼餉を済ませ、クーとアイリは午前の件の考察を始めた。
本来の時間ならば、アイリとの戦闘訓練が待っているのだが、戦闘とは何も物理的なモノだけではない。
相手と対峙し、力の見極めに、能力の分析、そして戦略の立て方、攻略の手順など多岐に渡る。
またある時は、戦いの中に置ける状況や天候、地形の使い方等々、ありとあらゆる事柄に結果が影響されてしまう。勝負の際は、『考察』を重ね、思考しながら戦う事は重要である。
午前の件は丁度いい議題であったために、アイリがそれを取り上げ本日の勉強となった。
もっとも、本人に確認すれば早いのだけれども、いつものように、のらりくらりと躱された昼飯時の結果である。
ちなみに、件の原因であるチシャは、正座にて反省させられていた。かれこれ二時間は経過する頃であろう。少し涙目だった。
「やはり“気絶”したのは、力の使い過ぎで間違いないか?」
「…はひ、確かに、手応えはありました。でも、最初だけで、後は『沼地に杭打ち』のようでした…。珍しく安定して使えていたんです。でも、おかしな状況になって、それが腹立だしくて……」
「効果があったんだけど、途中から効かないって、そんな事在り得ると思う?」
アイリに疑問を投げ掛ける。
チシャと同じく、居来種力を有するクーには、チシャの困惑が理解出来た。
しかし、理解するのは困惑のみ。悔しい気持ちよりも、『自分の力が効かない』と言う事だったのならば、嬉しくさえ思えてしまうのがクーだった。
「チシャの居来種としての力は、『心を掴む』と言う理です。何とも表現しにくい力の有様ですが、そうとしか言えないモノでした。私も実際受けてみましたが、実際に掴む訳ではなく、そう言った効果を齎すモノで、感覚の話になります。チシャが力を振るえば、相手は素手で臓腑を掻き回される苦しみを味わいます。これから力が伸びるのか分かりませんが、まだチシャの技量では相手を死に至らしめる事は不可能かと思います。最大の利点は、鉄や鋼が間にあろうと力を通し、防ぐ手立てのない事でしょうか。使用するに範囲が狭い事は欠点として挙げられます。そう言った事を踏まえフミアキ様の件は、欠点の項目に当て嵌る程チシャから離れてはいませんでした」
「……光具の類、とか」
「普通の光具ならば、居来種の力を防ぐような物はないハズです。しかし、フミアキ様のこれら光具は、未知と呼んでも差し支えないでしょうから……。ですが“最初は効いていた”と言う事実を考えると、些か腑に落ちません」
「……あ、僕が貰ったのは勝手に発動した?つまり、うーん、遅れて効果が出たとか?」
「遅れて発動した、と言う考えも有りえそうですね。何せフミアキ様の光具ですから……あの時は驚いたものです。ですが今回の場合は、襲撃を受けた時のような、光具の力の発現で助かったとも思えません。何故なら、力の類が働いた感覚がありませんでした」
「でも先生の事だから、僕達の考えもつかない手段を持ってても、全然不思議じゃないのがね……」
「それを言われると弱い所ですね。『大きな力は、時に響き反響し、大きな力を呼び寄せる』と聞いた事があります。クーエンフュルダ様の周りは、何かしらの力を持つ者が多いので、フミアキ様も何らかの未知の力か、人には言えない力を持っていてもおかしくは……」
――ふむむむむ……。従者揃って、仲良く頭を捻るも謎が増えただけだった。
光具の力なのか、方陣の効果なのか、もしくは、同様に居来種としての理を備えていたのか。
『大きな力は、時に響き反響し、大きな力を呼び寄せる』これは、居来種としての在り方を捉えた言葉だが、この屋敷には世間では考えられない程、力を持った者達が集まっている。
何かしらの特別な力を有していたとしても、なんら不思議はないとも思わせる。
特に自重もしてないような光具を作るあたり、持ってない方がおかしいかもしれないと、考え込んでしまうアイリだった。
