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山田剛、レベルアップ? ステータスを見る男

「ここに来て、もう三日か…」真人はふと立ち止まり、今の状況を振り返っていた。異世界に放り込まれ、見知らぬダンジョンを探索する日々が続く。休める場所もなければ、まともな食事もない。それでも何とか進み続けているのは、仲間たちの力と、自分たちが生き残らなければならないという一心でのことだった。


ダンジョン内は想像を絶する環境だ。暗く、湿っぽく、時折モンスターの足音や羽音が聞こえてくる。そのモンスターたちは多様だ。透明な水たまりのようなスライム、羽が四枚もある巨大なコウモリ、そして、まるで大型犬サイズのダンゴムシのようなモンスター。中でも空を飛ぶムカデはその異様な姿に、思わず背筋が凍るほどだった。


幸運にも、佐藤健太と山田剛という頼もしい仲間がいたことで、モンスターとの戦闘をなんとか乗り切っていた。佐藤は昔からの友人で、運動神経抜群。剣のようなものを拾ってからは、俊敏な動きで次々とモンスターを倒していった。何度も彼の機敏さに助けられた。


一方で、山田剛は力自慢。筋肉質の体を活かして、スライムや巨大ダンゴムシを物ともせずに倒している。彼の怪力には、仲間も常に頼りっぱなしだ。


「みんな、大丈夫?怪我してない?」美咲は優しく声をかけながら、傷を負ったメンバーの手当てをしていた。

美咲が傷を負ったメンバーの手当てをしている姿は、どこか神聖にさえ見えた。だが、真人はその献身的な姿に感心しながらも、どうしても彼女の胸元に目がいってしまう。美咲の服は大胆に胸元が開いており、しゃがんで手当てをしていると、そのラインがさらに強調されていた。彼女がかがむたび、服の隙間から滑らかな肌が見え隠れし、動きに合わせて柔らかく揺れるその様子に、真人の視線はどうしても釘付けになってしまう。


特に彼女が手当てで手を動かすと、その動きにつられて胸元の開いた服がわずかに緩み、さらに奥まで見えてしまうことがあった。真人はその度に「見ちゃいけない」と思いながらも、意志とは裏腹に目を逸らせずにいた。


そんな彼の視線に気づいた美咲は、手を止めて顔を上げ、優しい微笑みを浮かべながら「真人君、そういうのはダメだよ?」と軽くたしなめたが、その表情にはどこか悪戯っぽい光が宿っていた。


そして、理恵もまた、その状況下で自分なりに力を尽くしていた。彼女の特技は料理だ。ダンジョン内に生えている謎の植物や、モンスターの肉を使って料理を作っていた。当初、見た目のグロテスクさにみんなが怯んだが、いざ食べてみると、意外と食べられるものだった。これには、仲間たちも感心し、食料の不安を少しだけ和らげることができた。


真人も、自分の役割を果たしていた。手先の器用さを活かして、簡単な罠を作り、モンスターを撃退する工夫をしていた。クレイクラフトの趣味がここにきて役に立つとは思っていなかったが、それが功を奏して、罠を仕掛けることでモンスターの数を減らすことに成功していた。


そんな風に、それぞれが自分の役割を持ちながら進んでいたある日、山田剛が突然声を上げた。


「お、おい!ちょっと待て!」


「どうした?」佐藤がすぐに山田の方へ駆け寄る。


「何かあったの?」美咲も不安そうに山田の元へ急いだ。


真人と理恵も立ち止まり、山田の周りに集まる。山田は、しばらく言葉を探しているようだったが、唐突に顔を上げて「俺、レベルアップしたっぽいんだ」と言い出した。


「レベルアップ?」佐藤が戸惑った顔をして首を傾げる。「ゲームの話か?」


「いや、そうじゃなくてさ…体が軽くなって、力もなんかすげぇ湧いてくるんだ。で、なんか…頭の中に俺のステータスみたいなものが見えるんだよ!」山田は真剣な表情で話すが、その言葉に他のメンバーは一様に困惑していた。


「ステータス?」真人が呟く。「それって、まさかゲームみたいな…?」


「そうそう!攻撃力とか、防御力とか、あとHPとかMPってのもあって…」山田は興奮気味に続けるが、仲間たちの反応はというと、皆一様に「何を言っているんだ?」という顔つきだった。


「山田君、さっきモンスターを倒して少し休んだからじゃないの?」美咲が優しくフォローするが、山田は首を振った。


「違うんだ。ほんとに俺、レベルアップしたんだって!」山田は自信満々だが、他のメンバーにはまだその感覚がわからない。


「俺たちには見えないけど、山田だけ何か感じてるのかもな…」佐藤が肩をすくめる。


「まぁ、確かにモンスター倒してからなんか力がついた気がするけど、ステータスが見えるとかはちょっと…」真人も首をひねる。彼自身もダンジョン内での戦いを繰り返す中で、何かが変わってきているような感覚はあった。だが、それを「レベルアップ」と表現できるほどの確信はない。


「でも、山田君が本当に強くなってるなら、それはいいことじゃない?」理恵が静かに言った。彼女の言葉に、全員が一瞬静まり返る。確かに、状況が状況だけに、強くなったことが嘘であろうと本当であろうと、それは生存率を上げることに繋がる。


「うーん、確かに強くなった気はするけど…」山田は自分の腕を見ながらそう言った。


「でも、そのステータスって、どうやって見たんだ?」真人が疑問を投げかけると、山田は少し考えてから答えた。


「なんか、自然に頭に浮かんできたんだよ。まるで誰かが俺の能力を見せてくれてるみたいにさ…」


「えー、それ本当にゲームみたいじゃん!」佐藤が少し笑いながら言ったが、彼の顔にはまだ疑念が残っていた。


「まぁ、俺たちにはよくわからないけど、山田が強くなったんなら、それでいいじゃん。これから先、もっと厳しい戦いになるかもしれないしさ」美咲がそう締めくくると、全員が頷いた。


その後も、山田が「レベルアップ」したと言い続ける中、探索は続けられた。しかし、真人たちはまだ「レベルアップ」という概念を受け入れられず、山田の言葉を半信半疑で聞いていた。


「俺も早くレベルアップできるのかな…?」と真人は心の中で呟きながら、ダンジョンの奥へと歩き続ける。

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