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過去を乗り越えて―蒼風の刃、再び

足元の冷たい水が不気味に足音を吸い込み、静けさが広がる階層。湿気を帯びた空気がまとわりつく中、彼らの前に広がるのは広大な水辺だった。透明な水面に自分たちの影が映り込み、どこまでも続くかのようなその広がりが、彼らの進むべき道を暗示しているようだった。


「あなた様、この場所は…少し嫌な感じがします…」


ミリアが小さな声でつぶやき、控えめに真人に話しかけた。彼女の言葉に少し驚いた真人は、その目線の先を見つめる。水面には何の変化もないように見えたが、ミリアの鋭い感覚が何かを察知しているのだろう。


「気を引き締めろ。ここはただの水辺じゃない」


真人が静かに言い、手を剣の柄に添えながら前に進む。ミリアもルーナも、緊張感を感じ取り、それぞれの武器を構えた。


突然、水面が激しく揺れ、巨大な魚型のモンスターが水中から飛び出した。その姿は、鋭い鱗を光らせ、無数の牙をむき出しにして彼らに向かってきた。目は血走り、まるで彼らを一瞬で引き裂こうとするような圧倒的な力を感じさせた。


「っ…!」


ミリアの顔が青ざめ、過去の記憶がフラッシュバックする。以前、この魚型のモンスターに襲われた時、スカートが破かれた。無力感と恐怖が彼女を襲ったあの瞬間が、今再び彼女の脳裏をよぎる。


「ミリア!しっかりして!」


ルーナが念話で叫び、ミリアを現実に引き戻す。その声に反応して、彼女は一瞬止まった思考を再起動させた。だが、まだ少し震えが残っている。過去のトラウマが、彼女を完全に縛りつけているのだ。


「私、あなた様…私も戦います!」


ミリアは震えながらも剣を構え、蒼風の刃を放った。青い光の刃が魚型モンスターに向かって飛び、鱗に食い込む。モンスターは痛みに吠えながらも、さらなる猛攻を仕掛けてくる。


モンスターの尾が猛烈な勢いで振り回され、真人たちに向かって水しぶきを上げた。ミリアは一歩退いて避けたが、その勢いに圧倒されそうになる。


「大丈夫だ、ミリア!お前ならできる!」


真人が励ましの声を投げかけると、ミリアの目には再び決意の光が宿った。彼女は過去の自分を乗り越えようとしていた。


「蒼風の刃…!」


今度は力強く叫び、風を纏った剣をさらに振るう。モンスターの厚い鱗を砕き、その巨体に傷を深く刻み込む。しかし、モンスターは怯むことなく、さらに猛然と襲いかかってくる。


「もう一度だ、ミリア!」


真人が叫ぶと同時に、ミリアは蒼風の刃を何度も繰り出し、その青い光が次々とモンスターを切り裂いていく。そしてついに、最後の一撃がモンスターの首に深く食い込み、その巨体が水中に沈んでいった。


一息ついた彼らは、全身が水で濡れていることに気が付く。特にミリアの姿は、より目を引いた。彼女の銀色の髪は水に濡れ、長い髪が背中にぴったりと張り付いている。透けたメイド服もまた、彼女の肌に密着し、胸元から腰にかけての体のラインがはっきりと浮かび上がっていた。


「あなた様、無事に…終わりましたね…」


ミリアは顔を赤らめながら真人に報告する。濡れた服が、彼女の体に張り付き、その曲線がリアルに露わになっていた。透けて見える肌、そして張り付いた布地が、真人の目を離さない。胸の形もくっきりと現れ、真人の心臓が高鳴る。


「……」


しばしの沈黙。真人はミリアの姿に釘付けになってしまう。彼女の大きな瞳が彼を見つめ、濡れた髪が艶やかに光る。その光景に、彼の頭の中は完全に真っ白になっていた。


「真人…そんなに見つめるのはやめなさい」


ルーナが真人を冷ややかな目で見て、呆れたように声をかけた。その口調にはわずかな苦笑が含まれているが、彼女の目はしっかりと真人を諫める。


「悪い、つい…」


真人は気まずそうに頭をかき、慌てて目を逸らす。心の中では、自分の気持ちを隠しきれないが、それでもルーナに言われると黙るしかなかった。


「ふふ、あなたってほんとに分かりやすいわね…まあ、気持ちは分かるけど」


ルーナはそう言って肩をすくめ、再び前方に目を向けた。


彼らは次の階層へと進んだ。水辺の階層から抜け出し、乾燥した砂地が広がる場所に出た。空気は乾ききっており、湿気の多かった先ほどの階層とはまるで異なる雰囲気だ。


「何かの気配があるな…」


真人が周囲を見渡しながら言う。ミリアも注意深く辺りを探るが、目立った動きはない。ただし、何かが近くにいるという感覚は、誰もが共有していた。


その時、真人の目に小さなものが映った。地面に残された黒い焦げ跡だ。


「焚き火の跡…?」


真人が跡に近づき、その焦げ跡を調べる。新しいものではないが、ここ最近に誰かがこの場所で焚き火をしたのは間違いなさそうだった。


「誰かがここにいたのか?」


真人の問いかけに、ルーナがその焚き火の跡を見つめ、静かに首を振る。


「この場所で焚き火をするというのは、かなりの覚悟がいるわね。もしかしたら、ダンジョンの出口に近づいているのかもしれないわ」


ルーナの言葉に、真人も期待と不安が交差する。出口が近いという予感は、彼らにとって希望をもたらすものである反面、何か別の問題も抱えているのではないかという疑念を呼び起こしていた。


「行こう。ここで立ち止まっていても仕方がない」


真人が前に進むことを決断し、ミリアとルーナもそれに続く。彼らの冒険は、さらに奥深くへと続いていく。

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