主であるクーを、害するような人物ではない事は、アイリも理解しているが、事情がどうあれ説明して貰えないと言う事は、少なからずアイリを不安にさせた。
「先生って謎が多いけど、大丈夫だよきっと。だって先生って優しいもの」
クーの言葉に、ハッとした。
出会ってから今まで、多くの恩を受けて尚、人の性根を疑ってしまう。
気が付いてしまったアイリは、羞恥が湧き上がってくる。
アイリの心を見透かしたかのように、クーは微笑む。
「案外さ、心が太くてチシャの力を跳ね飛ばしたのかも」
――――先生って何処かずれてて、それでいて真っ直ぐなんだもん。そう自信たっぷりに言う主に、アイリは少々呆れてしまった。
アイリからしたら、居来種の理すら跳ね除けた理由が、『心が強い』と言う単純な話かと疑問になる。
しかしながら、アノ不思議な男の事に『在り得る』とも、小さくほんの僅かだが唇の端が上がるのだった。
「チシャは絶対に油断しない……、次こそ」
フミアキが誤解を解かないセイで、未だにシコリが残ったままのチシャは、好感度を下げ止まりまで降下させた状態で固まってしまったようだ。
チシャの物騒な言を耳にしたクーは、いつか分かってくれるよね。と、少々の不安を押し込めて、フミアキとチシャを取り持つ事を、固く心に誓ったのだった。
「ねぇ、チシャ。二人の話にあった人って、前に言っていた『恩人』の事なのかな?」
「……はい。チシャが故郷を追い出された時に、助けて貰ったんです。命の恩人なんです」
命を救ってくれた恩人の名前すら知らない、その事に気がついたのは、別れてからだった。
着の身着のままで、逃げるように放逐されたチシャは、偶然青年に拾われ、ひと月あまり行動を共にした。
拾われていなければ、餓死してもおかしくない状況だったにも関わらず、家族に裏切られたばかりのチシャは人間不信になっており、青年に助けられながらもロクに会話をしなかった。
そんな不義理な人間を、お人好しの青年は、あれやこれやとチシャを構い世話を焼いてくれた。
人の良さに、幼いチシャが不安を覚える程に甘い人だった。そうは思っても、その甘い人間に命を救われたのはチシャだった。今思い出しても複雑な思いを抱える。
旅の青年に、命の恩人に、いつか会えたら、今までの思いを打ち明けて感謝したい。こっそり、決意を新たにするのだった。
時刻は夜中、クーは目を覚まして、乾きを訴える喉を潤しに起き上がった。
人っ子一人いないハズの廊下で何かが動くのを見た。
「今、何か動いた?」
よく目を凝らして見ると、夜陰に隠れるようにして影が動くのを見た。
背格好からして、この屋敷の中で一番背が高い人物が浮かんだ。
フミアキは、生活の順序がばらばらで、昼働き、夜眠ると言った行動が一致しない事が多い。
そのために、いつものクーだったら気にせずベットに戻るのだが、その時は何故かフミアキの後をつけていた。
フミアキは、台所を通り、井戸端を抜き、昼間の騒動の場所までゆったりと歩く。
月は見えないが、それでも群星を司るピアラーが、無数の火を携えて闇の色を薄くする。
おもむろに、頭を下げてまた上を向く。
どこかで見た動作だと、クーは頭を捻った。
二、三度同じ動作を繰り返し、フミアキは大きな溜息を吐いた。
埒がないと思い、溜息の原因も気になり、思い切って声を掛ける。
「何してるの?」
一瞬ビクリとしたのか、大きく肩が揺れた。
恐る恐ると言った風で、声のした方へ首だけ向ける。
「何ですか、クーじゃありませんか。はぁ、やれやれ」
「何がやれやれなのさ。こんな夜中にどうしたの?」
やれやれと、両方の手のひらと両肩を上に上げる仕草をする。
同時に、手に持った小瓶の影と長い棒のような物が見た。
「夜更けにしゃぼん玉?こんなに暗くちゃ、ちゃんと見えないと思うけど」
「まぁ、私からすれば、これでも十分明るいんですけどね。なんせビルの明かりも、車のライトもありません」
「なんの事?」
「月、ユール神が居ない夜は、大熊のデティドアが湖を量産するそうですよ」
「え?本当に何の事?」
