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仲間に裏切られて、崖っぷち!

状況は一瞬で悪化した。鈴木の倒れる姿に誰もが衝撃を受け、放心状態となる中、佐藤は何事もなかったかのようにその場に立ち尽くしていた。鈴木の血が床に広がり、チーム内の空気が一変したことを肌で感じる。そんな中、山田が他のメンバーを守るように一歩前に立ち、佐藤を睨みつけた。


「佐藤!一体どういうつもりだ!?仲間を手にかけるなんて…正気か!?」


山田は拳を握りしめ、怒りと混乱が入り混じった声で叫んだ。しかし、佐藤は冷たい目で山田を見下し、まるで相手にしていないような態度を取った。彼の表情には、もはや昔の仲間意識など微塵も感じられなかった。


そんな緊迫した状況の中、突然理恵が山田の横をスタスタと歩き始めた。彼女は何も言わずに、ただ佐藤の方へと向かっていった。まるで今までの状況がなかったかのように、無表情で静かに佐藤の隣に立った。


「理恵…まさかお前まで…?」


真人が動揺の声を上げた。しかし、理恵はその言葉に答えることなく、ただ冷たい視線を真人たちに向けた。その瞬間、チーム全員が裏切られたことを悟った。理恵も佐藤と一緒に、この裏切りを企てていたのだ。


「どうして…理恵…?」


美咲は信じられないという表情で理恵を見つめ、膝から崩れ落ちた。涙が彼女の頬を伝い、その震える声が絶望感を物語っていた。理恵は一度も目を合わせることなく、無言のまま冷たい表情を保っている。


「佐藤!やめろ!まだ引き返せる、こんなことしても何の意味もない!」


真人は佐藤に必死に訴えかけたが、佐藤は微かに笑みを浮かべるだけだった。その表情には、もはや友情の欠片も感じられなかった。


「お前、まだそんなこと言ってるのか?本当におめでたい奴だな、真人。俺がこんなことをして、今さら戻るつもりがあると思うか?」


佐藤は冷たく言い放ち、そのまま山田に向かって踏み込んだ。彼が剣を振り下ろすと、山田はそれを何とか受け止めたが、次の瞬間には佐藤の強烈な攻撃に押し込まれた。剣技の差は明らかだった。佐藤は手加減していることが容易に分かるほど、山田との実力差が歴然としていた。


「くそっ…!」山田は歯を食いしばり、必死に応戦しようとするが、佐藤の圧倒的な力の前に徐々に追い詰められていく。


「そんなもんかよ、山田。お前も結局、ただの足手まといだ」


佐藤は侮蔑の言葉を投げかけながら、一気に山田を追い詰め、ついに彼の剣を弾き飛ばした。無防備となった山田に佐藤は容赦なく剣を突き刺し、彼もまた力なく倒れた。


「山田っ!」真人は叫んだが、佐藤は冷たい視線を真人に向けるだけだった。


次の瞬間、佐藤は無抵抗の美咲に視線を移した。彼女は涙を流しながら震えており、もはや立ち上がることすらできなかった。佐藤は一歩ずつ彼女に近づき、真人はそれを止めようと叫んだが、間に合わなかった。


「佐藤、やめろ!」


だが、佐藤は聞く耳を持たず、無情にも剣を振り下ろした。美咲の瞳は驚きと恐怖で見開かれたまま、彼女は静かに地面に倒れ込んだ。彼女が最後に残した一言は、誰にも聞き取れなかった。


チームは壊滅状態だった。そして、最後に残ったのは真人だけだった。佐藤は理恵と共に、真人にゆっくりと歩み寄ってきた。その瞳には、冷たく不気味な光が宿っていた。


「ずっとこうなることを計画してたんだよ、真人。お前には気づかなかっただろうけどな。お前が昔から気に食わなかったんだ。いつも鈍くて、何もできないくせに、他人に頼ってばかり…」


佐藤は真人に対して、昔から抱いていた不満を次々と吐き出した。どうやら、彼は最初からこの瞬間を狙っていたのだ。


「合流したときから、こうするつもりだったんだよ。ずっとな。お前がレベルアップしないように理恵と一緒に食事に細工していたのも知らなかっただろう?お前が役立たずのままでいてくれたら、もっと楽に終わったはずだったのに…」


佐藤の言葉は、真人の胸に深く突き刺さった。彼がレベルアップできなかったのは、理恵が作っていた食事に何らかの抑制効果があったからだったのだ。それでも、真人が粘土を弄っていた時に、運良くレベルアップしてしまったことが、佐藤を驚かせたようだった。


「お前がレベルアップしたときは驚いたよ。でも、遅すぎたな」


佐藤は薄く笑いながら、さらに一歩、真人に近づいてきた。


真人は徐々に後ずさりしながら、佐藤と理恵に圧倒されていた。足元がふらつき、何とかして状況を打開しようと考えたが、頭が真っ白になって何も思いつかない。ただただ佐藤の冷たい言葉と、理恵の無言の裏切りが彼の心を締め付ける。


「どうした、逃げ場なんてもうないぞ。お前にできることなんて何もない」


佐藤がそう言いながら、剣を振り上げた。その動きに合わせて、真人はさらに後ろへと下がったが、その時、足元の感覚が突然消えた。彼は後ろを振り返ると、そこは深い崖だった。


「しまった…」


そう思った瞬間、佐藤の剣が彼に向かって振り下ろされた。真人は反射的に身をかわそうとしたが、足元が崩れ、バランスを崩してしまった。そして、次の瞬間、彼の体は崖の下へと落ちていった。


空中に投げ出された瞬間、真人は自分が何もできなかったことを痛感し、視界が暗転するまでの短い時間、全てを諦めた。

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