表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

第三話 戦士の残光

とりあえず今、書き留めてる分投稿


第三話  戦士の残光


赤黒く焦げた外壁。

裂けたコンクリートの隙間から、黒い波のようにクロアリが溢れ出してくる。


「霧島、状況は!?」


火野の声に、高台の司令塔バグロスから冷静な声が返る。


霧島レン

「……敵影、推定八十体以上。隊列、広がり始めてる。気をつけろ、包囲されるぞ」


10機のバグロスが三方向に分かれ、3人1組で迎撃態勢。


クロスボウ型の武器が唸り、

爪楊枝弾が散弾のように拡散する。


序盤は、順調だった。


「当たってる!効いてるぞ!」


「硬いけど、貫通する!」


黒い外殻が砕け、クロアリが次々と転がる。

誰もが、“いける”と思った。


――だが。


「……数が……減らない……?」


霧島の声が、僅かに詰まる。


「後方……新手、確認……また……来てる……!」


地面が、黒く動いたように見えた。

それは影ではない。

アリの群れそのものだった。


ーーー押される第三班ーーー


月影ナギ、榊ミナト、隼人ソラの3機は、崩れた壁際に追い込まれていた。


月影

「ちょ……嘘でしょ……まだ来るの……?」


ミナト

「弾数……半分切った……!くそ……っ」


ソラ

「右……右から回り込んでくる!!」


高速で這い上がってくるクロアリ。

顎がガチガチと鳴り、装甲に食らいつく。


バチッ――!


一匹が腹部を反らし、

腐食性の酸を噴き出した。


ジュゥゥゥッ……!!!


煙とともに装甲が溶け始める。


「――うわあぁぁぁ!!」


最初に悲鳴を上げたのはミナトだった。


ミナト

「やばい!!左脚、動かない!!センサーも死んだ!!」


ガガガ……

彼のバグロスの脚部が火花を散らして停止。


すぐ隣で、


ソラ

「こっちも……ダメだ……!」


酸が動力ラインに回り、状態確認画面が一瞬ブラックアウト。


【警告:駆動系統 異常】

【警告:出力 低下】


月影の声が震える。


月影

「……ちょ……待って……みんな……?」


ミナト

「……ナギ……俺の機体……動かない……」


ソラ

「……冗談だろ……これ……訓練じゃ……ないんだぞ……?」


沈黙。


通信機越しに、クロアリが装甲を削る音がはっきりと聞こえる。


ガリ……ガリ……ガリ……


月影

「……死ぬ……のかな……私たち……」


ミナト(掠れた声)

「……やだ……まだ……帰れてないのに……」


ソラ

「……助け……誰か……」


絶体絶命


残った月影の機体も、あちこちに酸がかかり始める。


【警告:外装腐食】

【警告:システム損傷】


画面がチラつく。


霧島の声が割り込む。


霧島

「第三班!応答しろ!!……っく……くそ……!」


火野

「間に合わない……距離が……!」


クロアリが群れとなり、

動けなくなった2機の周囲を黒く覆い尽くす。


月影

「……ねえ……みんな……」


震える声。


月影

「……ありがとうね……一緒に……戦ってくれて……」


――次の瞬間。


遠方から、重低音の咆哮。


ドォン!!!!


強烈な爆風。


天井の瓦礫が吹き飛び、

黒い群れの中央が吹き飛ぶ。


「……え……?」


煙の中から現れたのは、

見慣れた影。


無骨で、傷だらけで、圧倒的に重厚な――


第二部隊のバグロス部隊(5機)


外部スピーカーから、怒鳴るような声。


教官

「――お前らぁ!!!」


「勝手に死にかけてんじゃねぇ!!!」


重火力のクロスボウが一斉に唸る。


ザンッ!!

ザザザザッ!!


爪楊枝弾が豪雨のように降り注ぎ、

クロアリの群れをまとめて弾き飛ばす。


教官

「救出担当!停止してる機体を回収!!」


第二部隊の機体が素早く接続アームを伸ばし、

動けなくなった2機を引きずり出す。


ミナト

「……生きて……る……?」


ソラ

「……たす……かった……?」


月影は、何も言えなかった。

ただ、涙が止まらなかった。


霧島の声が通信に戻る。


霧島

「……全機、生存確認……!」


火野

「……まだ……終わってないぞ……」


煙の向こうで、

さらに蠢く影。


教官の声が低く響く。


「……戦闘は、ここからが本番だ……」



ーーー火野班 ― 近接戦ーーーー


崩壊した居住区の影。


火野・葛城・桜井、3機が三角陣形を保っていた。


火野

「右から三体!」


クロスボウが火を吹く。

爪楊枝弾が散り、黒い群れが弾ける。


順調――だった。


カチッ。


火野のモニターに表示。


【残弾:0】


「……は?」


桜井の声がかぶる。


「……ちょ、ちょっと待って……わ、私も……!」


【残弾:0】


葛城だけが残り一本。


葛城

「……マズいな」


地面を這うクロアリの群れ。

距離は一気に縮まる。


火野が叫ぶ。


「建材の芯――アルミ柱だ! あれ使う!」


バグロスのアームが柱を掴み引き抜く。


金属音。


桜井

「……はぁ!? ちょ、ちょっと!?そんな原始的な……っ」


一瞬ためらい――

すぐ、歯を食いしばる。


「……べ、別に怖いわけじゃないし!!」


ーーー鈍器戦ーーー


桜井の機体が、アルミ柱を振り抜く。


ガァン!!