「知りません?神の目を盗んで、悪さをするモノが多いらしいですよ。キミも容姿的に、悪いモノに目を付けられやすそうですよね。新月の日は、異世界共通でよくない時間帯なんて、面白いですよねぇ。思想や想像は、まるで何かの雛形を最初から持っているようで、奥の奥、人としての原初って言うんですか。成り立ちと成った後、どこで差が出来るんでしょうか」
「よく分からないけど、誤魔化してるの?そして、何を誤魔化してるのか、先生自体も分からなくなってない?」
「ご明答!いやー、賢いですね。正解に、『ザ☆賢王』って二つ名贈りましょう。これから、ザ☆賢王クーと名乗りなさい」
「王様は、いや」
「……え?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「ほらほら、クー!しゃぼん玉ですよ!フッー!フッー!おぅ、こう夜じゃ見栄えが悪いですね。あ、フッーと、クーって似てませんか?」
「…」
「すいません、私が悪かったです。どうか許して下さいクー様」
「……僕こそごめん。ちょっと王様って、その……苦手、だから」
「成程、貴族ともなるといろいろある訳ですね。よし、王様なんてどうでもいいし、しゃぼん玉の続きでもしますか」
「…プッ」
「何か面白い所でもありました、今の?」
「だって、普通、王様の事を『どうでもいい』なんて言う人、居ないよ」
「うーん、居ませんか?」
「うん、居ない」
「居たらどうします?」
「そだね、不敬罪で縛り首……かな」
「マジデスカ」
「マジで」
「そこはクー大明神様にお願いすれば、助かりますよね」
「大……?どうだろう、そこは先生次第なんじゃないかな」
「とりえず、一緒にしゃぼん玉しますか」
「プッ、どうして……そうなるの、かな、ふふっ」
「いいんですか?今度のは一息で、しゃぼん玉が沢山出る仕様になってるんですよ?」
「え?そんな事出来るの?」
「えぇ、しかし、粒が小さくなるから、こう暗いと味気ないんですよねぇ」
「火を持ってくるとか」
「ふむ、もう一声」
「じゃぁ、じゃぁ……方陣のは?」
「そちらの方が雰囲気に良さそうですね。ナイスアイデア」
「よし、気にせずいっくよー!」
昼間見たしゃぼん玉は、太陽に照らされて綺麗だった。そう思うと、クーは心踊るものがあった。
フミアキと出会ってからは、加速度的に好きな物が増えていったが、昔は環境ゆえか、好きも嫌いも選択肢そのものが少なかった。
そんな中で、周囲の視線を軟化させるためだけに勉強していた方陣だったが、クーにとって方陣の放つ燐光はいつしか心の慰めになっていた。
数少ない好きなモノと、最近好きになったモノが組み合わさる。ただ、それだけで心が嬉しく、体は跳ね上がってしまいそうであった。
「おぉ、手早いうえにキレイな円を描きますね。これくらい明るいと、幻想的な雰囲気になる事間違いなしですよ」
「ほらほら、先生早く!」
辺りには五つの方陣が浮いていて、中身のないカラの丸い円は、青白い燐光を昇らせている。
フミアキは、大きく息を吹き昼間より小ぶりのしゃぼん玉を量産した。
クーの想像通り、燐光の隙間を縫うようにして、しゃぼん玉が同じく天に昇っていった。
「うわぁーーーー」
燐光に照らされ、しゃぼん玉が反射するたびに、クーは感嘆の声をあげる。
夏の夜に、誰も見た事のないであろう光景に、昼間以上に口を開けて顔を輝かせた。
「結構なもので……あれ?」
フミアキもその光景に見とれていると、異変に気が付いた。
「え?せ、先生、僕の目がおかしくなったのかな?」
「いや、クーもですか?うーん、もう一度方陣いいですか?」
フミアキの提案を受けて、力の弱まった方陣を消して、再度力を込め直し空に描く。
そして、フミアキは水道茎の先端を、今度はカラの方陣目掛けて吹き付ける。
すると、方陣の燐光がしゃぼん玉の周りを漂いながら、その内にスルリとしゃぼん玉の中に入り込んだ。
「これは、驚いたと言うか、おかしな事になるんですね……」
