俺が作った武器で、彼女は舞う
ダンジョンの暗く湿った通路を歩き続ける中、突然、天井から「カサカサ」という不気味な音が聞こえてきた。ミリアと真人が振り返ると、壁や天井を自在に這い回る黒いモンスターの群れが姿を現した。
そのモンスターはまるで悪夢から現れたような存在だった。黒い足が16本も生えており、一本一本が太くて不気味な白い毛に覆われている。まるで蜘蛛のような姿をしているが、その足の中央に、直接顔が生えているのがさらに気味悪さを増していた。顔は無表情で目が異様に大きく、口は裂けるほど広がり、不自然なほど長い舌がぬめぬめと伸びている。
「うっ…気持ち悪いな…」真人は思わず顔をしかめた。モンスターは天井からぶら下がるように現れ、壁を這い、次々に足音も立てずに彼らへ近づいてくる。大きさはチワワほどであり、一匹一匹は大した脅威ではないかもしれないが、2〜30体も集まっていると、完全に包囲されている気がして、戦慄が走る。
「行きます、あなた様!」ミリアは黒い双剣を素早く構えた。彼女の双剣は、黒光りする鋭い刃を持ち、彼女の敏捷さと相まって恐ろしい武器だった。
「俺も行くぞ!」真人はすぐさまクレイクラフトのスキルを発動させ、掌の上に小さな粘土の塊を作り出す。その粘土を握りしめ、槍のような形状に変えた。そして、その槍を手のひらから高速で回転させて、弾丸のように次々とモンスターに向かって放った。
ミリアは、後ろから飛んでくる真人の槍を感じ取りつつ、まるで背中に目があるかのように器用に避けながら、敵を倒していく。彼女の動きはまるで舞踊のようで、華麗な連撃が次々と黒いモンスターを斬り裂いていった。
「すごい…」ルーナが呟く。「こんなに息が合うなんて、初めて戦ったとは思えないわね…」
真人は一瞬ミリアに視線を送り、彼女の剣捌きに驚嘆した。彼女が手にしている双剣は、真人が夜なべして作り上げた渾身の一品。グリムクロウの爪から生成されたその剣は、驚くほど鋭く、ミリアの戦闘能力をさらに高めていた。
「頼もしいな、ミリア!」真人は感謝の意を込めて叫んだ。
数分もしないうちに、黒いモンスターたちは次々と倒され、最後の一匹も地面に崩れ落ちた。真人とミリアは一息つき、肩で息をしていたが、互いに無傷だった。
「やったな…」真人が振り返り、ミリアに声をかけた。「その双剣、どうだ?使い勝手は悪くないか?」
ミリアは一瞬、ためらった様子を見せたが、優しく微笑みながら答えた。「ええ、とても鋭く、使いやすいです…ただ、最初にこれを受け取ったとき、少し戸惑いました」
真人はその言葉に驚いた。「戸惑った…?」
ミリアはゆっくりと頷いた。「あなた様が作ってくださったことは、とても嬉しいです。でも、元はあのグリムクロウの爪…あなた様があの時、血を流した光景を思い出してしまいまして…」
その言葉を聞いた瞬間、真人もあの日の戦闘を思い出した。彼がグリムクロウに踏みつけられ、血まみれになりながら戦った瞬間だった。彼は苦笑いしながら、ミリアにそっと声をかけた。
「そっか、そうだよな…。俺もあの時は死ぬかと思ったよ。でも、あの爪は今こうしてお前の武器になって、俺たちを守ってくれている。それに、お前がその双剣で俺を守ってくれるって信じてるからさ」
ミリアの頬が少し赤く染まり、彼女は軽く目を伏せた。「はい…あなた様のために、この剣で戦い続けます」
「それで…あの剣、名前はもう決めたのか?」真人は笑みを浮かべながら尋ねた。
ミリアはその質問に、少し考え込んだ後、答えた。「まだ名前をつけていませんでした…」
「そうか。じゃあ、俺も一緒に考えるよ。この剣には特別な意味があるしな。どうだ?『ブラックフェザー』なんて名前は?」
ミリアはその名前を口に出し、考え込むように双剣を見つめた。そして、ゆっくりと頷いた。「はい、とても素敵な名前です。これからは『ブラックフェザー』で、あなた様と共に戦います」
真人はその答えに満足し、微笑んだ。「それならよかった。今までお前が使ってた剣も、悪くなかったんだけどな」
ミリアはすぐにフォローを入れた。「もちろんです!今までの双剣も、とても使いやすくて大好きでした。真人様が作ってくださったものは、どれも大切です…」
真人は微笑みながら、彼女の頭を軽く撫でた。「ありがとな、ミリア。お前がそう言ってくれると嬉しいよ。でも、これからはもっと強くなってもらうからな、期待してるぜ」
ミリアは蕩けそうな表情を浮かべ、少し声を殺しながら「はい…ありがとうございます、あなた様…」と小さく答えた。その瞬間、彼女の表情は幸福そのもので、真人の撫でる手に身を委ねていた。
だが、あまりに彼女が悦びすぎているのを見て、真人は少し気まずくなり、手を引いた。ミリアは少し物足りなさそうに見えたが、すぐに一息つき、元の落ち着いた表情に戻った。
「これからも、よろしく頼むな、ミリア」
「はい、いつでもあなた様のお力になれるように頑張ります」
ルーナがそのやり取りを見て、少し呆れたように言った。「二人とも、仲が良すぎて逆に不安になるわね…」
真人は苦笑いしながら答えた。「まあ、こういう時こそ、頼れる仲間がいるってのは心強いだろ?」
その後、休憩を終えた一行は再び探索を続けた。モンスターを倒した後の静かなダンジョンの中、彼らの足音だけが響いていた。
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