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恐怖の翼、グリムクロウ襲来!

暗い通路を慎重に進む中、恐怖を掻き立てるような不気味な音が断続的に耳に届いてくる。その音はまるで、足音を追いかけるかのように不規則で、不安を一層強めた。


「なんだか…すごく嫌な感じがする…」ルーナが低く、震える声で呟く。


真人はそれを聞き、いつもは落ち着いて的確なアドバイスをくれるルーナが、ここまで怯えていることに違和感を覚えた。隣にいるミリアも耳をぴんと立てて警戒している。紫色の瞳、キレイに整ったキレイな顔に恐怖の色が映されていた。今にも逃げ出したいと伝わってくるようだ。


「どうした?ルーナ、大丈夫か?」真人が特に震えているルーナに声をかけるが、ルーナの小さな体は微かに震えていた。


「ここ…本当に嫌な予感がするの…なんか、すごく危険なものが近くにいる気がする…」ルーナはそう言うと、今にも泣き出しそうな表情を浮かべた。


「安心しろよ。俺がついてる。何が出てきても守ってやるさ」真人は笑顔でルーナを勇気づけるが、彼の胸にも緊張が走っていた。このダンジョンでは常に危険がつきまとうが、今日のルーナの反応は特に異常だった。


彼らが足を進めると、次第に天井が高くなり、広い空間に出た。静寂が支配するその広間は、まるで何かを待ち構えているかのように重苦しい雰囲気に包まれていた。


突然、耳を裂くような甲高い咆哮が広間を震わせ、空気が凍りついた。天井から舞い降りる影、それは黒く巨大な翼を持った不気味なモンスターだった。闇に包まれたその体は、カラスのように黒い羽毛で覆われており、異様に長い鋭いくちばしと、赤黒い瞳が光っていた。その瞳には、まるで邪悪な知性が宿っているかのように、こちらを見据えている。


「う…うそでしょ、グリムクロウ…」ルーナの声が震え、言葉を失った。


「グリムクロウ?」真人はその名前を耳にし、すぐにルーナに尋ねた。「ルーナ、それって何なんだ?」


「グリムクロウは…この世界で最も恐れられているモンスターの一つよ…暗闇に潜み、突然現れて獲物を襲う。黒い火の玉を吐き出して、すべてを焼き尽くす…なんで…なんでこんなところに…」


ルーナの説明を聞きながら、真人の背筋が凍る。自分が知る限り、このダンジョンには常に危険が伴っていたが、彼女の言う「最も恐れられているモンスター」という言葉には特別な重みがあった。


「やばいな…そんな危険な奴にここで出会うなんてな…」真人は呟き、冷や汗が背中を伝うのを感じた。


グリムクロウは再び咆哮を上げ、翼を大きく広げて空中に舞い上がった。圧倒的な威圧感を放ちながら、次の瞬間、猛然とこちらに向かって突進してきた。


「来るぞ!」真人は叫び、瞬時にミリアとルーナに避けるよう指示した。全員が必死に横へ飛びのき、グリムクロウの攻撃をなんとかかわす。巨大な翼が風を切り、すぐそばを通り過ぎた。


「ルーナ、大丈夫か?」ミリアがルーナを抱きかかえながら、心配そうに声をかけた。


「は、はい…なんとか…」ルーナは声を震わせながらも答えたが、その体は未だに微かに震えている。


「ミ、ミリア…大丈夫か?ルーナが…少し、参ってるみたいだ…」真人がミリアに問いかけた。


「は、はい…ルーナ様を、お守りします…!」ミリアはおどおどしながらも真人に答えたが、その手には微かな震えが見える。ルーナを胸に抱えているが、今にも彼女自身が不安に押し潰されそうだった。


「怖すぎる…あんな化け物、どうすれば…」ルーナは頭を抱えて震えている。

普段冷静なルーナがここまで怯えるのを見て、真人はこの戦いが通常のモンスターとは次元の違うものだと痛感した。


「ミリア、ルーナを頼む!あいつは俺が何とかする!」真人は強い決意を胸に、クレイクラフトの能力を発動した。粘土を使って手のひらにナイフを作り出し、グリムクロウに向かって次々と投げつける。


だが、その全てはグリムクロウの素早い動きに回避されてしまった。空中で自由に動き回るモンスターに、こちらの攻撃はほとんど通じない。


「くそ、速すぎる…!」


その時、グリムクロウが再び口を開き、黒い火の玉を吐き出してきた。真人は急いで盾を構え、防御態勢を取った。火の玉が盾に直撃し、全身に熱が伝わってくる。まるで火を噴くドラゴンのような威力だ。


「あ、あなた様、危ないです…!」ミリアがおどおどした声で忠告するが、真人も既にその事態を理解していた。


「まずいな、このままじゃ…」


真人は必死に状況を打開しようと考えを巡らせたが、グリムクロウは一瞬の隙を見逃さなかった。空中でその巨大な翼を大きく広げた後、地面に向かって猛スピードで突進してきた。


「ミリア、ルーナ、危ない!」真人は叫び、彼女たちに注意を促した。


グリムクロウの火の玉がミリアの頭上にある壁に直撃し、その衝撃で壁が崩れ始めた。崩れた瓦礫がミリアとルーナの上に落ちかける。


「ご、ごめんなさい…!」ミリアは恐縮したように、ルーナを抱きかかえてその場を何とか離れようとしたが、足がすくんで動けない。


「ミリア、避けろ!」真人は反射的にミリアに向かって駆け寄り、クレイクラフトのスキルで瓦礫から彼女を守ろうとした。だが、その隙を狙っていたグリムクロウが、猛然と突撃してきた。


「くっ…!」真人は避けきれず、グリムクロウの鋭い翼が彼の体をかすめ、強烈な痛みが体を走った。

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