「すごい……内側から光って、キレイ」
燐光としゃぼん玉がセットになり、光の泡とも言うべきモノはそのまま空に昇っていく。
儚く小さな光の粒は、虹色の膜に包まれて、安らぎに満ちた光と穏やかな気持ちを見る者に与えた。
二人は、うっとりしたようにと光の泡を眺める。
「変な事に遭遇する場面が多いですが、こう言う変わった事なら歓迎なんですがねぇ」
「変な事って……、先生は、その。特別な力とか、もしかして持ってるの?」
昼間の事が思い出されたクーは、疑問とわずかな希望を込めてフミアキに尋ねた。
『大きな力は、時に響き反響し、大きな力を呼び寄せる』そう言う言葉が、クーの頭を過ぎったのだ。
「あー……、昼間の件ですか?」
「うん、ほら、チシャも驚いてたよ」
「あれはただ単に、その手の攻撃に“慣れ”ていたと言うか、耐性がついてしまったと言うか。別段大した事じゃないんですけどね」
「慣れるって、心に直接影響するような攻撃を受けた事があるの?」
「うぅ…ん、まぁ?そう言った事があったり、しますね」
歯切れが悪いフミアキの話にクーは驚いた。
精神に作用するような攻撃手段など極々限られているからだ。方陣では聞いた事がなく、そうなると唯一、居来種の力に限られる事を指してしまう。
そして、そんな限られたモノに、慣れて耐性がつくまで晒されるなど、異常としか言いようのない事であった。
クーのパクパク言いたげな口を見て、フミアキは話の路線を強引に一つ前に戻した。
「しかし、こんな光景を見れたら、確かに1000年は平和が続きそうですね。いやはや参ったなこりゃ」
「……うん、きっと見た人がみんな、キレイで優しいって思うね。でも、参ったって?」
強引な話の転換に、聞くに聞けない状況になってしまった。
お互いがぎこちない空気の中、会話を続ける。
「虹色卵の伝説の事です。本に書かれている事ばかりに、目がいっていたのかもしれません。何故クレロ伯爵の手記では、空の泡の儀式が虹色卵伝説になったのか、考えもしませんでした。もしかしたら、儀式はこんな風に執り行っていたのかも。この光景を見れば、平和を想う事もおかしくありませんからね。当時は、まだまだ争いの多い時代でしたし、日照りや天災などで田畑が壊滅すれば、結果として飢饉による争いにも発展しかねません。雨乞いの儀式として、空の泡とは平和を根本に根差したモノだったのかもしれない……」
「雨が降って豊作になれば、争いが減って平和になるって事?」
「えぇ、それなのに、私ときたら『虹色卵の伝説は作り話で、青年はそれを知らずに信じている』などと結論づけてしまった。書いてある事を文面通りに受け取って、勝手に哀れだと……全く何様のつもりなんでしょうね」
「先生……」
「はは、柄にもない事を言ってしまいましたね。こんな頭でっかちの大人にならないように、もっと世界を直に見る事が大切なんだ、と言う教訓にしてください。今は無理でも、クーにはまだ時間がありますからね」
――――さて、もう遅いですからクーは寝なさい。そう言ってフミアキは話を切り上げた。
言葉に迷って、何も言えなかったクーは、戻るのを渋ったが、再度フミアキに促されて頷いた。
クーを見送り、フミアキはしゃぼん玉が消えるのを見終えて、独り口を動かした。
「偶然でしたが、今日のこの出来事に感謝を。そして、あの青年の鎮魂の手向けにならん事を願います。あなたの思い描いた虹色卵かは分かりませんが、私は確かに見ました。ありがとう、そしてすいませんでした」
もう二度と会えない過去の青年に向けて、フミアキは何度も謝罪と感謝を繰り返したのだった。
ここまで読んで頂き、有難う御座います。
ホントここ最近の迷走っぷりが酷いですね。
分かってはいるが、直せないジレンマ。
これが見切り発車のツケかと思うと泣けてきます。
勝手に始めて、勝手に泣けるとは自分本位すぎてワロスですね。
ご意見、罵倒ありましたら、よろしくお願いします。
※8/14改稿