クロアリの殻が砕けて吹き飛ぶ。


桜井

「ほら! 見なさいよ!!

 意外とイケるんだから!!」


火野が笑いかける。


「頼もしいな」


桜井

「う、うるさいっ!

 あんたのためじゃないんだからね!!」


葛城も柱を振り回す。


「うおぉぉ!!」


金属音と衝撃音が地下に響く。


ーーー第二部隊 合流ーーー


重い駆動音。


教官率いる第二部隊、3機が突入。


教官

「無茶しやがって……!」


支援射撃でクロアリを一掃。


火野達は残りの一組と合流。


補給箱が開く。


素早く爪楊枝弾を装填。


カチャン、カチャン。


桜井

「……べ、別に心配なんてしてなかったけど……

 あんた、無事で……よかったわ」


葛城

「お、素直じゃん」


桜井

「なっ!?

 なに言って――ッ!」


火野、息を吐く。


「……これで、終わりか……」


誰かが呟く。


「さすがに、もう……」


「帰れる、よな……」


そして、気配!!


ゾワ……


空気が変わる。


火野が顔を上げる。


「……待て」


穴の奥。

クロアリが湧き出た暗闇。


何かが……動く。


霧島の声が割り込む。


霧島

「……熱源……一つ……違う……

 これは……“質”が違う……」


桜井、声が少し震える。


「……べ、別に……怖いとかじゃ……ないけど……

 ……嫌な感じ、ね……」


教官

「……全機、警戒……」


闇の奥で――


複眼が、ひとつ光る。


……二つ。


穴の内側が削れていく音。


ズ……ズズ……


火野が呟く。


「……アリじゃ……ない……」


桜井、小さく息を呑む。


「……なによ……まだ……来るの……?」


闇は、ゆっくりと――外へ。


――“それ”の出現


穴の奥。


闇が……割れた。


無数の脚。


岩を這い、壁を削り、

ゆっくりと――しかし確実に外へ現れる影。


巨大なアシダカグモ。


体長、およそ30センチ。

バグロスよりも、一回り大きい。


毛羽立った脚が地面に触れるたび、硬質な音が鳴る。


教官のモニターに警告が走る。


【記録照合中……】


一瞬の静寂。


次の瞬間、

教官の声が――明らかに裏返った。


息が詰まる音。


「バ、バカな…………!!」


画面に表示される名前。


―――《50人食らいの軍曹》。


教官の声が、かすれる。


「……ネームド……だ……」


かつてこの国で――

50人以上を捕食した記録個体。


「……勝てる相手じゃない……」


声が震えたまま、叫ぶ。


「全機、撤退!! 今すぐ引け!!」


撤退


誰も反論しなかった。


エンジンが一斉に唸りを上げる。


背中のペットボトルロケットが噴出する白煙。


通路へ、必死で逃げる小さな鋼鉄の影。


誰も――後ろを振り返らない。


振り返れない。


背後で、硬い音が響く。


タッ……タタタタタッ……


速すぎる。


レーダーに――影が映らない。


月影ナギ


「……っ、動いて……!」


月影ナギの声。


彼女のバグロスは、すでに半壊状態。

酸の侵食と衝撃で、左脚部が反応しない。


警告音。


【出力低下】

【機体損傷率:67%】


彼女はアクセルレバーを叩きつける。


「お願い……動いてよ……!」


次の瞬間。


視界が――遮られた。


黒い影。


突風のような衝撃。


外部カメラがスパークし、映像が乱れる。


断末魔は、通信には乗らなかった。


ただ――


全員のバッグミラーに、一瞬だけ映った。


壊れかけたバグロスが、

影に完全に覆われる光景。


次の瞬間。


通信は――途絶した。


残された者たち


走る足。


鳴り響く警報。


誰も、口を開けない。


霧島の声だけが、震えながら響く。


「……信号……消失……」


教官は何も言えなかった。


ただ――


歯を強く噛みしめる音だけが、マイク越に聞こえた。


外では。


何事もなかったかのように、

闇の中で――脚の音が消えていった。


月影ナギは――帰ってこなかった。

こんな拙い文でもいいね!好きだよ!って優しい方いましたらそれを糧に頑張ります!!

何卒、お手柔らかお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